2010年度工学院大学 第2部建築学科
現代科学技術概論(General Survey on Current Science and Technology)[1706]
2単位 木幡 侮m 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- [ねらい]:自然科学,技術が今日置かれている状況を科学史および技術史の視点から検討するケーススタディを提供.
[達成目標]:物理学を典型とする現代科学の原動力の1つとなっている広義の還元主義的手法の思想的源流がギリシャ自然学にまでたどられることを,特に「対称性」という観点から理解してもらい,かつ,現実の自然が複雑な様相を呈していることと,宇宙の進化との関連などについても,言及したい.また,時間があれば,現代科学技術の1潮流となっている複雑系の科学との関係についても視座を与える.
- <授業計画及び準備学習>
- 第1週:導入.現代科学・技術のあり方と本講義との関係
第2週:科学革命という考え方
第3週:古代ギリシャ自然学以前
第4週:ギリシャ自然学の発生とその特異性.イオニア学派の話を中心に,その起源の謎に触れる
第5週:ギリシャ自然学の3つの潮流.数学的自然観を準備した自然学者たち(ピュタゴラス学派を中心に)
第6週:プラトンとプラトン主義における自然観(イデア論に基づく自然観:現代物理学の“レシピー”との対応を念頭に)およびアリストテレスとアリストテレス主義の自然観.両者の宇宙の見方の違い
第7週:アレキサンドリアの“科学”(科学史におけるヘレニズム期の意味とこの時期の“科学”と自然学時代の“科学”との違いと特色)
第8週:アレキサンドリアの科学(アレキサンドリアにおける数学・物理学の展開)
第9週:アレキサンドリアの科学(アレキサンドリアにおける天文学の展開.特にプトレマイオスの宇宙など)
第10週:コペルニクスの宇宙像とピュタゴラス・新プラトン主義
第11週:チコ・ブラーエの生涯.観測と宇宙像
第12週:ケプラーの精神的特異的二面性とケプラー科学の意味(ピュタゴラス・新プラトン主義者としてのケプラーと,桁外れに優れた科学研究者としてのケプラー).惑星の運動に関する3法則とその科学史的意義
第13週:惑星の運動に関するケプラーの3法則の発見の経緯とその意味(現代科学が揺籃期から抱えていた“いかがわしさ”の意味)
第14週:ニュートンの力学とケプラーの3法則_1
第15週:ニュートンの力学とケプラーの3法則_2
- <成績評価方法及び水準>
- ●期末試験の点数(60%)と出席点(40%)の合計:
( )内はそれぞれに置かれる点数の重み(つまり,期末試験の点数を60点満点に換算し,かつ,すべての講義日に出席していれば,それだけで40点が与えられる) ●合否分岐点:60点(つまり60点以上:合格,60点未満:不合格) ●なお,出席の登録は,カードを利用した自動出欠処理システムによる
- <教科書>
- 書籍化を準備中(講義シーズンに間に合わなければ,テキスト配付)
- <参考書>
- 講義でそのつど紹介
- <オフィスアワー>
- 講義終了後
- <学生へのメッセージ>
- 現代科学・技術の動きを興味本位で表層的に追うだけでなく,現在の動きの歴史的背景についても関心を払う習慣を身に付け,科学・技術に関する考え方に深みをもたせてほしい.また,積極的に講義内容に関係する本を繙き,講師の言わんとするところを的確にとらえる準備をして講義に臨んでいただきたい.
- <備考>
- ●プレゼンテーションソフトとテキストを主体とした説明となる.
内容は,教科書〔もしくは配布テキスト・資料)に並行する. ●補足的説明は,きれいな板書を心がけるが,ときに乱雑になりがち. 要点をとらえてノートをとるようにしていただきたい. ●レポート作成は,標準的なレポートの書き方を踏襲してほしい. (例えば,・論題→・現状→・分析→・結論→・参考文献のような構成で、メリハリの利いた形で……)
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