2010年度工学院大学 第1部機械工学科 メカノデザインコース
○機械工学設計総合演習(Comprehensive Design Exercises of Mechanical Engineering)[1A01]
2単位 小久保 邦雄 教授 [ 教員業績 JP EN ] 小尾 幹男 非常勤講師 菱田 博俊 准教授 [ 教員業績 JP EN ] 内海 嚴紀 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 2年次までに学んだ機械工学の基礎的な学問を応用して実際の機械を設計してみる。実際には4つの課題を各3回でまとめレポートを作成する。課題はこれまでの科目ごとの講義とは異なり、総合的な問題が多く、メカトロ機器の設計(内海)、薄板ブラケットの最適設計(小尾)、鉄琴の設計(菱田)、大型クレーンの構造設計(小久保)などを考え、これらの基本的な設計方法とあわせて加工法などを修得する。( )内に示した4人の教員が担当する。
<JABEE学習目標> (C)○ (D)○ (E)○ (F)◎ <JABEEキーワード> 機械設計、信頼性、CADCAMCAE、材料の強度と許容応力、応力解析、応力とひずみ、応力集中、疲労 前提となる基礎知識と習得後の展開 2年次までに学んだ機械工学の基礎的な学問である材料力学、材料工学、接合工学、機械加工法などを応用して実際の機械を設計してみる。実際の設計ではこれらの基礎的な学問の応用が必須となり、基礎的な知識から新しいものを生み出す訓練をする。このような学習によって実際の種々の機械がどのようなことを考えて設計されているかを知り、身の回りの機械を見る目が今までと異なってくることになり、機械工学全体の興味が深くなる。
- <授業計画及び準備学習>
- (1) (2) (3) メカトロ機器の設計として、銀行で利用されるATMの機構設計と強度設計について考える。アクチュエータ、センサと制御方法、また歯車や軸の強度設計などを考えて簡単な機構で信頼性をあげることを考える。まず、ステッピングモータの性質を考え、高信頼性を確保するにはどのようなことを考えて選定するかを考える。紙幣を送り出すときにはその間隔に注意が必要で、どのような制御方法を考えるかを学習する。つぎに歯車や軸の強度設計では 教科書にあるようなトルクを考えるだけでは不十分で曲げ応力も重要である。このほか、紙幣のストックをどのようにするかなど全体の構造を考え、特許についても考えてみる。
(4) (5) (6) 薄板ブラケットに生じる応力と変位、およびその計算方法、重量最小の最適設計法などを3DCADにより学習する。薄板構造はあらゆる機械部品で使われている。予め与えられた寸法の範囲内で、荷重条件に対して、応力値と変位を制約した部品の重量を最小とする設計を行う。最小重量を証明するため、重量計算書、応力計算書、製作図面などのレポートを作成する。尚、レポート作成の際には今までに使用した道具はなにを使っても良い。 (7)(8)(9) 自由な発想に基づき、オリジナルの鉄琴を設計し、それを提案(プレゼンテーション)するための設計書を作成する。初日の講義では物理現象としての音について、音程と聴覚について、ピタゴラスの音程設計原理について、現存する様々な鉄琴について説明する。これらを参考にして、先ず用途(主旨・意義・目的)を明確にし、それに対応する音域(音程範囲)や全体形状等をイメージする。そしてそれらをA3用紙に、特に設計した音程を出す鉄琴鍵板の形について正確に、説明文と図面を用いて設計書としてまとめる。 (10)(11)(12) 天井クレーンの設計を行う。大型の構造物にはトラス方式のものと薄板構造のものが用いられる。それぞれの特徴をまとめ、実際の大型構造に生じる各種の破壊現象を考え、信頼性を評価する。加工法もあわせて考え、製造上もどちらがメリットが大きいかも検討する。また、実際に製品として販売するにはどのようなセールスポイントが考えられるかを議論する。 (13)(14)以上の4つの課題を3回ずつ行い、最後の13,14週は それまでの演習または総合討論を行う。
- <成績評価方法及び水準>
- 毎回講義と演習を行う。3回で1課題を学習し、課題ごとにレポー トを作成する。成績はこのレポートの採点によって行われ、4人の教員による、4つの課題の合計点として採点されるが、課題によっては毎回レポート提出が必要である。
- <教科書>
- 毎回プリントを配布
- <参考書>
- これまで学修した材料力学、機構学、材料工学などすべてが必要になるので良く復習しておくこと
- <オフィスアワー>
- 随時各課題の教員を訪問してもよい。またはメールを利用しても よい。
- <学生へのメッセージ>
- これまでに学んだ機械工学の基礎的な科目を応用して実際の機械 を設計してみる。設計は総合力であり、これまでの分析的な思考ではなく、全体 を組み立てる訓練であり、これまでの科目をよく理解し、実際に応用できるかが 問われる。これまでの科目を良く復習しておくことが重要である。
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