2012年度工学院大学 第1部機械工学科 エコエネルギーコース
△技術者の倫理(Engineer's Ethics)[4D01]
2単位 初田 俊雄 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 倫理は一言で言えば“より良い人間社会を目指す行為規範”といってよいでしょう.一方、技術者はいろいろなものやサービスを社会に送り出しますが、これらは、社会をより良くするものであってこそ、人々に受け容れられます.したがって、技術者の仕事はより良い社会のために役立つこと、すなわち倫理に沿うものであることが必要です.本教科では、社会における技術者の役割と、これに付随する技術者の倫理について考え、倫理問題に関する感受性を高めるとともに、技術者として、如何に行動するか適確に判断できる能力を養うことを目指します.以下に具体的な達成目標を示します.
(1)社会における技術者の役割を理解し、技術者が活動する上で技術者倫理が不可欠であることを 理解する. (2)倫理的思考法、具体的な行動決定法を理解し、これらを実際に活用する能力を養う. (3)倫理問題に関する感受性を高めるとともに、倫理問題を分析し、技術者として、如何に行動する か適確に判断できる能力を養う.
(JABEE学習・教育目標) 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:(B)◎
(JABEEキーワード) 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:品質保証、信頼性、資源・環境管理、安全管理/危機管理、社会における機械システム
- <授業計画及び準備学習>
- 1.技術者と倫理
第1週:ガイダンス、なぜ技術者倫理を学ぶのか 準備学習:"倫理とは何か、何故技術者の倫理を学ぶか”について各自の考えを纏めておく. 第2週:技術者が直面する場面の一例 準備学習:教科書第1章に目を通しておくこと.技術者は社会でどのような場面に直面し得る かについて、各自の考えを纏めておくこと. 第3週:倫理とは何か 準備学習:教科書第2章を読み、倫理とは何かについて概略を把握する. 第4週:技術者の倫理とは何か 準備学習:教科書第3、4章を読み、これを参考に”何故技術者の倫理が必要か”について考 えを纏める. 第5週:ケーススタディ1 準備学習:第16章に目を通す.第4週の学習を復習して、技術者が行動決定する際に考慮す べき要件を理解する. 2.如何に考え如何に行動するか 第6週:自他の権利の尊重 準備学習:第8章、11章に目を通し、倫理的義務(特に普遍性)と知的財産権の関連を考え る. 第7週:倫理的思考の実践 準備学習:第9章に目を通し、立場によって正否の判断が異なる問題にどのように対処する か考えてみる. 第8週:ジレンマ問題を考える 準備学習:第5、6章を読み、価値の対立がある場合の各自の行動決定について考えてみる. 第9週:ケーススタディ2 準備学習:第4週、第8週の学習を復習して、価値の対立がある場合に技術者としてどのよう に行動決定するか、各自で考えておく. 3.組織、社会において技術者が直面する倫理的課題 第10週:企業における技術者倫理 準備学習:第5、6、7章に目を通すと共に、ケーススタディ2の場合に技術者はどのように行 動決定すべきか、再度考えておく. 第11週:公共社会における技術者倫理 準備学習:第9章に加え、第15章を読み、公共に対する技術者の義務について考えておく. 第12週:国際社会における技術者倫理 準備学習:第12章に目を通し、文化と技術者の倫理とがどのように関係するか考えておく. 第13週:ケーススタディ3 準備学習:これまでの学習をもとに、第2週で示した場面で、技術者がどのように行動すべ きか、各自の考えを纏めておく. 第14週:[事例説明]グループ討議で使った事例の考え方の解説 準備学習:3つのケーススタディの復習. 第15週:学習成果の確認(レポート課題作成) 準備学習:これまでの学習の総復習
- <成績評価方法及び水準>
- 試験は行わない.毎回、授業後に提出するレポート(又は小テスト)(配点40点)と3回のケーススタディのレポート(配点60点)の合計得点が60点以上の場合を合格とする.50〜59点のもので特別かつ合理的な事情がある場合にはケーススタディのレポートの再提出を認め、平均点80点以上のものを合格(60点)とする.
学校行事など正当な理由がない場合は、遅れてのレポート提出を認めない.
「機械工学エネルギー・デザインプログラム」の学習・教育目標(B)は本科目及びこの目標に対応する卒業に必要な他の該当科目をすべて習得することにより達成される.
- <教科書>
- 「技術者の倫理」:林真理.宮澤健二・小野幸子 ほか(コロナ社)
別に講義内容のプリントを配布する.
- <参考書>
- 「技術者倫理の世界」:藤本温他4名、(森北出版社)簡潔で判り易い
「科学技術者の倫理」:C. E. Harris, Jr. 他2名、日本技術士会訳編、(丸善株式会社)多数の事例が 示されている.
- <オフィスアワー>
- 授業前後30分、講師室にて.
他の時間を希望する場合は相談して下さい.
- <学生へのメッセージ>
- 倫理は”お説教”ではなく、”どのように行動すべきか”を考える学問です.自他の立場を変えて、時間と場所を変えて、同じ基準で、冷静に、自分の行動を評価する習慣を身につけて下さい.この習慣が、技術者であり続けることを守ります.
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