2010年度工学院大学 第1部環境化学工学科

環境生態学(Environmental Ecology)[5A08]

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2単位
青山 芳之 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/21

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
(1)授業のねらい
地球温暖化問題のように、近年の科学技術の巨大・総合化にともない、科学技術の影響が地球規模に及んでいる。このため、技術者は自分の専門外においても、科学技術による環境への影響を地球規模の視点や地域の視点で検討することが求められている。特に生物への影響を知るためには、生物と環境の相互関係の学問である生態学の知識は不可欠である。
本講義は、生態学に関する基礎的な知識を学ぶとともに、人間活動が生態系や環境に及ぼす影響及び自然環境の保全や利活用技術について学ぶ。さらに理解を深めるために具体的な事例をあげて説明する。本講義の基本的な目標は、総合的・全体的(地球的)視点で、自然(地球環境)を理解し、地球環境はすべて繋がっていることを認識してもらうことである。
(2)達成目標
生態系や生物の理解を深めること。
生態系におけるエネルギーの流れと物質循環を理解すること。
人間活動と生態系の関係を理解すること。
自然環境の保全及び利活用技術について理解すること。

<授業計画及び準備学習>
2.授業計画及び準備学習
第1回 環境生態学とは
本講義のねらい、環境問題の全体像、生態学の全体像、本講義の全体構成などについて解説する。準備学習として、教科書の序章を読んで理解しておくこと。
第2回 生態系とは
生態系の構成要素の中心といえる生物について概説し、さらに生物の地球における位置づけ、生態系を理解するための手順及び生態系の具体的例について解説する。準備学習として、教科書の第1章を読んで理解しておくこと。
第3回 生物のつながり
生態系の中心的要素である生物について、種レベル以上の観点から生物と生物の関係、特に食物連鎖(捕食関係)を中心について解説する。準備学習として、教科書の第2章を読んで理解しておくこと。
第4回 生態系のエネルギーの流れ
生態系の「系」すなわちシステムとは何か、エネルギーとは何かについて概説し、生態系ではどのようにエネルギーが生物によって固定され、また利用されているのか、さらに生態系におけるエネルギーの全体の流れについて解説する。準備学習として、教科書の第3章を読んで理解しておくこと。準備学習として、教科書の第3章を読んで理解しておくこと。
第5回 生態系における物質循環
生物が生きている地表面付近の元素の存在割合、生物を構成している元素、さらに具体的に水、炭素、窒素、リンなどの生態系における物質循環について解説する。準備学習として、教科書の第4章を読んで理解しておくこと。
第6回 生態系の制限因子と遷移
生態系の状態に影響を及ぼす非生物的要因及び、時間とともに生態系はどのように変化するのかについて解説する。準備学習として、教科書の第5章を読んで理解しておくこと。
第7回 人間活動と生態系
人間活動が関与している生態系として、都市生態系と農地生態系を取り上げ、それぞれの特徴及び、人間活動に起因する環境問題の全体像について概説する。さらに自然生態系に関連の深い環境問題として、種の絶滅、生物多様性の減少、外来種(移入種)問題、化学物質の生態系への影響について解説する。準備学習として、教科書の第6章を読んで理解しておくこと。
第8回 環境影響評価
自然環境を保全する手法としての環境影響評価制度と、その具体的内容として自然環境調査法と予測評価方法及び関連業務事例について解説する。準備学習として、教科書の第7章を読んで理解しておくこと。
第9回 自然環境保全技術
自然環境を保全するための基本的考え方、自然環境保全技術、及びその具体的な業務事例として水環境の保全について解説する。準備学習として、教科書の第8章を読んで理解しておくこと。
第10回 生態系と新エネルギー
生態系の利活用の観点から、バイオマスエネルギーを中心に新エネルギーについての概説し、特に木質バイオマスを中心に森林資源の活用方法や関連業務事例について解説する。準備学習として、教科書の第9章を読んで理解しておくこと。
第11回 環境学習と市民活動
環境生態学に関連する社会的活動として環境学習、学校ビオトープ、インタープリテーション、エコツーリズム及び市民による環境保全活動について解説する。準備学習として、教科書の第10章を読んで理解しておくこと。
第12回 環境分野の業務と資格及び環境倫理
環境生態学の実践として、環境生態学に関連する業務とその資格、さらにこれらの職業(資格)と深く関連している技術者倫理、特に環境倫理について解説する。準備学習として、教科書の第11章を読んで理解しておくこと。
第13回 私の環境保全活動
個人ができる環境保全活動の実例として、私が行なっている太陽光発電、風力発電、木質バイオマス利用(薪ストーブ)、雨水利用、ビオトープ、気象観測などの環境保全に関連する活動について紹介する。準備学習として、第11回の講義内容を復習しておくこと。
第14回 まとめ
本講義の全般を振り返り、広い視点で環境や科学技術全体を俯瞰する。準備学習として、教科書の「おわりに」を読んで理解しておくこと。
第15回 学習成果の確認(試験)

<成績評価方法及び水準>
評価は中間レポート(40点満点)と定期試験(60点満点)の結果により決め、合計が60点以上の者に単位を認める。なお授業の出欠確認は出欠票にて行なうが、出欠票には当日の授業についての感想や意見などを記述してもらう。この記述内容は採点の参考とする。

<教科書>
環境生態学入門、青山芳之、オーム社

<参考書>
EPオダム、基礎生態学、倍風館
日本生態学会編、生態学辞典、共立出版
日本生態学会編、生態学入門、東京化学同人
その他については、講義時に紹介する。

<オフィスアワー>
講義後1時間とし、それ以外では、メールで約束の上、対応する。

<学生へのメッセージ>
技術士として環境コンサルタント業務の経験を生かした講義をしたいと思います。生物や環境に関連する仕事に感心のある方は是非受講してください。「木を見て森を見ず」にならないように、広い視点で物事を理解し分析でき、かつ問題解決能力のすぐれた社会人になってもらいたいと思います。

 

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