2011年度工学院大学 第1部電気システム工学科

交通システム(Transportation Systems)[1E11]

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2単位
高木  亮 准教授  
[ 教員業績  JP  EN ]

最終更新日 : 2012/03/09

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 電気エネルギーを走行のために用いる「電気利用交通」は,これまで電気鉄道が実用的なものとしてはほぼ唯一の例だったが,近年の技術開発によってこの状況に急速に変化が生じつつある。電気鉄道自身も,新幹線や都市鉄道を始めとしてさまざまな技術的展開をみせている。この科目では,大規模システムの典型例のひとつである電気鉄道を中心に据えつつ,「電気利用交通」の展開について,歴史から最先端まで至る幅広い知識を得ることを目的とする。
 達成目標は,こうした知識を得ることに加え,交通システムの評価(例えば省エネルギー性)の手法や,それを改善するための手法に関して,電気システム技術者として基礎的と考えられるレベルの知識を得ることである。

<授業計画及び準備学習>
1. 「世界一」の日本の鉄道
  実績の裏側にある世界 関係者の苦労の例
2. 鉄道が形作った近代世界
  200年前、鉄道はITそのものだった!
  世界を「つくった」鉄道 都市は鉄道なしに成り立たない
  最先端技術のユーザとしての鉄道 通信と交通
  「環境の時代」
3. 交通とエネルギー
  社会におけるエネルギー消費
  省エネルギー性 鉄道は本当に環境に優しい? 比較の方法
  同じ鉄道でも日本のそれは飛び抜けて省エネルギー、違いはどこから?
  最新のいわゆるエコカーや航空機との比較
4. 電気車両の仕組み (1)
  電気自動車 世界最初の電気鉄道
  直流電気車 抵抗制御 組合せ制御 界磁制御
5. 電気車両の仕組み (2)
  直流電気車つづき ブレーキシステム 電力回生ブレーキ
           チョッパ制御 界磁制御
6. 電気車両の仕組み (3)
  直流電気車つづき VVVFインバータ制御
  交流電気車 構成方法(特に交直流車両の実現) 3相交流の使用
7. 電気車両の仕組み (4)
  交流電気車つづき 整流器方式 位相制御
           PWMコンバータ 電力回生ブレーキ
8. 電力供給の仕組み (1)
  エネルギー蓄積技術 架線は生き残るか?
  パンタグラフ・架線系 騒音 高速化
9. 電力供給の仕組み (2)
  直流饋(き)電系 饋電等価回路 回生失効
  交流饋(き)電系 スコット結線変圧器 AT饋電・BT饋電
10. 交通システムとシステム工学
  評価 最適化 シミュレーション
11. 信号・保安
  信号システムと保安システム 閉塞・連動・鎖錠 軌道回路
   車内警報装置から ATS,ATC への変遷
   移動閉塞 軌道回路からの決別 インターオペラビリティへの挑戦
12. スケジューリング
  列車ダイヤ 評価手法 ダイヤパターン 運転整理の問題 組合せ最適化手法
   旅客案内との関係 運行管理を中心とした鉄道の統合システム化
13. 出改札・通信・その他
  出改札システム 諸外国の無改札システム 日本流自動改札
   未来のシステムへ 非接触ICカードと電子マネー 携帯電話との融合
  通信システム 鉄道電話 列車無線 車内サービス
  保守技術の革新 専用検測車 営業運転用車両による状態監視
14. さまざまな交通システム/最近の話題/日本の課題
  高速鉄道 都市鉄道・ライトレール 「新交通」 磁気浮上式鉄道 ほか
  国際規格議論 実は技術や技術開発のあり方そのものの問題でもある
  鉄道産業の再編 世界的に進む民営化とオープンアクセス
  国際競争 「世界的」鉄道運営事業者の登場 受注競争
  日本の課題
15. 学習成果の確認(試験)

準備学習:
 予習は特に必要なし。
 復習は講義時に配布された資料等を読み込み,関連資料等を可能な限り幅広くあたること。練習問題等があれば自分で手を動かし解いてみること。

<成績評価方法及び水準>
期末試験により行う予定。出席を確認し,出席回数がある値を下回った学生については単位を認めないことがある。

<教科書>
なし。適宜プリント等を配布する。

<参考書>
「最新 電気鉄道工学」,コロナ社 (2000).

<オフィスアワー>
講義終了直後。なお,これ以外の時間帯についても随時対応するが,その場合は担当者の電子メールアドレス takagi@cc.kogakuin.ac.jp に電子メールを送信し,アポイントメントをとったうえで,直接居室(新宿キャンパス A-2374 室)を訪問されたい。

<学生へのメッセージ>
 可能な限りビジュアルな教材を準備したいと思っています。電気システム工学科に限らず,交通システム,あるいは鉄道に興味を持つ多くの学生の聴講を期待しています。

 

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