| 2012年度工学院大学 第1部機械工学科
 
 線形代数学II(Linear Algebra II)[4153] 2単位
 河野 真士 非常勤講師
 
 
 
<授業のねらい及び具体的な達成目標>
   連立1次方程式の解法については、古くよりさまざまな研究が行われてきました。連立1次方程式、と聞くと簡単そうな印象を受けますが、例えば「100個(もしくはそれ以上) の未知数からなる連立1次方程式を解け」
 という問題を手計算で解く事はもはや現実的には不可能でしょう。しかしこのような一見無茶な問題は、 実は現代の科学技術を支える工学の様々な分野において頻繁に現れ、そこではコンピュータを駆使することで方程式が解かれているのです。
 
 コンピュータを利用するしないに関わらず、多変数からなる量を取り扱うための土台となる数学の一分野が線形代数学です。線形代数学は、連立1次方程式の解法を一つの柱に、その他ベクトル、行列、行列式、1次変換などの諸概念が合わさって体系化されることで発展してきました。
 
 「線形代数学I」では行列の演算方法や連立1次方程式の解法、行列式などを扱ってきましたが、続く「線形代数学II」ではこれらを用いて多変数からなる1次式の幾何学的な側面を学習します。具体的には、
 
 1.平面ベクトルと空間ベクトルの基礎
 2.n 次元ベクトル空間の構造と線形写像
 3.固有値・固有ベクトルと行列の対角化
 
 の各項目について, 基本的かつ実用的な問題を解けるようになることに目標として講義を行います。講義ではなるべく演習時間の確保につとめ、加えて高等学校で数学C(行列) を履修していない学生についても十分に配慮する予定です。
 
 (JABEE 学習・教育目標)
 「機械工学科エネルギー・デザインプログラム」 (D)◎
 
 (前提となる基礎知識と習得後の展開)
 「線形代数学I」の内容を前提とします。習得後は他の数学科目を始め、工学のさまざまな専門分野において線形代数学IIの知識が活用されます。
 
<授業計画及び準備学習>
  第1回 [平面と空間のベクトル-1] ガイダンス、ベクトルの線形演算と内積第2回 [平面と空間のベクトル-2] ベクトルの1次独立、成分表示
 第3回 [平面と空間のベクトル-3] 空間内の直線と平面
 第4回 [ベクトル空間と線形写像-1] 数ベクトルの1次独立
 第5回 [ベクトル空間と線形写像-2] 数ベクトル空間と部分空間
 第6回 [ベクトル空間と線形写像-3] (基底と次元)
 第7回 [ベクトル空間と線形写像-4] 線形写像と表現行列、線形写像の性質
 第8回 [ベクトル空間と線形写像-5] 線形写像と図形、(線形写像の像と核)
 第9回 [ベクトル空間と線形写像-6] (基底の変換と表現行列)
 第10回 [計量ベクトル空間-1] 内積とその性質、ベクトルの直交
 第11回 [計量ベクトル空間-2] 正規直交基底
 第12回 [固有値とその応用-1] 固有値と固有ベクトル
 第13回 [固有値とその応用-2] 行列の対角化
 第14回 [固有値とその応用-3] (対角化の応用)
 第15回 [学習内容の確認] 定期試験
 
 以上の予定に従って講義を進め、合わせて毎講義時に可能な限り演習時間を取れるよう配慮します。
 
 注意事項:
 1.毎回レポート問題を出します。
 2.授業計画の( )の項目については、理解状況や進度などを判断して内容の短縮や省略を行う可能性があります。
 
 準備学習:当たり前のことですが、[予習] 教科書を読む、[復習] レポート問題を解く、
 の2点を毎回の準備学習とします。
 
 [予習] 次の回に学習する項目について教科書を調べ、だいたいの「あらすじ」、特に
 ・用語のだいたいの意味
 ・例題のたいたいの内容
 を知った上で講義に臨むようにしてください(理解できるできないは別として)。さらに進んで、
 ・学習内容について、これまでに学習した数学と関連付けてイメージを持つこと
 ができるようになれば、講義の理解度は格段に上がることを確信しています。
 
 [復習] 復習の基本は、
 ・学習した内容について、「自分の頭」を使ってもう一度考え、より深い「理解」につなげる
 ・理解した内容について、「自分の手」を動かして練習することで、「定着」につなげる
 の2点です。
 定着のための問題等については、各講義においてこちらで指示する予定です。
 
<成績評価方法及び水準>
  定期試験の得点(100点満点)を成績とし、成績が60点以上の場合を合格とします。ただし、合計点が55点以上59点以下の学生に関しては、レポートの提出状況や内容によって合格にする場合があります。この場合、成績は一律60点とします。
 
 「機械工学科エネルギー・デザインプログラム」の学習・教育目標(D)は、
 上記の評価基準を満たせば達成されます。
 
<教科書>
  コアテキスト 線形代数 鈴木香織著(サイエンス社)をベースに講義を行います。
 初回講義時に教科書を必ず持参してください。
 
<参考書>
  [1] 入門 線形代数 三宅敏恒著(培風館)[2] 理工基礎 線形代数 高橋大輔著(サイエンス社)
 [3] 理工系のための解く!線形代数 筧・西成共著(講談社)
 [4] キーポイント線形代数 薩摩・四ツ谷共著(岩波書店)
 [5] 単位が取れる線形代数ノート 齋藤寛靖著(講談社)
 
<オフィスアワー>
  木曜日の昼休み・3限終了後(〜15:30程度)、講師室にて対応します。
<学生へのメッセージ>
  数学の勉強の仕方など、わからないことがあったら何でも質問してください。
   
 
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