2011年度工学院大学 第1部機械工学科
△現代社会の倫理(Ethics for Our Society)[1103]
2単位 岡田 大助 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 「ねらい」 日本倫理思想史上の主要なテキストとの対話を通して、現代社会を生きる倫理を考える。
「達成目標」 自己とは何か、誠実とは何か、情愛とは何か等、倫理学上の様々な問いに対して、講義で紹介した思想を踏まえつつ、自分の言葉で答えられるようになること。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.ガイダンス 「近代」と「現代」
2.夏目漱石の倫理思想(1)「現代日本の開花」と「私の個人主義」 3.夏目漱石の倫理思想(2)小説『こころ』に見るエゴイズムと個人主義の限界(1)先生 4.夏目漱石の倫理思想(3)小説『こころ』に見るエゴイズムと個人主義の限界(2)先生とK 5.夏目漱石の倫理思想(4)小説『こころ』に見るエゴイズムと個人主義の限界(3)Kの自殺 6.『平家物語』の倫理思想(1)実盛 武士と名 7.『平家物語』の倫理思想(2)兼平 主従の契り 8.『平家物語』の倫理思想(3)維盛(1) 滝口入道と横笛の悲恋 9.『平家物語』の倫理思想(4)維盛(2) 妻子への情愛 10.『平家物語』の倫理思想(5)重衡(1) 奈良炎上 11.『平家物語』の倫理思想(6)重衡(2) 罪からの救済 12. 『平家物語』の倫理思想(7)宗盛(1) 平家一門のおごり 13. 『平家物語』の倫理思想(8)宗盛(2) 子への情愛 14. 『平家物語』の倫理思想(9)忠度 和歌と鎮魂 15. 学習成果の確認(試験) なお、各授業ごとに(1)授業のポイントのまとめ、(2)それについての自らの意見の簡単な論述、を準備学習として課す。各自、ノートに実施すること。
- <成績評価方法及び水準>
- 「達成目標」に達しているかを問う定期試験(100点)によって成績を評価、60点以上の者に単位を認める。問題は、(1)講義の要約、(2)それに関する問いを立て自分の考えを論述すること、の二点を課す。なお、成績評価の詳細については、第一回目の講義でより具体的に説明するので、必ず出席すること。
- <教科書>
- なし。プリントを配る。
- <参考書>
- 佐藤正英『日本倫理思想史』東京大学出版会
相良亨「『平家物語』の基調」『相良亨著作集第四巻』所収、ぺりかん社。
- <オフィスアワー>
- 授業前後、教室または講師室にて。
- <学生へのメッセージ>
- 国際化する現代社会を生きる我々が、生きるよりどころとしての「倫理」について考えるに当たり、他国の考え方に開かれていることの重要性は論を待ちません。しかし、そのためには、同時に、自らの内なる伝統を自覚することが必要です。ところが今日、後者を顧みる機会はほとんどありません。そこで、本講義では、日本の倫理思想史に焦点を当てて学習します。講義の前半では、思想史においては現代と連続するとされる近代の、自己を中心とする思想とその問題点について、夏目漱石のテキストを素材として考えてゆきます。後半は、それと比較しながら、『平家物語』に見ることのできる日本人の様々な伝統思想を見てゆきます。現代社会の倫理といっても、現代のことだけで考えるのがよいとは限りません。自らの内なる伝統を正確に理解しながら、それを安易に否定するのでも肯定するのでもなく、それと冷静に対話してゆくことで、実りある思索ができることを、実感してほしいと思います。
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