2011年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科

物理学演習II(Exercises in Physics II)[4422]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

1単位
金 哲 夫 非常勤講師

最終更新日 : 2012/03/09

<授業のねらい及び具体的な達成目標>

グローバルエンジニアリング学部における学習の土台の1つとして,物理学の基礎を学ぶ.
物理学演習IIでは物理学Iと物理学演習Iの内容を受けて熱力学,電気と磁気,線形回路の扱いを学ぶ.なお電磁気分野については電気現象,磁気現象の理解を主とし,マクスウェル方程式を構成する積分形の基礎法則や電磁波については物理学演習IIIで扱う.
高校での物理学未習者がいることも考慮して基礎的なレベルから学んでいく.
この科目は「物理学II」と対をなすもので,講義と演習が連携しながら進行する.
講義では基本的な概念や定理を学習し,演習で実際に手を動かして問題を解くことにより理解を定着させる.演習問題はすべて英文であり,プリントを配布する.

以下の項目を習得することを目標とする.
(1)熱力学に現れる物理量(絶対温度,物質量,比熱,内部エネルギー,エントロピー等)の意味を
   理解すること.
(2)理想気体の状態方程式を利用して,気体の状態変化が扱えること.
(3)熱力学の第1,第2法則の意味を理解し,具体的な系に適用できること.
(4)電荷の間に働く力,それを記述する電場の考えを理解する.
   さらに,電位,電流,電気容量などについて学ぶ.
(5)磁気的な力と,それを記述する磁場の考え方を理解し,さらに,電流が作る磁場について学ぶ.
(6)オームの法則,キルヒホッフの法則を理解し,簡単な線形回路の解析ができること.

(前提となる基礎知識と修得後の展開)
本科目を履修する前に「物理学I」,「物理学演習I」などにより,基礎的な物理学の考え方,特に力学に関する考え方と方法を修得しておくことが望ましい.
本科目で修得した内容は,「物理学II」「物理学III」「物理学演習III」,及び物理学の知識を基礎として要求する各専門科目の履修に役立つ.

(JABEE学習・教育目標)
「国際工学プログラム」
(C)基礎工学・専門工学知識の習得:◎
JABEE基準1の(1)の知識・能力:(c)(d)の(1):◎

<授業計画及び準備学習>

1. 熱力学(1).温度と物質量.熱,熱容量,比熱.気体の状態方程式.
SI単位系の一部である,ケルビンとモルの定義を学ぶ.理想気体の状態方程式を学んでその応用を理解する.
 *準備学習:教材プリント「物質量,温度,熱,比熱」の問1−5の英文と解答に必要な法則等の
       内容を理解した上で解いてくること.

2. 熱力学(2).気体の状態方程式(つづき).気体分子運動論.
状態方程式を復習し,状態量のダイアグラムによる状態変化の表示,気体のなす仕事について学ぶ.分子運動論による状態方程式の導出を行い,次回の内部エネルギーの理解へつなげる.
 *準備学習:教材プリント「理想気体の状態方程式」の問1−4の英文と解答に必要な法則等の内容
       を理解した上で解いてくること.

3. 熱力学(3).熱力学第1法則.気体の状態変化(1).
内部エネルギーの概念について学ぶ.仕事と熱はわかりやすい概念であるが状態量ではないことに注意して,第1法則を説明する.気体の定積,定圧変化を扱う.
 *準備学習:教材プリント「熱力学第1法則」の問1−5の英文と解答に必要な法則等の内容を理解
       した上で解いてくること.

4. 熱力学(4).熱力学第1法則.気体の状態変化(2).気体の比熱.
前回に引き続き,気体の等温,断熱変化を扱う.マイヤーの関係式を導く.気体の比熱と内部自由度の関係を調べる.
 *準備学習:教材プリント「気体の状態変化」の問1−4の英文と解答に必要な法則等の内容を理解
       した上で解いてくること.

5. 熱力学(5).熱力学第2法則.熱機関.効率.
熱機関の考え方を学ぶ.第2法則の各種の表現(効率,トムソン,クラウジウス)の意味と相互の論理的関係を議論する.カルノーサイクル等の具体的なサイクルの効率を調べる.
 *準備学習:教材プリント「熱力学第2法則」の問1−4の英文と解答に必要な法則等の内容を理解
       した上で解いてくること.

6. 熱力学(6).エントロピー.
エントロピーの概念の意義を理解し,簡単な状態変化についてエントロピーの計算方法を学ぶ.エントロピーの増大の原理を理解する.
 *準備学習:教材プリント「エントロピー」の問1−4の英文と解答に必要な法則等の内容を理解
       した上で解いてくること.

7.学習成果の確認.(小テスト;(注)前回までに実施する場合もあります.)
 *準備学習:前回までの総復習を行うこと.

8. 電磁気(1).電荷,クーロンの法則,電場.
電荷の間に働く力について学び,それから,電場の概念を導く.電場のベクトル的な重ねあわせを理解する.さらに,電束密度,電束,真空の誘電率を学ぶ.
 *準備学習:教材プリント「電気力」の問1−4の英文と解答に必要な法則等の内容を理解した上で
       解いてくること.

9. 電磁気(2).電場と電位.電流と電位差,電気的な仕事.
電場と電位の関係,電気的な力によりなされる仕事について学ぶ.
 *準備学習:教材プリント「電場」の問1−4の英文と解答に必要な法則等の内容を理解した上で
       解いてくること.

10. 電磁気(3).コンデンサー,電気容量,場のエネルギー.
平行平板コンデンサーを例として,電気容量の考え方を理解する.さらに電気的なエネルギーの記述と電場の関係を理解する.
 *準備学習:教材プリント「電位」の問1−4の英文と解答に必要な法則等の内容を理解した上で
       解いてくること.

11. 電磁気(4).磁石と磁荷.磁場.
磁場の考え方を電場にならって導入する.磁気クーロンの法則や,磁石が作る磁場がどのようなものであるかを学び,磁力線,磁束密度,磁束などについて理解する.
 *準備学習:教材プリント「電流と磁場」の問1−5の英文と解答に必要な法則等の内容を理解した
       上で解いてくること.

12. 電磁気(5).電流の作る磁場。ビオサバールの法則.
電流の作る磁場のイメージを把握し,具体的には直線電流,円電流,ソレノイドの磁場について学ぶ.また,ビオサバールの法則を用いた磁場の計算について学ぶ.
 *準備学習:教材プリント「ビオ・サバールの法則」の問1−4の英文と解答に必要な法則等の内容
       を理解した上で解いてくること.

13. 電気回路(1).電流。オームの法則.キルヒホッフの法則.直流回路.
オームの法則,キルヒホッフの法則,線形回路素子,回路図の読み方について学ぶ.抵抗の直列,並列の合成則を学ぶ.簡単な回路の解析が出来るようにする.
 *準備学習:教材プリント「直流回路」の問1−4の英文と解答に必要な法則等の内容を理解した上
       で解いてくること.

14. 電気回路(2).交流回路.インピーダンス.
交流の扱い.電力,複素抵抗,インピーダンスと位相のずれなどについてRLC回路などを例として学ぶ.
 *準備学習:教材プリント「交流回路」の問1−5の英文と解答に必要な法則等の内容を理解した上
       で解いてくること.

15.学習成果の確認(期末試験)
  *準備学習:前回までの総復習を行うこと.

<成績評価方法及び水準>
成績は,「板書による発表」と「小テスト」による平常点40点と定期試験60点の100点満点で評価し,
その値が60点以上の学生に単位を認める.但し,「板書による発表」がない学生は定期試験を受ける資格がないものとする.また,55点以上60点未満の学生には,「演習態度」や「小テスト」の内容を考慮して加点する場合もある.

<教科書>
「理工系物理学講義(改訂版)」加藤潔(培風館) .「演習問題」はプリントを配布する.

<参考書>
「物理学演習テキスト」(学術図書出版社)

<オフィスアワー>
木曜日 12:30〜13:20 (八王子校舎1号館206室)

<学生へのメッセージ>
演習開講日以外は演習担当者が八王子校舎不在となる.
質問などがある場合は 「cbkim@krishna.th.phy.saitama-u.ac.jp」に自分の学籍番号と氏名を明記した上で問い合わせるように.

<参考ホームページアドレス>
(加藤潔先生のHP) http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft82039/

 

このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2011 Kogakuin University. All Rights Reserved.