2010年度工学院大学 第1部情報通信工学科
○物理学II(Physics II)[2564]
2単位 中澤 宣也 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 物理学Iで学んだ力学の知識を基礎にして,古典物理学のもう一つの柱である電磁気学と,多粒子系を扱う熱力学の基礎について学ぶ。ベクトル場という概念と,統計という処理法が新しくでてくる。何れも重要なものなので、よく理解すること。現代物理学のトピックスも,適宜話をする。
<達成目標> (1)熱力学に現れる物理量(絶対温度、物質量、比熱、内部エネルギー、エントロピー等)の意味を 理解すること。 (2)理想気体の状態方程式を利用して、気体の状態変化が扱えること。 (3)熱力学の第1、第2法則の意味を理解し、具体的な系に適用できること。 (4)電磁気学に現れる物理量(電荷,電流,電場,電位,磁場等)の意味と相互の関係を 理解すること。 (5)電磁気学の基礎方程式であるマクスウェルの方程式を構成する4つの法則の意味を理解し, 簡単な系に対してそれを適用して分析する方法を理解すること。 (6)電磁波の概念とその諸性質を理解すること。
- <授業計画及び準備学習>
- 概略次の予定で実施する。授業時には適宜、演示実験を行う。
<準備学習> 各回ともに、教科書の該当部分を予め読んでおくこと。 また、適宜、復習を兼ねた課題の提出を求める。
第1週: 多粒子系の特質、熱力学の対象、熱力学の第0法則、温度とは。 (アボガドロ数ほどの粒子が関与する現象の特徴を学ぶ) 第2週: 気体分子運動論、内部エネルギー、熱力学の第1法則 (温度が、気体分子の運動エネルギーの平均を反映していることを学ぶ) 第3週: 理想気体の定積変化、定圧変化、等温変化 (定圧比熱、定積比熱、マイヤーの関係式などを導き、第一法則をよりよく理解する) 第4週: 理想気体の断熱変化 (高山に登ると温度が低くなる現象や、フェーン現象について学ぶ) 第5週: 熱力学の第2法則、熱機関の効率、カルノーサイクル (熱機関とは何か、その効率の上限は何で決まるか、最高効率の熱機関は) 第6週: エントロピー、気体の自由膨張、ボルツマンの式 (熱力学の第二法則を統計的視点から理解する) 第7週: 電場、磁場、電気力線、磁力線 (電荷を置くと空間の性質が変質する。それを電場として表現することを学ぶ) 第8週: クーロンの法則、ガウスの法則とその応用 (電荷に働く力を学び、電場の計算方法を学ぶ) 第9週: コンデンサ、電場のエネルギー (電荷を溜める装置であるコンデンサや、雷現象について理解する) 第10週: 電流による磁場、磁石とは (磁場は電流により発生し、電荷に相当する磁気単極子は存在しないことを学ぶ) 第11週: ファラデーの電磁誘導の法則、発電機 (磁場の変化によって電場が誘導されることを学ぶ) 第12週: 電束電流、アンペール・マクスウエルの式 (電磁誘導に類した現象が、電場と磁場の役割を入れ替えても起ることを学ぶ) 第13週: ビオ・サバールの式、ソレノイドコイル、磁場のエネルギー (電流による磁場の計算方法、コイルの働きについて学ぶ) 第14週: 電磁波、波動、電場と磁場の相対性 (電磁場についてのマクスウエル方程式を整理し、真空中を電磁波が光速で伝わることを学ぶ。 また、相対性理論との関係についても触れる) 第15週: 学習成果の確認(試験) (前回までの総復習を行っておくこと)
- <成績評価方法及び水準>
- 1)時間がある範囲で、授業の最後にその日の内容を題材に簡単な演習を実施する。(解答を提出)
2)適宜、演習問題を出し、宿題として解答レポートの提出を求める。 3)前ニ者の解答について計20点満点で評価し、A点とする。 4)定期試験は、100点満点で評価し、F点とする。 5)最終評価点Xは、X=F+R*A Xが60点以上を合格とする。 Fが40点未満なら R=1、Fが40点以上なら R=[(100-F)/60]^2
- <教科書>
- 本来の講義の際に使用した教科書でよい
- <参考書>
- 適宜プリントを配る
- <オフィスアワー>
- 火曜日3,4時限(八王子校舎) 1号館206室
不在の時は,電子メールで連絡のこと。 (nakazawa@cc.kogakuin.ac.jp)
- <学生へのメッセージ>
- 1. 物理学IIにおいては、これまであまり馴染みのない物理量が出てくる。数学表現に惑わされず
それらの本質のイメージを描いて、直感的な理解に努力することが望まれる。 2. 継続的な学習が重要なので、毎回出席し授業終わりの演習に必ず参加すること。 3. 自分で問題を解くことは,理解を深める上で極めて重要である。選択科目の物理学演習IIを併せ、 履修することを強く勧める。 4. 本来の講義においてどこが理解困難であったか、よく整理しておくこと。 5. 授業に関連する質問は遠慮なくすること。予めメールで面談予約をしてもよい。また、学習支援 センターも積極的に利用し、消化不良のまま放置しないこと。
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