2010年度工学院大学 教職課程科目

生徒指導論(Guidance)[9361]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
安部 芳絵 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/21

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
この授業では、子どもの権利条約を活かした生徒指導について考え実践的な力を身につけることを目的とする。前期は、教育相談・カウンセリングに関する基礎的な知識について学び、それを土台として、教師の「聴く力」「待つこと」の意味を問う。
子どもは、権利の主体である一方で、親や教師、地域の力を借りながら自立していく存在である。そこで、授業にあたっては、生徒指導が直面するさまざまな問題を取り上げ、子どもの成長発達の権利を保障するために、教師はどのような指導と支援が可能であるのかを具体的に検討する。子どもに向き合う実践力を身につけるために、アイスブレーキング、ロールプレイング、事例研究、グループディスカッションの手法を用いる。毎回の授業終了時には、個々の省察を促すためにふりかえりシートにコメントを記入し、翌週の講義でコメントを共有する。

<授業計画及び準備学習>
■講義と事例研究、グループワーク中心です。
1 オリエンテーション:子どもの現在を見つめる
2 生徒指導とはなにか(1):定義と意義
3 生徒指導とはなにか(2):基礎的理論・学級の組織・運営
4 生徒指導とはなにか(3):生徒理解・教育相談・カウンセリングの理論
5 教育相談・カウンセリングと実践(1):「問題行動」の背景を考える〜ADHD/LD/高機能自閉症を事例に〜
6 教育相談・カウンセリングと実践(2):「問題行動」に向き合う〜不登校と居場所〜
7 教育相談・カウンセリングと実践(3):つながりで子どもを支える〜子ども相談の固有性とその支援実践〜
8 進路指導・職業指導(1) 進路指導を中心に
9 進路指導・職業指導(2) 職業指導を中心に
10 事例研究(1)少年犯罪
11 事例研究(2)子どもの貧困
12 事例研究(3)子ども参加の学校づくり1:学校運営
13 事例研究(4)子ども参加の学校づくり2:「待つこと」の実践
14 前期のまとめ
15 学習成果の確認(レポート)
※なお、講義は全て参加型で実施する。各自の積極的な参加を期待する。
 取り上げるテーマは、参加者の希望をできるかぎり反映したい。そのため、内容が変わることもある。
【準備学習】
※各回の授業予習として(1)新聞やニュースで子どもに関連する記事を読む、クリッピングすること(2)子どもに関する記事やニュースを題材に、家族や友人と話をすること(3)前回のコメントシートに目を通しておくこと。なお、関連する教科書のページは、適宜指示するので読んでおくこと。
※各回の復習として(1)コメントシートに自分なりの考えを記入すること(2)講義で学んだことを子どもと向き合う実践に活かすこと(3)活かしてみた結果を次回の講義に反映すること。

 

<成績評価方法及び水準>
講義への出席を前提とし、毎回の講義終了時に記入するコメントシートを30点満点、期末に実施する試験を70点満点として、6割以上の者に単位を認める。

<教科書>
『子ども支援学研究の視座』安部芳絵、学文社(※3月末〜4月発売予定です)
(詳細は、初回の講義にて指示します)

<参考書>
『生徒指導の手引き(改訂版)』文部省(1981年)
『生徒指導資料』『中学校・高等学校生徒指導の手引』文部科学省(各年次)
『現代学校改革と子どもの参加の権利』喜多明人編著、学文社(2004年)
『子どもとともに創る学校』澤田治夫ほか編、日本評論社(2006年)
『省察的実践とは何か』ショーン著、柳沢昌一・三輪健二監訳、鳳書房(2007年)
そのほかは、授業中に適宜紹介する。

<オフィスアワー>
講義終了後に教場にて対応する。
なお、メールアドレスは講義の際に提示する。

<学生へのメッセージ>
教師になるかどうか迷っている人、自分の考えをうまく伝えられない人、コミュニケーションが苦手な人も歓迎です。参加型の学習方法で、少しずつ、自分の苦手なことにトライしてみませんか。社会人や現役教師のみなさんは、自分の経験・考えを講義の中で伝えてくれると嬉しいです。
「問題のある子」は、「問題に直面している子」です。教師として、子どもが直面する現実をどう支援していけるか、一緒に考えていきましょう。

 

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