2012年度工学院大学 第1部機械工学科 エコエネルギーコース
△世界の文学A(World Literature A)[5A02]
2単位 吉田 司雄 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- サマセット・モームの挙げた「世界の十大小説」を数年かけて読んでいきたい。そう思い定めて今年で5年目である。2008度はドストエフスキー『カラマゾフの兄弟』全5冊を読了した。亀山郁夫の新訳(光文社古典新訳文庫)が100万部を超えるベストセラーとなった評判作である。2009度はスタンダールの『赤と黒』とエミリー・ブロンテ『嵐が丘』、2010度はバルザック『ゴリオ爺さん』とメルヴィル『白鯨』、昨年度はジェイン・オースティン『高慢と偏見』とフローベール『ボヴァリー夫人』を読んできた。
そして今年は、いよいよトルストイの名作『戦争と平和』にチャレンジする。文庫本で全4冊、合計2800ページの大作を読み通す。作者の伝記や歴史的社会的な背景にも目を向けつながら、文学テクストの読解力を養うこと、自分の意見を自分の言葉で書ける表現力を身につけることを目標としたい。
- <授業計画及び準備学習>
- 1 ガイダンス(履修上の注意と毎回提出の課題の説明)
準備学習:『戦争と平和』を入手し読みはじめる 2 ナポレオンの生涯―トルストイとその時代(1) 準備学習:『戦争と平和』を指定の箇所まで読了しておく 3 ロシア貴族の生活―トルストイとその時代(2) 準備学習:『戦争と平和』を指定の箇所まで読了しておく 4 ロシア農民の苦悩―トルストイとその時代(3) 準備学習:『戦争と平和』を指定の箇所まで読了しておく 5 『戦争と平和』をどう読むか 準備学習:『戦争と平和』を指定の箇所まで読了しておく 6 『戦争と平和』をどう考えるか 準備学習:『戦争と平和』を指定の箇所まで読了しておく 7 『戦争と平和』を批評する(1) 準備学習:『戦争と平和』を読了しておく 8 『戦争と平和』の批評を相互批評する 準備学習:『戦争の平和』の批評を書いておく 9 『戦争と平和』の批評する(2) 準備学習:『戦争の平和』の批評を書き直しておく 10 さまざまな『戦争と平和』(1) 準備学習:ハリウッド映画版と原作を比べてみる 11 さまざまな『戦争と平和』(2) 準備学習:ソビエト映画版と原作を比べてみる 12 さまざまな『戦争と平和』(3) 準備学習:オペラ『戦争と平和』と原作を比べてみる 13 さまざまな『戦争と平和』(4) 準備学習:宝塚歌劇『戦争と平和』と原作を比べてみる 14 トルストイとドストエフスキー 準備学習:できれば『カラマゾフの兄弟』を読んでおく 15 学習成果の確認(最終レポート作成) 準備学習:授業での指示を守り、「自分の言葉で」批評を書き上げる
- <成績評価方法及び水準>
- 「文学」の授業では、まず取り上げる作品をきちんと読むことが基本。毎回宿題に課したところまでの感想文等を執筆してもらうと共に、未知のクラスメート間で回覧し相互批評を行う。その他宿題や授業中の提出物をもとに平常点を算出。学期末提出の批評レポートとあわせて評価し、60点以上の者に単位を認める。最終の批評レポートの比重は約6割。ただし、平常点が一定の点数に達しない者の批評レポートは、採点対象としない。最終レポートのみ提出しても単位はとれない。
- <教科書>
- トルストイ『戦争と平和』(新潮文庫、工藤精一郎訳、全4冊)
抄訳やマンガ版でなければ、他社の文庫本や文学全集本で読んでも構わない。
- <参考書>
- 教場で随時紹介する。
- <オフィスアワー>
- 新宿校舎2772研究室 月12:20〜12:40
それ以外は教員に直接たずねること。
- <学生へのメッセージ>
- 『戦争と平和』をともかく一日も早く読了(過去に読んだことがある人は再読了)することが必要。遅くとも『戦争と平和』を5月末までには読みあげないと、授業についていけなくなる。通学往復の車中などを利用して、長編小説を読み進めていくための時間を作り、読みはじめた以上は最後まで読み通す決意を固めてほしい。
読み終わったらさらに、これまでに取り上げてきたドストエフスキー『カラマゾフの兄弟』、スタンダール『赤と黒』、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』、バルザック『ゴリオ爺さん』、メルヴィル『白鯨』にもチャレンジしてみてほしい。 この授業は作品を先に読んでいなければどうにもならない。文庫本の厚さに臆することなく、この機会に世界文学中の大傑作と呼ばれる長篇小説にどんどんチャレンジしてみようという心意気のある学生にだけ受講してほしいと思う。そして、欠席すると授業中に行われる課題への参加に支障が生じる(他の学生たちにも迷惑をかけることになる)ので、登録した以上は一回も休むことなくきちんと出席するよう強くお願いする。
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