2010年度工学院大学 第1部 *電気工学科

科学と宗教(Science and Religion)[4B11]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
田口 博子 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/21

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 社会学者のマックス・ウェーバーは宗教と経済の関連に関心を抱き、世界各地の宗教とそれが信奉される地域で、どのような経済体制が成立してゆくかを包括的に考察しました。その結果、宗教と呪術は原初的段階において一体であり、分離していない。ところが、旧約聖書に見受けられるようなカリスマ的な預言者(神のことばを告げる人)が登場することにより、宗教は呪術から脱して、独自の性格を確立してゆくという「呪術からの解放」を提唱しました。そして、近代の科学・技術・資本主義などの起源は、これら預言者の「合理的な」預言に遡ることができると言います。
 現代において科学と宗教は対極にあると把握されているように思われます。しかしながら、その成立の経緯をつぶさに調べると、意外と接点が多いのも事実です。
 今年度は、西欧における精神医学と宗教の関連を考察します。話題の性質上、ユダヤ教・キリスト教、そしてイスラームを主に取り扱うことになりますが、可能な限り中国・インドの宗教についても説明したいと思います。

<授業計画及び準備学習>
1 マックス・ウェーバーの「呪術からの解放」と世俗化理論
2 呪術・宗教・科学
3 シャーマニズムについて  
4 古代ギリシア世界における狂気
5 ギリシア・ヘレニズム・ローマの治療文化
6 治療者としてのキリスト
7 キリスト教世界における治療文化(1):ユダヤ教・イスラーム世界との関連 
              (2):修道院
8 魔女狩りについて
9 市民社会の成立と精神医学(1):“正統”精神医学の誕生
            (2):ピューリタニズムとの関連
10“力動”精神医学(1):フロイト−ギリシア神話との関連−
         (2):ユング−オカルトとの関連−
11 20世紀における変化   

<成績評価方法及び水準>
 学期末に試験を行います(8割)。出席点は2割とします。また、採点外ですが、授業後に感想・質問点を書いてください。それをもとに進めて行きたいと思います。

<教科書>
参考文献 資料・プリントを適宜配布します。

<オフィスアワー>
木曜日第1・2限

<学生へのメッセージ>
 悪魔祓いや魔女狩りなど、少々おどろおどろしい話題を取り上げますが、その裏側には宗教などを含むどのような歴史的背景があるのか。あるいは人間の心理がどのように関連しているのかを見てゆきたいと思っています。

 

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