2010年度工学院大学 情報学部情報デザイン学科
△経済学入門(Introduction to Economics)[1131]
2単位 遠山 智久 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- この講座では、経済学の基本を解説しながら、経済学的な観点で社会・経済をみる力を養うことを目指します。日常生活においても、これからの人生においても、私たち個人は社会との関係の中で生きていかなければなりません。そう考えたとき、私たち個人にとってひいては社会全体にとって必要な社会の仕組みはどういうものでなければならないのでしょうか?あるいは、我々人間社会をよい方向に導く社会制度とはいったいどういうものなのでしょうか?「社会・経済をみる」とは、この問いに対する答えを自分なりに持つということに他なりません。これらを考えるヒントは身近なところにたくさん転がっています。講義ではできるだけ身近な事例を題材に経済・社会を考えることの意味を考えます。
経済学を一通り学べば、新聞の経済記事はある程度理解できるようになります。この講座でも、トピックとしてニュースで話題になりやすい社会・経済問題を経済学の基本に当てはめて分析していきます。
- <授業計画及び準備学習>
- 経済学はミクロ経済学とマクロ経済学から構成されています。
ミクロ経済学は我々の日常生活における様々な意志決定がなぜ行われたのか?そしてそれによってどのような社会状態が実現するのかを分析する基本を学びます。
マクロ経済学は一国全体の経済の仕組みを個々の経済主体をまとめた総体として観察し、社会・経済を国としてどのように導けば国民が「豊かな」暮らしを送ることができるのかを分析する基本を学びます。
新聞の経済記事はしばしばマクロ的な視点で社会を見ているのでマクロを勉強すれば経済記事の多くを理解することができます。
●ミクロ経済学
1.イントロダクション〜経済学の考え方とインセンティブ問題 学習準備:この講座で自分なりに何を学ぶべきか?考えておいてください。何事も自分だけの目標をもって臨むと学べる内容も異なってくるので、目標を持つことはとても大切です。「個性」を持ちたいと考えられているなら、何に関しても自分だけの目標を持とうとする心を持つことは個性的になる大きな一歩です。目標が異なれば、同じ講義を聴いても自分なりの位置づけは変わってきます。日常の現象の様々な位置づけられかたの違いは、積み重なると社会や人間をみる視点に大きく影響するようになります。 2.ゲーム理論: 静学ゲームとナッシュ均衡〜かけひきの経済分析 学習準備:教科書のゲーム理論の部分を一読しておいてください。 3.ゲーム理論: 動学ゲームと部分ゲーム完全均衡〜コミットメントとは何か? 学習準備:教科書のゲーム理論の部分を一読しておいてください。 4.情報の非対称性が引き起こす問題:逆選択とモラルハザード 学習準備:教科書のゲーム理論の部分を一読しておいてください。 5.貨幣の不思議とその役割 欲求の二重の一致 学習準備:教科書の部分均衡分析の部分を一読しておいてください。 6.需要と供給の原理(価格メカニズム)とその特徴〜余剰分析・課税 学習準備:教科書の部分均衡分析の部分を一読しておいてください。 7.価格メカニズムの限界〜環境問題の経済分析 学習準備:教科書の市場の失敗とその補正の部分を一読しておいてください。
●マクロ経済学
8.マクロ経済学入門〜GNPの概念・物価水準 学習準備:教科書の国民所得会計の部分を一読しておいてください。 9.GNPの決定 新古典派とケインズの乗数理論、累進課税の役割 学習準備:教科書の国民所得決定の理論(乗数理論)の部分を一読しておいてください。 10.中央銀行の役割・マネーサプライと市場金利 学習準備:教科書のマネーサプライに関する部分を一読しておいてください。 11. 財政金融政策の効果〜IS-LMモデルの概要 学習準備:教科書のIS-LM分析に関する部分を一読しておいてください。 12. 財政金融政策の効果〜IS-LMモデルによる分析 学習準備:前回の復習と、教科書のIS-LM分析に関する部分を一読しておいてください。 13.株価・為替レートの決定理論 学習準備:教科書の株価決定と為替レートに関する部分を一読しておいてください。 14. 経済学の考え方 再考〜科学哲学(観察と理論)・倫理(平等・価値観) 学習準備:前回までの総復習をして、経済学を学んで何がわかったのか自分なりに考えておいてください。 15. 期末試験 学習準備:前回までの範囲を総復習しておいてください。詳しくは14回目の講義で説明します。
- <成績評価方法及び水準>
- 成績評価は平常点(小テスト・宿題・レポートなど)30%、期末試験70%。
詳しくは初回の講義で説明します。
- <教科書>
- ●ミクロ経済学
遠山智久(2008)『大学生のミクロ経済学』東京図書。 ●マクロ経済学 中谷巌(2007)『入門マクロ経済学〜第5版』日本評論社。
- <オフィスアワー>
- 毎回授業の後1時間(いつでも連絡してください)。
- <学生へのメッセージ>
- 授業で学んだ考え方で身の回りの様々な出来事を自分なりに分析して解釈しようと心がけてください。
経済学は比較的体系がしっかりした学問です。数学と同じで積み上げ式になってますので、各回完結型の授業ではありません。授業を休まれた場合は、教科書を読んだり友人からノートを借りるなどしてフォローしてください。
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