2012年度工学院大学 第1部マテリアル科学科

応用鉱物化学(Applied Mineral Chemistry)[5A72]

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2単位
野津 憲治 非常勤講師

最終更新日 : 2012/12/14

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
鉱物は、天然に存在するほぼ均質で一定の化学組成と物理的性質をもつ物質で、ほとんどが結晶質の無機化合物である。われわれが生活している地球は鉱物の集合体である岩石から成っており、われわれは特定の元素が濃集している鉱物を資源として利用し生活を豊かにしていることからしても、鉱物は人間生活と切り離せない存在である。本講義では、鉱物についての地球科学的な基礎知識、結晶化学的な基礎知識を学ぶことから始める。その上で、天然鉱物には不純物が入っておりその性質を利用することもあるが,物理的,化学的に特化した性質は人工的に合成した鉱物で達成されるので,鉱物の合成法を学ぶ。さらに、天然鉱物が工業の現材料としてどのように利用されているかも学び、地下資源としての鉱物の採掘には限界があることを考え、受講者それぞれが鉱物と結晶の知識を自身の仕事や生活に生かせるるようになることを目標とする。

<授業計画及び準備学習>
1.ガイダンス、人類と鉱物との関わり(過去から現在へ)
2.鉱物の化学組成による分類
3.鉱物の物理的性質と用途
4.結晶学の基礎
5.鉱物の結晶構造
6.造岩鉱物とその生成メカニズム
7.資源鉱物の生成メカニズム(鉱床成因論)
8.宇宙空間での鉱物の気相成長
9.バイオミネラリゼーション(生物活動でできる鉱物)
10.結晶成長
11.鉱物の合成(結晶作成)
12.鉱物の工業的利用
13.金属材料の製造
14.鉱物資源の枯渇(地球資源問題)
15.学習成果の確認(試験)

5回程度レポート課題を出し、次回の講義までにレポートの作成を行うのが授業の準備学習に相当する。
レポートは添削して返却するが,適時授業時間内に解説を行い,学習内容の復習を行う.

<成績評価方法及び水準>
第15回目に行う試験の結果と、出席確認も兼ねて行うレポートの結果とをあわせて成績評価する。
その比率は期末試験50%、レポート50%。

<教科書>
特に指定しない。講義に必要な資料は、その都度配布する。

<参考書>
青木正博「鉱物図鑑」誠文堂新光社(2008)
赤井純治ほか「鉱物の科学」東海大学出版会(1995)
砂川一郎「結晶(成長・形・完全性)」共立出版(2003)
佐々木義典ほか「結晶化学入門」朝倉書店(1999)
森本信男「造岩鉱物学」東京大学出版会(1989)
飯山敏道「地球鉱物資源入門」東京大学出版会(1998)
加藤誠軌「標準教科セラミックス」内田老鶴圃(2004)
中村崇ほか「サステナブル金属素材プロセス入門」(2009)
野津憲治「宇宙・地球化学」朝倉書店(2010)
西村祐二郎ほか「基礎地球科学(第2版)」朝倉書店(2010)
ニューステージ新訂「地学図表」浜島書店(2003)

<オフィスアワー>
講義終了後、新宿キャンパス非常勤講師室
E-mailでの連絡、質疑応答もできます:notsu@cc.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
鉱物は人間生活に欠かせない物質です。鉱物を自然科学として理解するには結晶化学の知識が必要です。鉱物や結晶を学ぶことで、近い将来に起きるであろう地球環境問題の一つである鉱物資源の枯渇問題に思いを巡らせ、解決策を考えてみて下さい。

 

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