2011年度工学院大学 第1部 *電子工学科

電気回路理論演習I(Exercises in Electric Circuit Theory I)[6B73]

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1単位
高橋 泰樹 教授  
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山口 智広 准教授  
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最終更新日 : 2012/03/09

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
電気回路に関する問題を解きながら電気回路理論の理解を深めると共に、その応用能力を養うことを目標とする。具体的達成目標は次の通りである。
・直流回路に関して理解し、種々の計算が出来ること。
・正弦波交流回路の瞬時値表示による解析が出来ること。
・複素数を用いて正弦波交流回路を解析出来ること。
・複素数で表現されていることと実際に起きる現象との対応を理解すること。
◆交流理論以降では、三角関数や複素数の計算を頻繁に行うので、十分に復習をしておくこと。
(学習支援センターの活用)

<授業計画及び準備学習>
理論の講義内容に沿って演習問題を授業中に解き提出。回答例は次週の授業中に示す。
計算力や回路変形のセンスを要求されるケースも多く、数多くの問題に触れる。
また実際の企業の入社試験等で出された問題も解いてみる。


1.電流、電圧、抵抗、電圧降下と逆起電力の概念。
  抵抗に加える電圧、流れる電流の関係(オームの法則)を理解し、オームの法則(式)
  を使って計算ができるようにする。
2.抵抗回路の合成抵抗に関する式の導出
  電気回路図に徐々に慣れると共に、基本的な抵抗の並列・直列接続の式の導出をできる
  ようにする。また、基本的な合成抵抗の式を用い、抵抗を任意の状態で接続(直列、
  並列、それらの混合)したときの合成抵抗を自由に計算できるようにする。
3.分圧、分流
  抵抗を用いて電圧や電流を分配できることを理解し、分圧の公式、分流の公式を導ける
  ようにし、これらの式を自由に使いこなせるようにする。
  また、電圧計、電流計に応用した場合、許容以上の電圧、電流を測定できることを理解する。
4.電流と電力
  抵抗体に電流が流れると熱(ジュール熱)が発生することを学び、電力について学ぶ。
  効率よく電力を供給する条件(最大消費電力)について学び、電源の内部抵抗と負荷抵抗
  の関係と最大消費電力の関係を理解し、条件を導けるようにする。
5.キルヒホッフの法則
  回路解析をする上で基本となるキルヒホッフの法則を理解し、簡単な電気回路を解析で
  きるようにし、知りたい部分の電圧や電流を自由に求めることができるようにする。
6.回路解析・回路方程式(1)
  キルヒホッフの法則を応用し、回路網解析法を解析例を通して学ぶ。(枝電流法)
  これによりより複雑な電気回路を解析できるようにする。
7.回路解析・回路方程式(2)
  前回の講義の続き。キルヒホッフの法則を応用し、回路網解析法を解析例を通して学ぶ。
 (ループ電流法、接点方程式法)これによりより複雑な電気回路を解析できるようにする。
8.重ね合わせの定理・テブナンの定理・ノルトンの定理
  回路解析の手法の1つである重ね合わせの定理について学び、自由に使えるようにする。
  また、電源に電圧源、電流源が有ることを学び、任意の回路網が1つの抵抗と1つの
  電源(電圧源あるいは電流源)で表せることを理解し、これらの変換を自由にできるよ
  うにする。
9.Δ−Y変換、Y−Δ変換、ホイートストンブリッジ
  抵抗の特別な場合の接続法(Δ接続、Y接続)の変換を学ぶ。またブリッジ回路について
  学び平衡条件を導けるようにする。ブリッジ回路は交流回路理論でも使うことがあり十分
  に理解しておく必要がある。
10.正弦波交流:振幅、角周波数、初期位相、位相差、実効値
  交流回路を学ぶ上での基本的な概念を学び理解する。
  特にこの講義以降頻繁に三角関数が出てくるので十分な数学的な復習や理解が必要となる。
11.LRCの基本的性質
  コイルやコンデンサの交流回路での働きを十分理解する。
  コイル、コンデンサの働きは今後、通信系回路やアンテナを学ぶ上で基本となる。
12.相互誘導回路
  物理的には接続されていない2つのコイルの誘導現象について回路の観点から学び、
  回路網に接続されたときの等価回路への変換や、全体の回路の解析をできるようにする。
  誘導現象については電気磁気学で学んだことを復習のこと。
13.交流電力:瞬時電力、平均電力、皮相電力、有効電力、無効電力、力率
  交流にはいろいろな電力の定義がありそれぞれの特徴を理解し求められるようにする。
  また、どのような場合にどの表記をするのが適切なのかを分かるようにする。
14.複素数と正弦波交流の複素数表示・複素インピーダンス、複素アドミッタンス
  複素数を用いることで、コイルやコンデンサが直流回路における抵抗と同様に扱えることを学ぶ。
  (インピーダンス、アドミッタンスの概念の理解)
  合成インピーダンスの計算が間違いなくできるようにする。
  この講義以降(回路理論IIに向けて)、頻繁に複素数の計算を行うことになるので十分な数学的
  な復習や理解が必要となる。
  複素数の絶対値、分母の有理化が計算ミス無くできるようにしておくこと。
15.学習成果の確認(定期試験)

<成績評価方法及び水準>
定期試験と提出物(レポートなど)の平均値が60点以上の者を合格とする。
ただし、上記の結果が50点以上60点未満の者で、8割以上出席し、課題を8割以上提出した者については、提出物の内容を判断し合格とする場合がある。
◆定期試験・レポートの結果が良くても、出席状況が悪い場合には不合格とする。

<教科書>
電気回路教本 秋月影雄、橋本洋志(オーム社出版局)

<参考書>
「詳解 電気回路演習」木下真二郎著(共立出版)
電気学会大学講座 「電気回路論 2版改訂」平山 博、大附辰夫(電気学会)

<オフィスアワー>
水曜15:00〜

<学生へのメッセージ>
最近の傾向として、計算ミスが非常に目立ちます。多くの問題を自分で考えて、必ず紙に書ながら最後まで(答えの単位まで)答えを出すようにして下さい。
また授業中にやった問題で、自分が間違えたところは理解するまで、こだわって下さい。

 

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