2010年度工学院大学 第1部応用化学科

界面活性物質(Surface-active Agent)[1D02]

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2単位
今野 紀二郎 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/21

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
我々が物質を取扱う化学を学ぶ以上,物質と物質との間には界面(表面)が存在する。この界面を制御するのが界面活性物質である。いま,一方の物質(例えば,空気,油,顔料など)を微粒子とし,その表面の界面活性剤による制御法を知ると,他方の物質(水)中に安定に分散させることができるようになる。また,界面活性物質の溶液物性及びその作用についての基礎的知識が得られるので,界面活性物質が用いられる食品,洗剤,化粧品,印刷インキ,塗料,医薬などあらゆる分野における研究,製造の仕事に携わり易くなる。

<授業計画及び準備学習>
1  授業のガイダンスと概要
   内容:気体/液体,液体/液体,固体/液体界面の制御から化学製品製造へのアプローチ,
       生活必需品と界面活性物質との拘わり
2  界面活性物質
    内容:界面活性とは?界面活性物質の種類,性質,用途
3  界面活性剤
    内容:分子構造からの分類・性質・用途
4  表面張力
    内容:概念,熱力学的定義,測定法(宿題)
5  界面張力(続き)
    内容:表面張力と界面張力との関係,表面張力に寄与する分子間力
6  界面活性剤
    内容:界面活性剤−水系の相図,希薄溶液,濃厚溶液(液晶),固体
7  界面活性剤の溶解性
    内容:クラフト点及び曇点,分子構造との関係
8  界面活性剤の特性
    内容:界面吸着能,界面活性剤による表面張力の低下,表面過剰量の評価
9  界面活性剤の物性(続き)
    内容:ミセル形成能,ミセルサイズ,モノマーとミセル間平衡など
10 界面活性剤溶液
    内容:臨界ミセル濃度(CMC),測定法,ミセル形成からのCMCの大きさの見積り
11 界面活性剤の可溶化作用 
    内容:定義,可溶化能,可溶化場所,応用
12 界面活性剤の分散作用
    内容:2分子吸着と静電的反発作用,立体反発作用
13 界面活性剤の乳化作用と起泡作用
    内容:エマルションの型,エマルションの安定性,泡の安定性
14 界面活性剤の洗浄作用と環境
    内容:油汚れ除去,固体汚れの除去,環境
15 定期試験

<成績評価方法及び水準>
基本的には定期試験結果:100%とする。特に,毎回は出席を取らないが,授業への積極的参加と授業の復習・成果を確認するために質問し回答を求める。それを成績評価に加算する。

<教科書>
適切な書籍がないので,自作の冊子(印刷物)を用いる。

<参考書>
「界面活性剤」竹内節著(米田出版)
「界面活性の化学と応用」妹尾学,辻井薫著(大日本図書)

<オフィスアワー>
授業終了後

<学生へのメッセージ>
“仕事上で困った時,界面活性剤を使用せよ”と言われるほど,界面活性剤はあらゆる分野で使用されているので,授業に出席し勉強をして欲しい。また,授業内容を単に暗記しないで論理的に記述できるようになって欲しい。

 

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