2010年度工学院大学 第1部建築系学科

数学I(Mathematics I)[3326]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
片野 修一郎 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/21

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
専門課程で数学が必要になった時、きちんと使えるように、微積分の概念的な理解と実際の運用技術の修得の両方を目標とする。余裕があれば、論理体系の典型としての、また人類が築いた壮大な思想体系としての数学の側面も味わって欲しい。具体的には、(1)関数・極限・微分の意味を理解し、いろいろな関数の導関数が求められること(2)Taylorの定理の意味を理解し、いろいろな解析関数のTaylor展開ができること(3)積分の計算技術を身につけること、を主な目標とする。

<授業計画及び準備学習>
1.ガイダンス/数学の基本事項(数式の意味や書き方のルール)の確認/極限概念
  準備学習:高等学校の数学IIIまで理解している自信がある人は特に何もなし。それ以外の人は、授業が始まってからではなく、始まる前の準備が大切です。高等学校の教科書は無味乾燥ですが、これほど要領よくまとまった本は他にありません。短期間に一通りのことを身につけたいなら、高等学校の教科書ほど合理的にできているものはないのです。ですから、高等学校数学IIの教科書をまず徹底的に復習しておくこと。公式を覚えるのではなく、「地の説明文」をよく読んでください。数学IIIをやった人はそれも。
2.関数とは?(概念・極限・連続性)
  準備学習:前回渡した基本事項のプリントをよく読んでおくこと(これがわかっていないとひどい目にあいます)。高等学校の教科書も復習のこと。
3.導関数の定義とその基本的性質
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の練習問題を沢山解いてみること。
4.三角関数の導関数
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の練習問題を沢山解いてみること。
5.eの導入とストーリー、指数関数の導関数
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の練習問題を沢山解いてみること。
6.初等関数の導関数(合成関数の微分法 ここが最大の山場です) 
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の練習問題を沢山解いてみること。
7.逆関数とは?(逆三角関数/逆関数の微分法)
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の練習問題を沢山解いてみること。
8.初等関数の導関数(対数関数の導関数、対数微分法)
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の練習問題を沢山解いてみること。
9.高次導関数
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の練習問題を沢山解いてみること。
9.平均値の定理・不定形の極限/演習
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の練習問題を沢山解いてみること。
10.Taylor/Mac'Laurinの定理とその意味
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の練習問題を沢山解いてみること。
11.Taylor/Mac'Laurin展開/演習
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の練習問題を沢山解いてみること。積極的に黒板に出て解答すること。
12.積分とは?(Riemann積分の定義と微分の逆演算としての積分公式)
  準備学習:高等学校の教科書の積分の箇所を復習のこと。
13.不定積分の計算技術I(置換積分法)/演習
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の練習問題を沢山解いてみること。高等学校の教科書をやり直すのが一番良い。
14.不定積分の計算技術II(部分積分法/有理関数の積分)/演習
  準備学習:前回までの授業内容を消化しておくこと。プリントや手持ちの本の練習問題を沢山解いてみること。高等学校の教科書をやり直すのが一番良い。
15. 学習成果の確認(前期末試験)
  準備学習:前期全般について復習・整理し、問題練習をきちんと「理解しながら」行うこと。問題の解き方だけを覚えてもダメです。

<成績評価方法及び水準>
期末試験一回で評価。授業時に配布する演習問題のプリント中から出題する予定。
他に、時間の許す限り授業時に演習を行うので、黒板で解答をした者には平常点を与え、試験の点数に加算する。また、授業時の質問に答えた場合やレポート課題を提出した場合も適宜平常点を与える。以上の合計点が基準に達した者を合格とする。評価は厳格に行い、追試措置等は一切しない。

<教科書>
授業は自前のプリントを中心に進めるので、特定の本をなぞることはしません。自分の気に入った本があればそれを用意すればよい。教科書としての微積分の本はどれも大同小異である。最近は、学生の学力が多様化し、それに応じて様々なスタイル・レベルの本が出ているので、自分の実情に合った、自分にとって読みやすい本を選んでそれを手元に置いておくのが一番よいと思う。授業ではそれほど使わなくても、本として一冊手元にあれはいつでも参照できる(卒業するまで、或いは卒業してからも使える)ので、理工系の学生として微積分の本は必ず一冊は持っておいたほうが良い。また、授業とは違う説明を読むことは、理解を深める上でとても良いことです。高校の復習も含めて、易しく丁寧に書いてある教科書の例として一応次の本を推薦します。
長崎憲一・横山利章「明解 微分積分」(培風館)
例題や練習問題も豊富なので、授業の補足や自習にも役立つだろうと思う。

<参考書>
一回目の授業時に紹介する。最近はいろいろなタイプの微積分の参考書が出版されている。新宿には大書店がいくつかあるので、足を運んで、実際に手に取って、自分の気に入ったもの・自分のニーズに適ったものを選ぶのが一番よい。

<オフィスアワー>
授業の前後の休み時間、八王子校舎1号館講師室で。質問歓迎します。

<学生へのメッセージ>
基本が身についていれば、授業を聞いているだけでわかるように話すつもりですが、基礎・基本に自信がない人は、授業が本格化する前に、高等学校の数学はできる限り復習しておいて欲しい(これは強くお願いする)。近年、意味もわからないままに問題の解き方だけを丸暗記しようとする傾向が非常に著しく、教員として危機意識を感じています。数学はきちんと理解すればどんどんわかるようになって楽しくなります。逆に全部丸暗記しようとすれば、誰でもパニックに陥りますし、すぐに全部忘れて何も身につかないのでは結局時間の無駄です。よく考えることのみがあなたの頭脳を耕してくれます。よく耕された頭脳は、将来きっとあなたの力になってくれるでしょう。また、近年目につく現象として、数学の基本ルールが身についていないことが挙げられます。この授業ではその確認を機会あるごとに行うので、もし自分が該当すると思ったら、この機会に徹底的にわかってほしい。それが原因で、勉強してもいつまで経ってもできるようにならない、という不幸なことにならないように願います。

 

このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2010 Kogakuin University. All Rights Reserved.