2011年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科

流体機械II(Fluid Machine II)[2B86]

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2単位
小西 奎二 非常勤講師

最終更新日 : 2012/03/09

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
航空用ジェットエンジンを含めてガスタ−ビンは比較的新しいエンジンであるが,燃料の多用性,連続燃焼による排気対策および回転の滑らかさなどの優位性から,ピストンエンジンを遙かに凌ぐ大型エンジンは基より,今まで不得手だった小型の分野にまで,コ・ジェネレション用を中心に今後ますます発展が期待されている.ガスタ−ビン全般について基礎的な事項をなるべく分かり易くお話して行きたい.これまで学んできた熱力学や流体力学などを融合して,原動機としてのガスタ−ビン全体について,基本的な事項を理解できるようになってほしい.
(JABEE学習・教育目標)
 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:(D)〇および(F)◎
(JABEEキーワード)
 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:質量と運動量の保存,熱力学の第二法則,状態方程式,気体の流動,ガスサイクル,翼と翼列,熱交換器,速度三角形,燃焼器
(前提となる基礎知識と習得後の展開)
 本科目を履修する前に,熱力学,流体力学および内燃機関の修得が望ましい.本科目修得後は熱機関をベースにして,環境問題に対して動力・エネルギーを中心に総合した素養・見識が得られる.

<授業計画及び準備学習>
1 ガスタービンの概説,歴史,機能,用途による分類と特徴などガスタ−ビン全般
  エネルギー保存則(熱力学の第一法則とベルヌーイの式),状態方程式熱力学の第二法則
2 絶対仕事と工業仕事),容積型機関と速度型機関など熱力学と熱機関の基礎
ガスサイクル,ブレイトンサイクル,再生ガスタ−ビンサイクル,サイクル構成要素,
  可・不可逆ガスタービンサイクル,理論熱効率など種々のガスタ−ビンサイクルを学ぶ
4 ガスの一次元流れ,一般エネルギー式,等エントロピー変化,全圧・静圧,全温度・静温度,
  全エンタルピー,ノズル内の流れなど気体の流動 について学ぶ.
5 演習:ガスタ−ビンサイクル全般の演習,NO.1およびNO.2.
6 圧縮機:軸流圧縮機と遠心圧縮機,圧縮機の種類と得失,軸流圧縮機の構造,翼と翼列
  圧縮機の仕事と効率,性能曲線,速度三角形,段の仕事,全・静圧上昇,反動度など
7 タービン:軸流タービンとラジアルタービン,種類,構造,得失,仕事と効率
  性能曲線,速度三角形,段の仕事,全・静圧上昇,反動度などタ−ビンの性能について学ぶ.
8 例題演習:速度三角形を基本に軸流圧縮機の性能計算例を理解する.
9 ジェットエンジン:種類と得失,ジェットエンジンサイクルと効率,ノズルとデフューザ
  性能計算例,速度三角形,タービン仕事などジェットエンジンについて学ぶ.
10 タービン翼の冷却:タービン入口温度の変遷と翼冷却の必要性,各種翼の冷却法と得失,
   他の付属機器等:熱交換器,軸受けとシール,減速システム,バランシング,材料と加工な   ど
11 燃焼器:燃焼器の種類と構造,熱交換器,燃料と燃料システム,燃焼反応,温度およ   び熱計測,燃料の微粒化と着火,火炎の安定性,燃焼ガスの希釈,燃焼室の冷却など燃焼器全体について学ぶ 
12 ガスタ−ビンの応用として,マイクロガスタ−ビンを含むガスタービンを用いたコ・ジェネレーシ ョンシステムについて,環境負荷の少ないエネルギー利用法について学ぶ
13 ガスタ−ビンの一つの応用形態である過給機の基本的な事項について学ぶ.過給の目的,過給の種類,動圧過給と静圧過給,性能と評価,機関との適合等など排気タービン全般について概説する
14 分散型発電およびガスタービンに関する最近の話題および動向などトピックス的なものを学ぶ.
15 学習成果の確認(試験)

<成績評価方法及び水準>
成績は原則として,1)期末試験を約70%,2)授業中の演習問題の結果を約30%で評価する.60点以上を合格とし,50〜59点の者は追加レポートの提出を課し,総合評点が60点以上を合格点とする.「機械工学エネルギー・デザインプログラム」の学習・教育目標(D)および(F)は,上記の評価基準を満たせば達成される.

<教科書>
随時プリントの配布を基本とする.購入するとすれば参考書1)がよい.

<参考書>
1) 「ガスタ−ビンエンジン」谷田好道他(朝倉書店)
2) 「ガスタ−ビンの基礎と実際」三輪光砂(成山堂書店).その他随時授業の中で紹介する.

<オフィスアワー>
授業終了後,または質問等はE-mailでも可.〔koni-greengables.ttv.ne.jp〕

<学生へのメッセージ>
熱力学および流体力学などの復習を期待します.環境問題を踏まえて,これから動力を得るために重要な位置づけとなる科目です。卒業研究や就職活動と重なりますが,積極的に受講してほしい.

 

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