△エンジンシステム（Engine Systems）[5B01]

＜授業のねらい及び具体的な達成目標＞

エンジンをシステムとして捉え，構成要素の機能を詳しく研究し高性能化を図るとともに，システム全体を最適なものにすることが大切であることを学ぶ。具体的にはシステムの構成要素や特性間に必ずある「Trade-off」の関係を整合させる基礎知識を確実に身に付ける。具体的な達成目標は、以下の７項目を理解することにある。（１）ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの選択；拡散燃焼と予混合燃焼システムおよび電動システムの比較による理解。
（２）エンジンの燃料と燃焼の選択；セタン価とオクタン価のtrade-off，熱力学第一法則に基づく熱発生率の計算、燃焼方式の理解。
（３）エンジン排ガスの決定要因；燃焼室と混合気形成、燃料供給装置、後処理装置の理解。
（４）エンジン出力の決定要因；シリンダー内に吸入された空気量と必要燃料量の理解。
（５）エンジン燃費の決定要因；エンジン燃焼解析とエンジンフリクションの理解。
（６）エンジン耐久性と重量の決定要因；トライボロジー、疲労、熱疲労、剛性強度と重量の理解。
（７）エンジンコジェネレーションシステムとハイブリッドシステム；エネルギーの形態と変換の理解。
（JABEE学習・教育目標）
[機械工学エネルギー・デザインプログラム]：（D）◎、（F）○
（JABEEキーワード）
[機械工学エネルギー・デザインプログラム]：エネルギー保存則(熱力学第一法則)、設計法、衝撃波、キャビテーション、物質伝達、反応性流れ、反応計測、気体の流動、燃焼反応、トライボロジー、対流熱伝達率、熱交換器、圧縮性流体力学、エネルギーの形態と変換
[前提となる基礎知識と習得後の展開]
「物理学I」、「物理学II」、「化学I」、「化学II」、「流れ学I及演習」、「工業熱力学I及演習」、「内燃機関」、「伝熱工学」、「機械工学設計総合演習」で与えられた知識を持っていることを前提にして講義が計画されている。本科目習得後または並行して、「燃焼工学」、「ガスタービン」、「自動車工学」、「航空宇宙工学」、「環境制御工学」などの関連科目に展開することで、さらなる理解を深めることができる。

＜授業計画及び準備学習＞

1．ディーゼルエンジンとガソリンエンジン；燃焼写真比較、両者の欠点＝スモークとノックの比較　演習課題１
2．エンジンの燃料；ディーゼルエンジン用燃料とガソリンエンジン用燃料、セタン価とオクタン価のtrade-off　演習課題２
3．ディーゼルエンジンの燃焼；燃焼方式、混合気形成、スモークの回避、熱発生率の計算　演習問題３
4．ガソリンエンジンの燃焼；燃焼方式、混合気形成、ノックの回避　演習課題４
5．中間試験
6．ディーゼルエンジンの排ガス；窒素酸化物と粒子状物質の生成機構、排ガス浄化システム　演習課題５
7．ガソリンエンジンの排ガス；窒素酸化物と未燃炭化水素の生成機構、排ガス浄化システム　演習課題６
8．ディーゼルエンジンの出力；スモークリミット、空気量の確保＝過給、混合エネルギーの確保　演習課題７
9．ガソリンエンジンの出力；ノックリミット、空気量の確保＝動弁系、混合エネルギーの確保 演習課題８
10.中間試験
11.エンジンの燃費；排ガス性能とのtrade-off、エンジンフリクション　演習課題９
12.エンジンの重量；エンジン高性能化とのtrade-off、剛性・強度と重量の両立　演習課題10
13.エンジンの耐久性；磨耗とトライボロジー、応力変動と疲労、温度変動と熱疲労　演習問題11
14.エンジンコジェネレーションシステムおよびハイブリッドシステム；エネルギーの形態と変換およびその設計　演習問題12および総合演習
15.定期試験

＜成績評価方法及び水準＞

講義中に指示する「演習課題」(講義終了後に自力で考えてくる宿題であり、次の講義のはじめに提出する)および授業の途中で行う「演習」を評価に加味する。この「課題演習」の内容は＜授業のねらいと具体的な達成目標＞に深く関連しており、単位取得には欠かせない条件になる。総合演習で、復習をした後、最終的に、定期試験による評価を行う。
すべての演習課題を提出し、定期試験が合格すれば、「機械工学プログラム」の学習.教育目標（D）、(F)が達成される。演習課題を40%，定期試験を60%として評価し、合計が60点以上を合格とする。

＜教科書＞

「エンジン―熱と流れの工学―」是松孝治、森棟隆昭編著（産業図書）

＜オフィスアワー＞

講義前、終了後随時、あるいはメールにて

＜学生へのメッセージ＞

システムでない機械はない.エンジンシステムの最適化は「苦渋の選択」を意味する。

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