2011年度工学院大学 第1部情報通信工学科
化学II(Chemistry II)[3E74]
2単位 高山 俊夫 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 工学部の学生として材料・構造について深く理解するために学んでおかなければならない基礎科目の1つである、「化学II」を原子・分子に着目することによって理解することを試みる。現在の言葉で言えば、ナノサイズの世界を創造できるようにすることが目標となる。概念で分かったと思っていても、実際理解し身についているかの繰り返しの自己学習が求められる。化学Iからのステップアップとして化学の応用についても理解を深めてほしい。履修する前と後で材料・構造の見方が違ってきたなあ!?と思わせるように講義する。専門科目の化学を深く理解するための登竜門として位置づけてほしい。
- <授業計画及び準備学習>
- 1
ガイダンス:「化学II」とはなにか?何を求める学問なのか?のアンケートをとる。原子のおいたちについてのビデオを鑑賞する。 2 原子とその構造の復習:量子化学以前の原子の模型での原子像について、説明できることと出来ないことについて解説する。 3 電子配置と物質量についての復習:元素は一定の周期性をもって、ある集団としてグループ化できることを理解する。メンデレーフの周期表を中心に講義する。 4 化学結合についての復習:イオン結合、共有結合、配位結合、金属結合について解説する。 5 錯体化学:結晶場理論、配位子場理論について説明する。遷移金属イオンの発色を理論的に理解する。 6 固体の性質:結晶構造、液晶、半導体とは何かを解説する。液晶の構造と応用について理解する。p型、n型 半導体について理解する。太陽電池に概念を理解する。 7 化学平衡と平衡定数:反応速度と熱力学について深く理解する。 熱力学第一法則、熱力学第二法則を理解する。 8 水のイオン積とpH:電離度と電離定数、緩衝溶液について理解する。 強酸と弱酸の違いは何か? 9 電池の応用:実用電池と燃料電池について詳しく述べる。 標準電極電位を理解する。燃料電池、電気分解について学習する。 10 高分子化学:繊維、合成樹脂、ゴムについて講義する。 特殊繊維についても紹介する。 11 生体関連物質:糖類、タンパク質、酵素とDNA、ビタミンについて講義する。 12 生物無機化学:鉄酵素、銅酵素、亜鉛酵素について講義する。 13 肥料と農薬、医薬品、食品添加物:医薬品の製造、食品添加物の意義を講義する。 14 水環境と土壌環境の化学:酸性雨、富栄養化、土壌の化学について講義する。 15 学期末試験 化学Iの修学度の程度は問わないので教科書の予習と復習を行うようにしてください。
- <成績評価方法及び水準>
- (小テスト・レポート)20点および定期試験80点による総合評価。錯体化学、固体の性質、化学平衡と平衡定数、水のイオン積とpH、電池の応用、高分子化学、生体関連物質、生物無機化学、肥料と農薬、が理解できれば合格(60点)
- <教科書>
- 「化学の視点」川泉文男著、学術図書出版を中心に行う。適時プリントを配布する。
- <参考書>
- 興味のある学生は「基礎からの無機化学」山村博、門間英毅、高山俊夫共著(朝倉書店)を参考にされたい。
- <オフィスアワー>
- 原則、授業前と後の時間及び質問書への回答として対応する。
- <学生へのメッセージ>
- 反応はどうして進むのか?遷移金属イオンの色はどうして発するのか?酵素とは何か?タンパク質はどこでつくられるのか?医薬品の製造はどのように行われているか?など、化学Iで学んだ化学の基礎を土台に理解してください。暗記に頼らないように学んでください。適時、小テストを行なうので、出席は必須条件です。
- <備考>
- 理解を深めるために演習問題を解く。時間内に理解できなかったことを質問書として受け取り、次週に説明する。視覚に強く訴えるために、パワーポイントを使う。
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