△世界の文学Ａ（World Literature A）[5B02]

＜授業のねらい及び具体的な達成目標＞

　サマセット・モームの挙げた「世界の十大小説」を数年かけて読んでいきたい。そう思い定めて今年で４年目である。２００８度はドストエフスキー『カラマゾフの兄弟』全５冊を読了した。亀山郁夫の新訳（光文社古典新訳文庫）が１００万部を超えるベストセラーとなった評判作である。２００９度はスタンダールの『赤と黒』とエミリー・ブロンテ『嵐が丘』、昨年度はバルザック『ゴリオ爺さん』とハーマン・メルヴィル『白鯨』とを読んだ。そして今年は、ジェイン・オースティン『高慢と偏見』とフローベール『ボヴァリー夫人』とにチャレンジしたい。いずれも女性の生き方を描いた名作中の名作である。作者の伝記や歴史的社会的な背景にも目を向けながら、文学テクストの読解力を養うことを目標としたい。

＜授業計画及び準備学習＞

　１　ガイダンス（履修上の注意と毎回提出の課題の説明）
　　　　準備学習：『高慢と偏見』を入手し読みはじめる
　２　ジェイン・オースティンとその時代（１）
　　　　準備学習：『高慢と偏見』を指定の箇所まで読了しておく
　３　ジェイン・オースティンとその時代（２）
　　　　準備学習：『高慢と偏見』を指定の箇所まで読了しておく
　４　『高慢と偏見』をどう読むか
　　　　準備学習：『高慢と偏見』を指定の箇所まで読了しておく　　　
　５　『高慢と偏見』をどう考えるか
　　　　準備学習：『高慢と偏見』を最後まで読了しておく　　　
　６　『高慢と偏見』をどう論じるか
　　　　準備学習：『ボヴァリー夫人』を読み始める
　７　『高慢と偏見』を批評してみる
　　　　準備学習：『ボヴァリー夫人』を読みすすめる
　８　『高慢と偏見』の批評を相互批評する
　　　　準備学習：『ボヴァリー夫人』をさらに読みすすめる
　９　フローベールとその時代
　　　　準備学習：『ボヴァリー夫人』をさらに読みすすめる
１０　『ボヴァリー夫人』とその背景
　　　　準備学習：『ボヴァリー夫人』を最後まで読了しておく
１１　『ボヴァリー夫人』の言葉
　　　　準備学習：『ボヴァリー夫人』の批評を書いてみる
１２　『ボヴァリー夫人』の構造
　　　　準備学習：『ボヴァリー夫人』の批評を再度書いてみる
１３　フローベルからスタンダールへ
　　　　準備学習：できれば『赤と黒』を読んでおく
１４　バルザックからフローベールへ
　　　　準備学習：できれば『ゴリオ爺さん』を読んでおく
１５　学習成果の確認（最終レポート作成）
　　　　準備学習：授業での指示を守り、「自分の言葉で」批評を書き上げる

＜成績評価方法及び水準＞

　「文学」の授業では、まず取り上げる作品をきちんと読むことが基本。毎回宿題に課したところまでの感想文等を執筆してもらうと共に、未知のクラスメート間で回覧し相互批評を行う。その他宿題や授業中の提出物をもとに平常点を算出。学期末提出の批評レポートとあわせて評価し、６０点以上の者に単位を認める。最終の批評レポートの比重は約６割。ただし、平常点が一定の点数に達しない者の批評レポートは、採点対象としない。最終レポートのみ提出しても単位はとれない。

＜教科書＞

　オースティン『自負と偏見』（新潮文庫）
　フローベール『ボヴァリー夫人』（新潮文庫）
　『高慢と偏見』『ボヴァリー夫人』は他社の文庫本や文学全集本で読んでも構わない。

＜参考書＞

　ジェイン・オースティン、セス・グレアム＝スミス『高慢と偏見とゾンビ』（二見文庫）
　その他読んでほしい本を教場で随時紹介する。

＜オフィスアワー＞

　新宿校舎２７７２研究室　月１２：２０〜１２：４０
　それ以外は教員に直接たずねること。

＜学生へのメッセージ＞

　『高慢と偏見』『ボヴァリー夫人』をともかく一日も早く読了（過去に読んだことがある人は再読了）することが必要。遅くとも『高慢と偏見』をゴールデンウィーク明けまでには読みあげないと、授業についていけなくなる。通学往復の車中などを利用して、長編小説を読み進めていくための時間を作り、読みはじめた以上は最後まで読み通す決意を固めてほしい。
　『ボヴァリー夫人』もできれば５月中には読み終えてほしい。２冊を読み終わったらさらに、これまでに取り上げてきたドストエフスキー『カラマゾフの兄弟』、スタンダール『赤と黒』、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』、バルザック『ゴリオ爺さん』、メルヴィル『白鯨』にもチャレンジしてみてほしい。
　この授業は作品を先に読んでいなければどうにもならない。文庫本の厚さに臆することなく、この機会に世界文学中の大傑作と呼ばれる長篇小説にどんどんチャレンジしてみようという心意気のある学生にだけ受講してほしいと思う。そして、欠席すると授業中に行われる課題への参加に支障が生じる（他の学生たちにも迷惑をかけることになる）ので、登録した以上は一回も休むことなくきちんと出席するよう強くお願いする。

このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。 Copyright(c)2011 Kogakuin University. All Rights Reserved.