2010年度工学院大学 第1部応用化学科

物理学II(Physics II)[3163]

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2単位
中澤 宣也 教授  
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最終更新日 : 2011/02/21

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 物理学Iで学んだ力学の知識を基礎にして,古典物理学のもう一つの柱である電磁気学と,アボガドロ数個の分子からなる気体を扱う熱力学の基礎について学ぶ。ベクトル場という概念と,統計という処理法に慣れる。さらに、現代物理学のトピックスについてもとりあげる。高校で物理学を履修しなかった者にも配慮した授業とする。

<達成目標>
(1)熱力学に現れる物理量(絶対温度、物質量、比熱、内部エネルギー、エントロピー等)の意味を
   理解すること。
(2)理想気体の状態方程式を利用して、気体の状態変化が扱えること。
(3)熱力学の第1、第2法則の意味を理解すること。
(4)電磁気学に現れる物理量(電荷,電流,電場,電位、磁場等)の意味と相互の関係を理解
   すること。
(5)電気と磁気は、相互に密接に絡み合った現象であることを理解する。
(6)20世紀になって得られた新しい概念(相対論,量子論など)について,概略を理解すること。

<授業計画及び準備学習>
概略次の予定で実施する。授業時には適宜、演示実験を行う。
<準備学習>
各回ともに、教科書の該当部分を予め読んでおくこと。
また、適宜、復習を兼ねた課題の提出を求める。

第1週: 熱力学(1)多粒子系の特質、熱力学の対象、熱力学の第0法則、温度とは。
  (アボガドロ数ほどの粒子が関与する現象の特徴を学ぶ)
第2週: 熱力学(2)気体分子運動論、内部エネルギー、熱力学の第1法則
  (温度とは、気体分子の運動エネルギーの平均を反映したものであることを学ぶ)
第3週: 熱力学(3)理想気体の定積変化、定圧変化、等温変化
  (定圧比熱、定積比熱、マイヤーの関係式などを導き、第一法則をよりよく理解する)
第4週: 熱力学(4)理想気体の断熱変化
  (高山に登ると温度が低くなる現象や、フェーン現象について学ぶ)
第5週: 熱力学(5)熱力学の第2法則、熱機関の効率
  (熱機関とは何か、その効率の上限は何で決まるか、最高効率の熱機関は)
第6週: 電磁気学(1)電荷、電場、クーロンの法則、磁場、電気力線、磁力線
  (電荷を置くと空間の性質が変質する。それを電場として表現することを学ぶ)
第7週: 電磁気学(2)電位、コンデンサー
  (電荷を溜める装置であるコンデンサや、電位について理解する)
第8週: 電磁気学(3)電流による磁場、磁石とは
  (磁場は電流により発生し、電荷に相当する磁気単極子は存在しないことを学ぶ)
第9週: 電磁気学(4)ファラデーの電磁誘導の法則、発電機
  (磁場の変化によって電場が誘導されることを学ぶ)
第10週: 電磁気学(5) 電磁波、電気回路、電磁気学のまとめ
  (真空中を電場と磁場が絡み合って進行する電磁波を理解する)
第11週: 現代物理学(1)相対論序論
  (光速不変の原理をもとに、時計と物差しの相対性を学ぶ)
第12週: 現代物理学(2)量子論序論
  (光は粒子か波動かという疑問から、量子力学の世界を覗く)
第13週: 現代物理学(3)ミクロの世界
  (物質は何からできているのか、アトムの世界を垣間見る)
第14週: 現代物理学(4)宇宙論序論
  (宇宙は何時できたのか、何からできているか、膨張宇宙とは)
第15週: 学習成果の確認(試験)
  (前回までの総復習を行っておくこと)

<成績評価方法及び水準>
1)時間がある範囲で、授業の最後にその日の内容を題材に簡単な演習を実施する。(解答を提出)
2)適宜、演習問題を出し、宿題として解答レポートの提出を求める。
3)前ニ者の解答について計20点満点で評価し、A点とする。
4)定期試験は、100点満点で評価し、F点とする。
5)最終評価点Xは、X=F+R*A  Xが60点以上を合格とする。
  Fが40点未満は R=1、Fが40点以上は R=[(100-F)/60]^2

<教科書>
増補版 物理学入門  原 康夫著  (学術図書出版社:2008年11月)

<参考書>
適宜プリントを配る

<オフィスアワー>
水曜日3時限(八王子校舎) 1号館206室
不在の時は,電子メールで連絡のこと。
(nakazawa@cc.kogakuin.ac.jp)

<学生へのメッセージ>
1. 物理学IIにおいては、これまであまり馴染みのない物理量が出てくる。数学表現に惑わされず
  それらの本質のイメージを描いて、直感的な理解に努力することが望まれる。
2. 継続的な学習が重要なので、毎回出席し授業終わりの演習に参加すること。
3. 自分で問題を解くことは,理解を深める上で極めて重要である。選択科目の物理学演習IIを併せ、
  履修することを強く勧める。
4. 高等学校での物理学の学習が十分でなかった者は,ギャップを埋める人一倍の努力をすること。
5. 授業に関連する質問は遠慮なくすること。予めメールで面談予約をしてもよい。また、学習支援
  センターも積極的に利用し、消化不良のまま放置しないこと。

 

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