2010年度工学院大学 第2部情報通信メディア工学科

文化人類学A(Cultural Anthropology A)[3703]

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2単位
姜  竣 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/21

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 本授業のねらいは、「文化 culture」ということばの歴史と人類学の誕生から出発し、この学問が文化のさまざまな側面に取り組んできた歴史を概観することである。講義は、前半では、人類学における理論、術語(概念)、人名、民族誌(調査)資料の四つを軸に進められ、人類学に関する幅広い理解を目指す。後半では、その後の人類学の現代的な課題と可能性を探るべく、「権力」「暴力」「植民地状況」「身体」「メディア」「知識」などをキーワードに、近年の人類学の成果を紹介する。

<授業計画及び準備学習>
1.ガイダンス−人類学の区分と命名−
   準備学習:日本人類学会ホームページで「「人類学」とは」という項目を読んで理解しておくこと
2.「文化」という言葉の歴史と人類学の誕生
   準備学習:大航海時代の概略的な歴史を理解しておくこと
3.アメリカ・文化人類学と文化相対主義の台頭
   準備学習:「進化論」「優生学」の一般的な意味を理解しておくこと
4.イギリス・社会人類学と機能主義の台頭
   準備学習:パプア・ニューギニアのトロブリアンド諸島の地理を概観しておくこと
5.フランス・民族学と構造主義の台頭
   準備学習:ソフォクレス『オイディプス王』のあらすじを理解しておくこと
6.文化相対主義への批判:文化決定論の克服
   準備学習:デレク・フリーマン『マーガレット・ミードとサモア』(1995、みすず書房)の第2章「ミード
   のサモア調査」を読んで理解しておくこと
7.構造機能主義人類学への批判:権力と暴力(戦争)に関する政治人類学
   準備学習:ピエール・クラストル『国家に抗する社会』(1989、書肆風の薔薇)の第2章「交換と権
   力/インディアン首長制の哲学」を読んで理解しておくこと
8.文化を書くこと(民族誌)への批判
   準備学習:『アイヌ肖像権裁判・全記録』(1988、現代企画室)を読んで、裁判の経緯を理解して
   おくこと
9.植民地状況と人類学の限界
   準備学習:「植民地主義」の一般的な意味を理解しておくこと
10.文化人類学の再創造(1):精神分析と人類学
   準備学習:フロイトの年譜と精神分析の歴史を概略的に理解しておくこと
11.文化人類学の再創造(2):コミュニケーションとメディアの人類学
   準備学習:「口承文芸」(oral-literature)の一般的な意味を理解しておくこと
12.現代への挑戦(1):身体と知識の人類学
   準備学習:「ハビトゥス」の一般的な意味を理解しておくこと
13.現代への挑戦(2):カルチュラル・スタディーズと人類学
   準備学習:「文化社会学」の一般的な意味を理解しておくこと
14.文化人類学の現代的課題
   準備学習:「グローバリゼーション」「ネオリベラリズム」の一般的な意味を理解しておくこと
15.学習成果の確認(レポート課題作成)
   準備学習:前回までの総復習を行うこと

<成績評価方法及び水準>
授業への出席を前提に、学期末の課題論文と授業中の小テスト、感想文などをふまえて総合的に評価し、60点以上のものに単位を認める。

<教科書>
テキストは必要に応じて、教室で配布する。

<参考書>
授業中に関連するところで随時提示する。

<オフィスアワー>
授業終了後に教室で。

<学生へのメッセージ>
第一回目の授業時に成績評価方法および水準について説明するので、必ず出席すること。なお、授業の趣旨は変わらないが、取りあげる内容は変更もありうる。

 

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