2011年度工学院大学 第1部建築学科 建築学コース

建築法規(Architectural Regulation)[1A12]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
後藤  治 教授  
[ 教員業績  JP  EN ]
高橋 昭彦 非常勤講師

最終更新日 : 2012/03/09

<授業のねらい及び具体的な達成目標>

 皆さんが関わる、「建築する」 という行為は、社会環境に大きな影響を長期間にわたって与えます。
そして、その行為には、様々な法令や規範も含め、大変多くのルールがあります。
ルールをきちんと守り、実践するためには、そのルールの意味を理解することが大切です。
そこで本授業のねらいとして、建築関連法規について単に文理解釈するだけではなく、「何故、そのような法令や規制があるのか。」 「建築という行為と、どのように係っているのか。」 さらに、「時代の背景や技術の進歩によって、どのように変化していったのか。」 といった点にまで理解を深めてもらえるよう講義を進めます。
また、主な達成目標としては、条文をバラバラに理解するのではなく、建築関連法規の全体像を体系的に捉えることと、建築という(本授業では主に設計)行為のプロセスに応じた法令・規制について、実例を取り上げながら、初歩的な実務をイメージできるレベルにまで身に付けてもらいたい。
実務に役立つ授業を、心がけたいと思います。

<授業計画及び準備学習>
第1週:授業のガイダンス
    授業の進め方と建築法規を学ぶ意味
    建築物の完成までの流れと法規の関係

    準備学習 : 配布資料(主に例題)を自己学習し、次回の授業に備えること。(以降同じ)

第2週:法令の基本中の基本を学ぶ!
    法の分類と建築基準法の体系・建物は勝手に作れない!
    確認申請とは?・設計図の目的は?
    規定の種別と区分を法令集の目次で全体像をとらえる
   ・建築物を建てるための原則 ― 1 : 用語の定義・道路の定義・都市計画区域

第3週:集団規定を理解する! (+ 小テスト)
    都市について・建築物と道路の関係・道路の幅員による建築制限
    都市計画法と建築基準法→地域、地区制・都市計画図を見てみよう
    集団規定で規制する内容→用途制限、形態規制等

第4週:建築プロセス1 ・調査・分析 : ( 調査の種類と目的を掴もう!)
    調査によって、「どのような法規制が関係するのか?」を把握する
   ・建築物を建てるための原則 ― 2 : 用途地域と建築物の用途制限
   ・建築物を建てるための原則 ― 3 : 規模、形態の制限・建築基準法で用いる面積の種類

第5週:建築プロセス2 ・企画設計 : 建蔽率、容積率の制限
    企画設計とは?:コンセプトメイキング+ボリューム算定、計画案は1つではない!
    形態規制を理解しなければ、どんな設計も不可能
    
第6週:建築プロセス3 ・企画設計 : 高さの制限
    形態デザインに影響を与える規制
    高さに参入するもの、しないもの・階数と階

第7週:建築プロセス3 ・企画設計 : 高さの制限 (+ 小テスト)
    高さ制限の種類と内容 1) 道路斜線制限 2) 隣地斜線制限 3) 北側斜線制限
    日影規制による建築物の高さとボリュームの制限
   ・建築物を建てるための原則 ― 4 : 形態制限
   ・建築物を建てるための原則 ― 5 : 構造の制限
    
第8週:建築プロセス4 ・基本設計
    基本設計とは?:計画の主旨と規模や骨格(内容)を決定していく
    2つの構造→工法的構造と、耐火・防火性能上の構造の選択
    法的視点からの設計フロー:平面計画、断面計画、使用材料における法規制チェック

第9週:建築プロセス5 ・基本設計
    ステップ1 : 「シェル(殻)の設計」と防火規定
    ステップ2 : 「居室の配置と動線計画」と避難規定

第10週:建築プロセス6 ・基本設計 (+ 小テスト)
    ステップ3 : 「区画割(間仕切等)」と採光・排煙
    ステップ4 : 「防火区画」と面積・吹抜け

第11週:建築プロセス7 ・実施設計
    実施設計とは? : 具体的な仕様、寸法を決定していく
    部材の選定・内装制限・耐火性能などの規制
    その他の意匠設計と係わる規制

第12週:建築プロセス8 ・実施設計
    構造強度関係規定 :構造設計と安全
    設備関係規定 1)換気設備 2)排煙設備 3)昇降機
    電気関係規定 1)非常用照明 2) 避雷設備
    消防法(消防設備): 消防法による防災・消火・避難設備

第13週:建築プロセス9 ・各種申請
    建築士法 : 建築士(資格)の種類(1級・2級・木造)によって、設計して良い建物が決まる!
    建築プロセス10 ・発注と受注 1)建設業法 2)発注方式
    建築プロセス11 ・建設工事 1) 工事現場の安全と衛生
    建築プロセス12 ・工事監理業務・各種検査 : 近年、重要度が増している!
    建築プロセス13 ・完成・使用開始
    建築プロセス14 ・維持・管理・定期報告・住宅性能保証制度等

第14週:建築実務と建築倫理
    フリートーキング
    最後に、定期試験の内容等の説明

第15週:学習成果の確認(定期試験)

<成績評価方法及び水準>

原則として定期試験による評価とする。60点以上の者に単位を認める。
ただし、試験の点数が50点以上60点未満の者で、かつ、授業内で実施した3回の小テストを全て受けた者は、レポート提出を認め、レポート内容が単位認定相当と判断される場合には最終成績を60点とする。
また、不定期に実施する出席確認において、全て欠席の者の成績評価は「A」を上限とする。

<教科書>

建築関係法令集「平成23年度版」井上書院、他、基本建築基準法関係法令集であれば可
その他、オリジナル資料を授業の度に配布する。

<参考書>

建築法規用教材(日本建築学会) / 建築倫理用教材(日本建築学会)
建築申請メモ2011(新日本法規出版)

<オフィスアワー>

授業終了後適宜。

<学生へのメッセージ>

皆さんが社会に出て、まず最初に驚かれるのが、「実務を進める上で、なんと多くの法規制があることだろう!」 という点です。 でも、社会にはルールが必要です。 そして、そのルールを、いち早く理解しているか否かによって、社会人としてのスタートラインがまったく違います。
複雑な建築関連法規ですが、出来るだけ平易に楽しく進めたいと思います。 一緒に学びましょう!

 

このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2011 Kogakuin University. All Rights Reserved.