2011年度工学院大学 第2部情報通信メディア工学科
△文化人類学B(Cultural Anthropology B)[3702]
2単位 吉田 司雄 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 文化人類学という学問は、フィールドワークによって得られた知見や異文化から逆照射される新たな自己像を提出することで、様々な領域の人々に刺激を与え続けてきた。また、他分野との交差によって人類学自体が変容を遂げてきた。それゆえこの授業では文化人類学の方法や成果を紹介するだけでなく、その影響を同時代的な視野から検討しながら、人類学的な発想や思考の可能性を考えていきたい。それを通して、柔軟で多面的な物事の見方を養い、自らの言葉で表現できるようになることを目標とする。まずは戦後日本の思想シーンにおける人類学者の活躍を振り返り、それから文化人類学を理解するために不可欠な重要概念、の幾つかを学んだあと、文化人類学の今日的な広がりについて概観する予定である。
- <授業計画及び準備学習>
- 1 ガイダンス(授業内容と履修上の注意事項の説明)
準備学習:文化人類学とはどういう学問か?インターネットで調べてみる 2 戦前日本の人類学−帝国主義と科学 準備学習:寺田和夫『日本の人類学』、坂野徹『帝国日本と人類学者』を手にとってみる 3 戦後日本の人類学(1)−探検から学術調査へ 準備学習:川喜田二郎『鳥葬の国』(1960年)を手にとってみる 4 戦後日本の人類学(2)−「現代思想」の時代 準備学習:山口昌男『文化と両義性』(1965年)を手にとってみる 5 戦後日本の人類学(3)−ニューアカデミズム・ブーム 準備学習:中沢新一『チベットのモーツァルト』(1983年)を手にとってみる 6 ポスト構造主義から構造主義へとさかのぼる 準備学習:筒井康隆『文学部唯野教授』(1990年)を手にとってみる 7 人類学の転回−機能主義から構造主義へ 準備学習:マリノフスキー『西太平洋の遠洋航海者』(1922年)を手にとってみる 8 構造主義人類学とはどういうものか 準備学習:レヴィ=ストロース『親族の基本構造』(1949年)を手にとってみる 9 贈与と交換−クラとポトラッチ 準備学習:マルセル・モース『贈与論』(1924年)を手にとってみる 10 経済人類学の誕生−ポランニーからサーリンズへ 準備学習:カール・ポランニー『大転換』(1944年)を手にとってみる 11 野生の思考−レヴィ=ストロースの「トーテミズム」論 準備学習:レヴィ=ストロース『野生の思考』(1962年)を手にとってみる 12 宗教とタブー−メアリー・ダグラスの「穢れ」論 準備学習:メアリー・ダグラス『汚穢と禁忌』(1966年)を手にとってみる 13 無文字社会 準備学習:ウォルター・J・オング『声の文化と文字の文化』(1982年)を手にとってみる 14 ナショナリズムと言語 準備学習:ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』(1983年)を手にとってみる 15 学習成果の確認(最終レポート作成) 準備学習:授業での指示を守り、「自分の言葉で」批評を書き上げる
- <成績評価方法及び水準>
- 出席が成績評価の前提条件。宿題レポートや授業中の提出物などをもとに平常点を算出。学期末提出の批評レポートとあわせて評価し、60点以上の者に単位を認める。最終の批評レポートの比重は約6割。ただし、平常点が一定の点数に達しない者の批評レポートは、採点対象としない。最終レポートのみ提出しても単位はとれない。
- <教科書>
- 特になし。
- <参考書>
- 読んでほしい本を教場で随時紹介する。
- <オフィスアワー>
- 新宿校舎2772研究室 水曜21:15〜21:30
それ以外は教員に直接たずねること。
- <学生へのメッセージ>
- 上記の授業計画や成績評価方法はあくまで予定であり、変更も大いにありうる。詳しくは初回授業時に説明する予定なので、第1回目から必ず出席すること。
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