2010年度工学院大学 第1部 *電気工学科
○電気機器基礎(Fundamentals of Electric Machinery)[4166]
2単位 高木 亮 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 電気と機械のパワー変換機および電力の形態の変換器である電気機器に関する基礎を学ぶ。
まずはじめに全ての機器に共通する基礎事項を学修する。その上で広義の電気工学を学ぶ者全員が身につけなければならない各種の機器についての概要を説明し,後期の講義「電気機器」につなぐ。別に行われる「実験」の意義と基礎知識を学ぶ意味もある。 電気機器に関して広義の電気系工学を学んだ者として身につけていなければならない最低限の知識やセンス(工学的直感力)を全員が得ることが最低の目標であるが,余力のある者には電気機器の面白さも感じてもらうこともねらう。
- <授業計画及び準備学習>
- 1. エネルギーとパワー その変換とは 〜電気−機械変換の原理と各種の力学量
動力に関する力学の復習を通じて,「パワーの変換」という概念を身につける 2. パワー変換の機能と性能,定格・効率等 〜電磁力の発生と制御 電磁気的な原理から,機械としての特性の表現までの基礎を学ぶ 3. 電磁機械の一般的性質・性能 〜導電/磁気材料による制約,電動機と発電機,可逆・非可逆 電気機械をその電源・負荷・制御装置との関連でどのような性質と性能を持ち得るかを認識する 4. 変圧器(1) 〜原理・理想変圧器と現実の特性・空心と鉄心・鉄損と銅損・単相/多相変圧器 5. 変圧器(2) 〜等価回路 電圧変動率と磁気飽和の影響 誰もが使うことになる変圧器に関して実用上必要な全ての知識を得る 6. 直流機(1) 〜他励機としての基本 電機子反作用 整流 7. 直流機(2) 〜界磁と電機子との各種の関係 現実にはあまり用いられなくなったが,電気機器の基本としての重要性を持つ直流機の特性を把握し,その他のモータにも共通する基本を理解する 8. 永久磁石式モータ 〜永久磁石直流機・同期機 小型機が永久磁石を用いる理由 9. 同期機(1) 〜発電機と電動機 直流機との関係 突極機と非突極機 10. 同期機(2) 〜発電所と電力網の特性 電機子反作用と各種の特性,各種のリアクタンス 発電機の基本である同期機の基礎的な特性を理解する 11. 誘導機(1) 〜回転磁界とトルクの発生 12. 誘導機(2) 〜等価回路と円線図 モータの代表である誘導機に関して,基本的な事項をひととおり理解する 13. 「電気機器」へのつなぎと心構え 14. 演習 ここまで学習した知識を定着させるための演習を行う 15. 「学習成果の確認(試験)」
準備学習(予習):シラバスに記載されているキーワードをもとに,教科書等を調べ,その意味を把握するように努めること。 準備学習(復習):配布した問題について復習すること。教科書の該当部分について問題を自分で解いてみること。
- <成績評価方法及び水準>
- 期末の定期試験で成績を評価する。出席を毎回とることとし,出席率がある割合を下回った学生には単位を与えないことがある。
- <教科書>
- 「大学課程 電気機器(1) 改訂2版」, オーム社 (1992).
- <参考書>
- 類書は多数ある。都内大手書店の電気工学のコーナーや,図書室をのぞいてみよう。
- <オフィスアワー>
- 担当者は新宿が本務地であるため,定期的にオフィスアワーを八王子で確保することはできない。個人的な相談ごとがあれば,授業の前後に問い合わせに来るか,担当者も参加している「電気システム実験I」の前後に質問に来るか,事前に電子メール takagi@cc.kogakuin.ac.jp で相談の日時や場所を約束してほしい。
- <学生へのメッセージ>
- 電気機器は動くモノであり(変圧器を除けば),電気工学の「楽しみ」のひとつでもあります。いろいろな式をしっかり追うことを通じて,いくつかの理屈を理解すれば,楽しみが広がってくると思います。おっくうがらずに,紙に向かって実際に鉛筆を動かし,式を実際に manipulate してみてください。
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