2010年度工学院大学 第1部機械システム工学科

国際経済と金融(International Economy and Finance)[1109]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
吉田 賢一 教授  
[ 教員業績  JP  EN ]

最終更新日 : 2011/02/21

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
国際経済とは、複数の国家領域にまたがって成立している経済をいう。「国際経済と金融」などというと専門的すぎるのではと敬遠されがちであるが、現在では国内経済にしても対外関係抜きには考えられないほどに国際化しているし、金融分野にあっては尚更である。講義では実物経済(モノの動き)と金融経済(カネの動き)の関係を理論・歴史・政策の3視点から具体的に解説する。達成目標としては、「社会人として巣立つなら、せめて『この程度の経済的知識』ぐらいは身に付けて行ってほしい」との観点から、新聞経済面の読破レベルを想定している。

<授業計画及び準備学習>
1. イントロダクションとガイダンス――金融とは国際金融のことであるといっても過言ではない、金融活動範囲はすでに国家の領域を凌駕しているからである。
2. 貨幣とは何か――それは「商品生産」という基礎、つまり「値札つきの生産物」としての商品が予め生産されているという事実なしには存在しない(できない)。
3. 貨幣のさまざまな機能ないし役割――価値尺度(measure of values)・流通手段(means of circulation)・蓄財手段(means of savings)。
4. 貨幣に対する需要(demand)の側面――消費のための貨幣需要=消費需要と投資のための貨幣需要=投資需要。
5. 貨幣に関する供給(supply)の側面――貯蓄のための貨幣供給=貯蓄供給、企業預金(出納金・積立金・準備金)。
6. 貨幣の需要と供給の交錯――A. マーシャルとJ. M. ケインズにおける貨幣市場の均衡理論を中心として。
7. 2つの金融市場(financial market)――短期(short-term)市場としての貨幣市場(手形市場)、長期(long-term)市場としての資本市場(証券市場)。
8. 3つの金融政策(monetary policies)――公定歩合操作・公開市場操作・支払準備率操作。
9. 国際経済と国際金融――外国貿易・国際収支・国際金融機構。
10. 戦後世界貿易の展開(その1)――マーシャル・プランとGATT、WTO。
11. 同上(その2)――EECとEFTA、EUとNAFTA。
12. 外国為替システム(その1)――3つの為替学説――国際収支説、購買力平価説、為替心理説
13.同上(その2)――制度の変遷と相場変動メカニズムの変化――金本位制度・ブレトンウッズ体制・変動為替相場制。
14. 最近における国際金融の諸問題(その1)――世界市場におけるホットマネーの跳梁。
15.同上(その2)――ギリシャの財政危機。

<成績評価方法及び水準>
キチンと講義に出席・聴講し学期末の筆記試験(論述形式)を受けていることを前提条件に、総合的判断から60点以上を獲得した者に単位を認定する。成績評価方法及び詳細については第1回目の講義時に説明するので、必ず出席し、概要の把握に努めること。

<教科書>
吉田賢一著『経済学概論』(学文社)生協割引で2835(2700+税)円。

<参考書>
講義中に適宜指示する。

<オフィスアワー>
講義終了後の各教室、または、講師室(八王子校舎1号館、1部学生の場合)、または外来講師室(新宿校舎、2部学生の場合)にて受け付けます。

<学生へのメッセージ>
単位とは「勝ち取る」ものであって、「貰う」ものではない。試験答案の叙述からキチンと聴講していたか否かが判断されるので、講義に出席し理解に努めていれば、結果はおのずと高い評定となって現われる筈である。どうせ履修するなら、「飽くまでも自分の将来のため」と前向きに判断し、毎回何か1つでも我がものとするよう自己啓発的に臨んでほしい。わたくしもプロの端くれ、諸君に損はさせないつもりだ。

 

このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2010 Kogakuin University. All Rights Reserved.