2011年度工学院大学 第1部機械工学科 エコエネルギーコース

流れ学III(Fluid Flow III)[3B01]

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2単位
飯田 雅宣 非常勤講師

最終更新日 : 2012/03/09

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 粘性のない理想化された流体である理想流体は,数学的取り扱いが容易になるため,流れの基本的な理解に大いに役立つものである。また,実際の工学上の問題の解決にも有用な場面が少なくない。流れ学IIIでは,理想流体の力学,特に2次元非圧縮ポテンシャル流れを中心に,その基本事項を学んでいく。
 本科目の達成目標は以下の通りである。(1)理想流体の仮定を適用できる条件を理解する。(2)速度ポテンシャル,流れ関数の概念を理解する。(3)複素速度ポテンシャルを理解し,代表的な2次元ポテンシャル流れを解析する。(4)翼などの物体に働く力を求める。(6)理想流体中の渦について理解し,渦糸の運動を解析する。
(JABEE学習・教育目標)
 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」: (D)◎
(JABEEキーワード)
 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:エネルギー保存則(ベルヌーイの式),質量と運動量の保存,相似則,理想流体の力学,各種流れの抵抗,粘性流体の力学,翼,渦
(前提となる基礎知識と習得後の展開)
 本科目を履修する前に,数学として「数学I・II」などの微分積分学,「複素関数論」,「ベクトル解析」を,物理学として「工業力学及演習I・II」などの質点・剛体の力学,「流れ学I及演習」,「流れ学II」を習得しておく必要がある。本科目の修得後は,シミュレーションなどのさらに高度な流れの解析やタービンなどの具体的な流体機械の設計に進むことができる。

<授業計画及び準備学習>
1. 流体の基礎方程式1
  (流れ場の未知量,数学的準備,質量と運動量の保存
  準備学習:微分積分学,ベクトル解析,質点・剛体の力学,流れ学(I・II)を復習しておくこと
2. 流体の基礎方程式2 ,理想流体の力学粘性流体の力学
  (オイラーの式,境界条件,相似則,レイノルズ数,境界層)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
3. 非圧縮ポテンシャル流れ
  (度,循環,渦なし流れ,速度ポテンシャル,ラプラスの式)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
4. エネルギー保存則ベルヌーイの式),2次元ポテンシャル流れ
  (ベルヌーイの式,流れ関数)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
5. 複素速度ポテンシャル,代表的な2次元ポテンシャル流れ1
  (複素関数,複素速度ポテンシャル,一様流)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
6. 代表的な2次元ポテンシャル流れ2
  (角を回る流れ,わき出しと吸い込み,糸)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
7. 代表的な2次元ポテンシャル流れ3
  (2重わき出し,循環のない円柱まわりの流れ)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
8. 代表的な2次元ポテンシャル流れ4
  (循環のある円柱まわりの流れ)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
9. 物体に働く力,各種流れの抵抗
  (抵抗,揚力,ダランベールのパラドックス,クッタ・ジュコフスキーの定理)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
10. 等角写像の応用1
  (等角写像法,ジュコフスキー変換)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
11. 等角写像の応用2
  (平板を過ぎる流れ,を過ぎる流れ)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
12. 3次元ポテンシャル流れ
  (球のまわりの流れ)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
13. 運動1
  (線,管,糸,定理)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
14. 運動2
  (糸の運動,層)
  準備学習:前回の授業内容を復習しておくこと
15. 学習成果の確認
 (試験)
  準備学習:前回までの総復習を行うこと

<成績評価方法及び水準>
総合評点は、期末試験結果を約70%、授業中の小テストの結果(約3回を予定)を約30%の比重で計算する。総合評点が60点以上を合格とする。ただし、総合評点が60点未満であっても、期末定期試験が60点以上の場合は合格(60点)とする。成績は「機械工学エネルギー・デザインプログラム」の学習・教育目標(D)に対応する。

<参考書>
「流体力学(1)」大橋秀雄著(コロナ社),「流体力学(前編)」今井功著(裳華房)

<オフィスアワー>
授業終了後30分間程度,講義室または新宿キャンパス12階講師室で。

<学生へのメッセージ>
流体力学の古典であるポテンシャル流れの理論は,渦,わき出しなどの基本的な流れをコンパクトな数式の形で表現することにより,その本質を理解するものです。流体機械などで見られるような一見複雑な流れも,基本的な流れを組み合わせることで,現象の理解が可能になります.受講の前に,前提となる数学などを十分に復習しておいてください。

<参考ホームページアドレス>
http://fluid.mech.kogakuin.ac.jp

 

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