2010年度工学院大学 第2部情報通信メディア工学科

宗教論A(Religious Studies A)[3603]

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2単位
田口 博子 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/21

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
−初期ドイツ・ロマン派における神と人間の関連―
 初期ドイツ・ロマン派の思想家たちが追究した問いの一つは、「人間は超越的なもの(神)といかなる関連を結ぶことができるか?」です。このような問いが発せられるのには、正統派のキリスト教が伝統的に提示してきた「神」に、もはやリアリティーが感じられなくなってしまったという事情が深く絡んでいます。
 そこでフリードリヒ・シュライアマハーは「宇宙(神的原理)を直観する」ことのできる感覚を涵養することを訴えます。他方、自己の最も奥底に潜む神的なものと出会い、自己を超越した、すなわち我執を捨て去った視点を獲得すべく努力せよとノヴァーリスは説きます。
 神を宇宙、あるいは自己の裡に求め、神との合一を目指す彼らの主張には、神秘思想の要素が見受けられます。先年度の前期に引き続き今学期は、初期ドイツ・ロマン派における人間と神との関連を、神秘思想という観点から考察します。まず、彼らの思想運動が生まれた時代背景を概観し、次に「神秘思想とは一体何なのか?」ということを説明します。それから、彼らに大きな影響を与えたカントの霊魂観とフィヒテの自我・非我観を取り扱い、シュライエルマハーの『宗教論』の抜粋とノヴァーリスの断章を講読することを予定しています。

<授業計画及び準備学習>
1 ドイツ・ロマン派とその時代背景
2 神秘思想とは?
3 イマヌエル・カントの霊魂観について
4 ヨハン・ゴットリープ・フィヒテの自我・非我観について
5 フリードリッヒ・シェリングの「宇宙霊」について
6 フリードリッヒ・シュライアマハーにおける(1)宇宙の直観
                      (2)ロマン派と宗教の関連
7 ノヴァーリスにおける(1)内面への道
            (2)外界への道
            (3)自我と高次の自我

<成績評価方法及び水準>
 学期末にレポート(3000字程度)を提出していただきます(8割)。出席点は2割とします。また、採点外ですが、授業後に感想・質問点を書いてください。それをもとに進めて行きたいと思います。

<教科書>
参考文献 資料・プリントを適宜配布します。

<オフィスアワー>
水曜日第6限

<学生へのメッセージ>
 かなり専門的な話が多くなると思いますが、なるべく現代の状況を踏まえながら授業を進めたいと思います。

 

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