2010年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科
○物理学演習I(Exercises in Physics I)[4517]
1単位 松普@旭洋 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- グローバルエンジニアリング学部における学習の土台の1つとして,物理学の基礎を
演習形式で学ぶ。演習問題はすべて英文であり,プリントを配布する。
物理学演習Iでは力学が中心となる。高校での物理学未習者がいることも考慮して 基礎的なレベルから学んでいく。この科目は講義の「物理学I」と対をなすもので, 講義と演習が連携しながら進行する。講義では基本的な概念や定理を学習し,演習 で実際に手を動かして問題を解くことにより理解を定着させる。
以下の項目を習得することを目標とする。
(1)各種の物理量と単位系、物理量の間の数学的関係の把握と計算ができる こと。ベクトル量の扱いを理解すること。 (2)各種の力(重力、抵抗力、復元力、向心力など)の意味が理解できること。 (3)具体的な対象が与えられたときに、前項の力を使って、運動方程式を書 き下すことができること。2階微分方程式の範囲で、その方程式を解き、その 結果の物理的意味が把握できること。 (4)エネルギーと運動量の保存則を理解し、対象に対して、これらの保存則 を適用することができること。 (5)剛体のつりあい条件を理解し、対象に対して、これらの条件を適用する ことができること。
(前提となる基礎知識と修得後の展開) 本科目で修得した内容は,「物理学演習I」,「物理学II」,「物理学演習 II」,「物理学III」,「物理学演習III」および,物理学の知識を基礎とし て要求する各専門科目の履修に役立つ。
(JABEE学習・教育目標) 「国際工学プログラム」 (C)基礎工学・専門工学知識の習得:◎ JABEE基準1の(1)の知識・能力:(c)(d)の(1):◎
- <授業計画及び準備学習>
- 1. 序論。物理学の方法。一般常識(SI単位系,ベクトルなど)。
SI単位系の構造,接頭語などを学ぶ。力などのベクトル量について,合成と分 解,接線成分,法線成分の定義などを学ぶ。 準備学習:高校で学習した微積分の復習をしておく。
2. 数学的準備(1)。座標系。連続的変化と微分。速度と加速度。 位置と速度の関係について詳しく議論し,連続的に変化する物理量の間の関係 式が微分により表現されることを理解する。簡単な運動については,具体的に 速度,加速度が計算できる。 準備学習:教材プリント「基本」問1-10の英文の内容を理解した上で解いてくること。
3. 数学的準備(2)。積分。密度分布。 前回での位置と速度の関係を逆転して,物理量の間の関係式が積分により表現 されることを理解する。そして,初期条件の重要性と使い方を学ぶ。密度を例 として分布量(場)の扱いを理解する。 準備学習:教材プリント「座標、ベクトル」問1-6の英文の内容を理解した上で解いてくること。
4. 質点力学(1)。ニュートンの力学法則。等加速度運動。 ニュートンの3法則を学ぶ。重力による運動を例として,等加速度運動の扱い を理解する。2次元の放物運動についても学ぶ。 準備学習:教材プリント「速度、加速度」問1-6の英文の内容を理解した上で解いてくること。
5. 質点力学(2)。抵抗力。 運動方程式の解法の例として,抵抗力を扱う。微分方程式の扱いについて概略 を理解し,結果の物理的意味(終端速度など)を理解する。 準備学習:教材プリント「積分、密度」問1-4の英文の内容を理解した上で解いてくること。
6. 質点力学(3)。単振動。 運動方程式の解法の例として,単振動を引き起こす力を扱う。微分方程式の扱 いについて概略を理解し,結果の物理的意味(単振動の性質)を理解する。 準備学習:教材プリント「等加速度運動」問1-4、「抵抗力」問1-3の英文の内容を理解した上で解いてくること。
7. 質点力学(4)。円運動。 円運動をしている質点に働く力,向心力を理解する。この定式化が地球の運動 や原子の中の電子の運動にも使えることを学ぶ。 準備学習:教材プリント「単振動」問1-4の英文の内容を理解した上で解いてくること。
8. 質点力学(5)。運動と座標系。慣性力。 ガリレオの相対性原理を学び,なぜ地球が動いていることを感じないかを理解 する。慣性力として,乗り物の発進・停車時に働く力は何か,遠心力コリオリ 力とはどのようなものかを理解する。 準備学習:教材プリント「円運動」問1-4の英文の内容を理解した上で解いてくること。
9. 力学の保存量(1)。仕事。力学的エネルギー。 保存量の概念について学ぶ。目に見えないエネルギーを理解するために正確な 仕事の定義を理解する。運動エネルギーとポテンシャルエネルギーについて学 び,その簡単な応用例を扱う。 準備学習:教材プリント「相対運動、慣性力」問1-4の英文の内容を理解した上で解いてくること。
10. 力学の保存量(2)。運動量と角運動量。衝突。 ベクトルの保存量である,運動量と角運動量について学び,その保存則を理解 する。運動量保存則の応用として衝突現象を扱う。 準備学習:教材プリント「仕事、エネルギー」問1-4の英文の内容を理解した上で解いてくること。
11. 万有引力。ケプラーの法則。質量の概念。 ケプラーの観測結果から,どのように万有引力が導かれたかを円運動近似で議 論する。万有引力により現象を理解する例として,地上の重力,静止衛星,脱 出速度を扱う。慣性質量と重力質量の概念を学ぶ。 準備学習:教材プリント「運動量、衝突」問1-3の英文の内容を理解した上で解いてくること。
12. 剛体の力学(1)。剛体の記述。重心。抗力、摩擦力。 剛体と質点を対比させて,回転運動の自由度と扱いを理解する。一様で簡単な 形状の物体の重心の計算法を学ぶ。剛体間の接触面で働く力を学ぶ。摩擦係数 について学ぶ。 準備学習:教材プリント「万有引力」問1-4の英文の内容を理解した上で解いてくること。
13. 剛体の力学(2)。力のモーメント。剛体のつりあい(静力学)。 力のモーメントの定義を学ぶ。そして,剛体のつりあい条件を理解し,簡単な 系のつりあい条件を分析して理解を深める。 準備学習:教材プリント「剛体の重心と慣性モーメント」問1-3の英文の内容を理解した上で解いてくること。
14. 力学のまとめ。 準備学習: 前回までの総復習を行うこと
15. 定期試験。 準備学習: 前回までの総復習を行うこと
- <成績評価方法及び水準>
- 演習点(50点)+試験(50点)で評価し60点以上を合格とする。
- <オフィスアワー>
- 木曜日18:00-19:00
八王子校舎『1号館1階講師室』又は『1号館2階206室』 (1階講師室にいることが多い)
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