2011年度工学院大学 第1部応用化学科

化学(Chemistry)[4107]

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2単位
佐藤 光史 教授  
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最終更新日 : 2012/03/09

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
工学部化学系大学1年生として、今後の専門科目の授業を理解するために必要な化学の基礎知識を身につけることをねらいとする。入学時の到達度差に配慮して、高校化学程度の基本的な事項からはじめるが、最終的にはより理論的で厳密な内容も取り扱う。講義を通して環境問題に対する化学の役割、人間生活や社会生活における化学の成果などを知り、化学の視点から自らの専門分野を見直すことが目標である。
以下に具体的な達成目標を示す。
1)原子の構造を理解し、そこから化学結合の本質を説明できるようになる。
2)化学反応に関する基本的な化学計算ができるようになる。
3)ミクロな分子とマクロな物質を結ぶ動的平衡の概念を理解する。
4)酸と塩基の定義とそれらの反応について理解する。
5)酸化還元反応の本質とその電気化学との関連について理解する。

(前提となる基礎知識と修得後の展開)
授業を理解するためには、高校化学I程度の内容を身につけておくことが望ましい。高校で化学を履修していない場合は、学習支援センターの基礎講座と個別指導を最大限利用すること。本科目を修得することで、より高度な化学系各学科の専門科目を履修する準備ができたことになる。

<授業計画及び準備学習>
第1週:授業計画の説明、物質の分類、化学変化とその量関係
第2週:原子の構造と原子量、モル
第3週:原子モデルと電子軌道
第4週:電子配置と周期律
第5週:化学結合と電子、イオン結合と金属結合
第6週:共有結合と分子(無機・有機)
第7週:物質の三態、気体分子の状態方程式
第8週:液体(溶液)と固体(結晶)
第9週:化学平衡、質量作用の法則
第10週:反応に伴う熱収支、反応速度
第11週:酸と塩基、中和反応、酸・塩基の強弱
第12週:中和反応、加水分解とpH
第13週:酸化と還元、酸化数と酸化還元電位
第14週:電池と電気分解、有機化合物の燃焼
第15週:学習成果の確認(試験)
<準備学習>
各回の課題を用いて、予習・復習を行うこと。各時間ごとに提示される課題は、前回の復習を含むので、到達度を確認できる。新たな課題による予習に取りかかる前に、到達度に応じて複数回の復習を行い、確実な実力を身に付ける。

<成績評価方法及び水準>
原則として定期試験(100点)で評価し、60点以上を合格とする。授業中に課した演習と課題の成績(再提出を含む)を最大40%まで含む総合点を最終評価とする。59点以下の場合、基礎化学演習受講者については、その評価が合格点の者に限り、課題で再評価することがある。

<教科書>
講義の際に配布する資料と演習問題集を用いる。教科書は指定しない。

<参考書>
「基礎化学」化学教科書研究会編 化学同人
「第4版 化学−物質・エネルギー・環境」浅野努・荒川剛・菊川清著 学術図書出版社
以上の二編は、化学系大学生が1年生のうちにマスターすべき内容がコンパクトにまとめられている。高校で化学IIまでマスターした学生の参考書としてはこちらを薦める。

「化学 基本の考え方を中心に」A. Sherman, S. Sherman and L. Russikoff著 石倉洋子・石倉久之訳 東京化学同人
「実感する化学(上下)」A Project of the American Chemical Society 廣瀬千秋訳 エヌ・ティー・エス
以上の二編は、アメリカの教養課程向け化学教科書の和訳である。国際的には、これらの本にある化学知識が「社会人」の常識であると考えてよい。大量の易しい演習問題に答えながら基礎知識を固めていくスタイルなので、高校化学に自信のない学生に一読を薦める。
その他の参考書は講義の際に紹介する。

<オフィスアワー>
特に指定しない。研究室在室中(八王子12号館305号室)は、質問や相談を歓迎する。但し、常に研究室に在室しているとは限らないのでE-mailを利用するか、来室を事前に連絡すること(ft10302@ns.kogakuin.ac.jp)。

<学生へのメッセージ>
大学で学ぶ化学は暗記ものではありません。基本的な事柄をしっかり理解し、あらゆる場面で応用が利くようにすることが大事です。進度が速いので最初は戸惑うかもしれませんが、授業でわからないところは、質問したり参考書を読んだりすることですぐに解決してください。基礎的な実力を高めるには、学習支援センターの利用も効果的です。「わからないこと、知らないことを知ることは重要である。わからないことをそのままにしておくことが恥ずかしいことである。」

<備考>
授業内容を統一するため、担当教員間で協議し上記のシラバスを調整することがある。

 

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