2011年度工学院大学 第1部機械工学科
○工業熱力学I及演習(Engineering Thermodynamics I and Exercise)[6360]
3単位 是松 孝治 教授 [ 教員業績 JP EN ] 齊藤 剛 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- (JABEEキーワード)
「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:状態量と状態変化、エネルギー保存則(熱力学の第一法則),熱力学の第二法則,状態方程式,気体の流動,エネルギーの形態と変換,サイクル (前提となる基礎知識と習得後の展開) 本科目を履修する前に,「数学I・II」「数学演習」などにより微分積分学を,「物理学I」の内容の理解しておくことが必要である。本科目の修得によって,「工業熱力学II」「内燃機関」「エンジンシステム」「伝熱工学」「蒸気工学」「燃焼工学」などの―基幹産業を支えるエネルギー変換機器の性能設計に必要な―科目を履修することができる. つまり、エネルギーコースの専門科目の導入部分であって、ここまではどのような分野に進むにも最低限必要なことのみに絞っている。
- <授業計画及び準備学習>
- 毎週2時限続けて授業を行う。原則的に講義と演習を交互に行う。
高等学校で学んだ熱と分子の運動の分野を事前に復習しておくこと。さらに1年次の物理学の講義で熱力学に関連する分野を復習してから講義に臨むこと。 15回(2コマ)の講義・演習の内容は下記のとおりである。 1. 熱力学の基礎事項 熱力学の歴史、状態量と非状態量と熱と温度及びその単位、配布課題1ー1による演習 2. 熱力学第1法則 熱平衡と熱力学的平衡,熱と仕事の作用と効果の同等性(エネルギーの形態と変換)。配布課題1ー2 3. 熱力学第1法則の数式表現 状態変化,準静的過程,エンタルピー,比熱。配布課題1ー3による演習 4.第1段階のまとめと1次試験 5. 理想気体の4つの状態変化と熱および仕事の計算(その1) 状態方程式と比熱,代表的な準静的変化(等温、等圧、等積)とその計算。配布課題2−1による演習 6. 熱力学第2法則とエントロピー 可逆変化と不可逆変化、準静的変化 7.カルノーサイクル、熱力学的温度,エントロピー 8.エントロピーの計算と有効エネルギーの意味 6,7,8は配布課題2ー2による演習を行うが理解度に応じて内容を選択する。 9.第2段階のまとめと第2次試験 10. 熱と仕事の変換サイクル:熱機関の仕事発生の原理。配布課題3−1による演習 オットサイクルとディーゼルサイクルの熱効率。配布課題3−2による演習 11.サイクル論の限界。配布課題3-3による演習 12. 熱機関と冷凍機とヒートポンプを設計するには+第3段階のまとめと第3次試験 13. 気体の流動 定常流動系,連続の式,エネルギー式,ノズルを通る可逆断熱流れの計算 臨界流と臨界圧力、末広ノズルと衝撃波の発生、配布課題4ー1による演習 14. 理解度に応じて上記の内容を深めたり、補足したりする 15.学習成果の確認(期末試験) 上記の内容は、教科書に準拠して進むので、予習復習に役立つはずである(他の参考書でもよいがすくなくとも1冊は専門書を揃えること)
- <成績評価方法及び水準>
- 期末試験(50%)と1−3次の試験(30%)と演習への取り組みの姿勢やその成果(20%)を総合する。()内の比率で総合評価する。
- <教科書>
- 熱力学教育研究会編「機械技術者のための熱力学」産業図書
- <参考書>
- 是松、斎藤ほか「はじめて学ぶエンジン技術と機械工学」コロナ社
- <オフィスアワー>
- 講義終了後:1号館1Fの講師室または8号館205室に来てください。
- <学生へのメッセージ>
- 1.熱力学の理論展開で「ピストンとシリンダの組み合わせ」がしばしば出てくるのはなぜかを考えると「機械工学」で熱力学の立場がわかります。
2.工業熱力学の「工業」の意味は、熱と仕事の変換にあります。熱力学の知識だけで仕事を生み出すエンジンや暖房に使うヒートポンプの設計は出来ません。ただし、基礎になる熱力学を知らないこれらの機械の技術者にはなれません。 3.エンジン、ガスタービン、ジェットエンジン、圧縮機、冷蔵庫、ヒートポンプ、ボイラ、熱交換器,燃焼器、蒸気タービンなどの熱が関係する機械の「性能」設計は機械技術者の活躍の場です。熱力学の切れ味を実感するでしょう。 4.一時ブームになった燃料電池も熱力学の知識が役立ちます
このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2011 Kogakuin University. All Rights Reserved. |
|