2010年度工学院大学 第1部電気システム工学科

物理学I(Physics I)[2504]

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2単位
中澤 宣也 教授  
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最終更新日 : 2011/02/21

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
あらゆる自然科学の基礎をなす古典力学を通して、自然現象をどのように捉え、表現するかを学ぶ。複雑に見える現象も、現象に本質的な少数の変数を見つけると、旨く説明できることに気が付く。基本的な変数の意味を理解することが大切である。

<達成目標>
1)力学における変数の意味、単位、次元を理解する。
2)ニュートンの運動方程式によって、初期条件が与えられると、それ以降の運動が一意的に決定
  するという、古典力学の仕組みを理解する。
3)力学の理解には、保存法則が大きな役割を果たしていることを理解し、保存則の起源についても
  考察する。
4)力学の理解を通じて、微分や積分が抽象的な概念ではなく、背後に物理的なイメージがあることを
  理解する。

<授業計画及び準備学習>
概略次の予定で実施する。授業時には適宜、演示実験ビデオも放映する。
<準備学習>
各回ともに、教科書の該当部分を予め読んでおくこと。
また、適宜、復習をかねた課題の提出を求める。

第1週 :物理学が対象とする自然界のスケール。長さ、時間、質量の次元とSI単位系。
 (自然の広がりの大きさを実感し、全ての物理量は次元を有し、対応した単位があるこを学ぶ)
第2週 : 運動を記述するための時計と物差しの準備
 (運動の記述にふさわしい慣性系という座標系について学ぶ。また、物体の位置座標から、
  その速度、加速度が時間微分によって求まることを学ぶ)  
第3週 : 運動の例(等速運動、等加速度運動、円運動、振動運動)
 (具体的な運動の例を種々学び、位置や速度、加速度を導いてみる)
第4週 : ニュートンの3法則
 (慣性系という座標系で、物体の運動が如何に記述できるか、基本を学ぶ) 
第4週 : 種々の運動(1)  等加速度運動
 (重力下の物体の落下、エレベータの昇降運動、等速円運動を通して等加速度運動を理解する)
第5週 : 種々の運動(2)  放物運動
 (重力下で、鉛直方向と水平方向の運動を同時に考え、例としてモンキーハンティングを考察する)
第6週 : 種々の運動(3)  振動現象(単振動)
 (伸びに比例する力が働くバネに結ばれた物体の運動を調べる。三角関数を復習する)
第7週 : 種々の運動(4)  抵抗力がある場合の運動
 (抵抗力がある場合の落下運動、振動運動(減衰振動)について調べる) 
第8週 : 仕事と運動エネルギー
 (仕事の定義を学び、物体に力が働き仕事をすると、運動エネルギーが変化することを学ぶ。
  ベクトルの内積の演算にも慣れる)
第9週 :保存力、位置エネルギー、エネルギー保存則。
 (運動の様子は変化しても常に一定に保たれている保存量、力学的エネルギーについて学ぶ)
第10週 : 角運動量とその保存則
 (回転運動の際に大切な角運動量とは何か、種々の事例を通して理解する)
第11週 :万有引力下の運動、ケプラーの法則
 (太陽のまわりの惑星の運動は、平面運動となり簡潔に記述されることを学ぶ)
第12週 :衝突問題、弾性衝突、非弾性衝突。
 (物体の衝突問題を通して、運動量の保存則、はねかえり係数などを理解する)
第13週 :剛体とは、固定軸まわりの回転運動、慣性モーメント
 (大きさがあって変形しない物体の回転運動を考える。慣性モーメントが質点の質量と
  同じように大切な役割を果たすことを理解する)
第14週 :斜面を転がる円柱の運動。
 (中が、固体、液体、中空のジュース缶が斜面を転がる様子を解析し、これまで学んだ力学法則の
  素晴らしさを体感する)
第15週 :学習成果の確認(試験)
 (前回までの総復習を行っておくこと)

<成績評価方法及び水準>
1)授業の最後にその日の内容を題材にした演習を実施する。(解答を提出)
2)適宜、演習問題を出し、宿題として解答レポートの提出を求める。
3)前ニ者の解答について計20点満点で評価し、A点とする。
4)定期試験は、100点満点で評価し、F点とする。
5)最終評価点Xは、X=F+A*R とし、Xが60点以上を合格とする。
  Fが40点未満なら R=1、Fが40点以上なら R=[(100-F)/60]^2

<教科書>
本来の講義で使用した教科書を良く読むこと

<参考書>
適宜プリントを配布する
また、インターネットを通して適切な教材を入手する方法も学ぶ

<オフィスアワー>
火曜日3,4時限(八王子校舎) 1号館206室
不在の時は,電子メールで連絡のこと。
(nakazawa@cc.kogakuin.ac.jp)

<学生へのメッセージ>
1. 微分,積分は自然を料理する際の包丁である。なまくら包丁では思うように料理はできない。
  十分自習すること。
2. 演習にも重点をおくので出席を重視する。
3. 自分で問題を解くことは,理解を深める上で極めて重要である。選択科目の物理学演習Iを併せ
  履修することを強く勧める。
4. 本来の講義でどこで躓いたか、よく復習しておくこと。
5. 授業に関連した質問があれば遠慮なく申し出ること。メールで予め約束し、時間をとることも可能。
  また、学習支援センターも積極的に利用し、消化不良のまま放置しないこと。

 

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