2010年度工学院大学 第1部機械工学科
○数学II(Mathematics II)[4304]
2単位 河野 真士 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 私たちの日常生活のごく身の回りでも、温度、身長、体重、携帯電話の充電量やさらには株価など、時間によって変化するさまざまな量が見られます。こうした変化量を表現する「関数」の概念について初めて言及したのは、17世紀にニュートンと共に微分積分学の誕生に貢献したライプニッツです。関数を取り扱う微分積分学は、古代からある数・方程式や図形などの数学と比べて近代に成立しましたが、その後のさまざまな歴史的検証を経て発展し、今では現代の科学技術の根幹を担う基礎学問の一つとして広く認められています。
微分積分学は名前の通り微分法と積分法の2つからなりますが、微分では関数の「局所的変化」を、一方積分では関数に付随する「量の総和」を扱います。また、これらの数学操作の根底を支えているのが、「極限」の概念であり、この意味で微分積分学はしばしば「無限」を扱う数学と呼ばれています。
「数学II」では一変数関数の積分、及び主に二変数を中心とする他変数関数の微分積分学, 具体的には 1.一変数関数の定積分 2.多変数関数の微分法(偏微分) 3.多変数関数の積分法(重積分)
の各項目について、基本的かつ実用的な問題を解けるようになることに目標に講義を行い ます。講義ではなるべく演習時間の確保につとめ、加えて高等学校で数学IIIを履修していな い学生についても十分に配慮する予定です。
(JABEE 学習・教育目標) 「機械工学科エネルギー・デザインプログラム」 (D)◎
(前提となる基礎知識と習得後の展開) 前期科目「数学I」の内容理解を前提とします。習得後は「微分方程式論」、「ベクトル解析」などの数学系科目などに進み、また物理系科目やさまざまな工学の専門科目にて本科目の知識が活用されます。
- <授業計画及び準備学習>
- 第1回 [一変数関数の積分-5] ガイダンス、定積分とその性質
第2回 [一変数関数の積分-6] 定積分の置換積分法・部分積分法 第3回 [一変数関数の積分-7] 広義積分、積分法の応用-1 (面積) 第4回 [一変数関数の積分-8] (積分法の応用-2 (曲線の長さ、体積、表面積) ) 第5回 [偏微分法-1] 多変数関数の極限・連続、偏導関数 第6回 [偏微分法-2] 全微分と方向微分、接平面 第7回 [偏微分法-3] 合成関数の偏微分 第8回 [偏微分法-4] 高階偏導関数、2変数関数のTaylorの定理 第9回 [偏微分法-5] 2変数関数の極値問題 第10回 [偏微分法-6] (陰関数の微分法、条件付き極値問題) 第11回 [重積分-1] 2重積分とその性質、累次積分 第12回 [重積分-2] 2重積分の変数変換 第13回 [重積分-3] 2重積分の応用(体積、曲面積) 第14回 [重積分-4] (3重積分) 第15回 [学習内容の確認] 定期試験
以上の予定に従って講義を進め、合わせて毎講義時に可能な限り演習時間を取れるよう配慮します。
注意事項: 1.講義時間内に小テストを行う場合もあります(3回程度を予定)。 2.授業計画の( )の項目については、理解状況や進度などを判断して内容の短縮や省略を行う可能性があります。
準備学習:当たり前のことですが、[予習] 教科書を読む、[復習] (指定された)問題を解く、 の2点を毎回の準備学習とします。
[予習] 次の回に学習する項目について教科書を調べ、だいたいの「あらすじ」、特に ・用語のだいたいの意味 ・例題のたいたいの内容 を知った上で講義に臨むようにしてください(理解できるできないは別として)。さらに進んで、 ・学習内容について、これまでに学習した数学と関連付けてイメージを持つこと ができるようになれば、講義の理解度は格段に上がることを確信しています。
[復習] 復習の基本は、 ・学習した内容について、「自分の頭」を使ってもう一度考え、より深い「理解」につなげる ・理解した内容について、「自分の手」を動かして練習することで、「定着」につなげる の2点です。 定着のための問題等については、各講義においてこちらで指示する予定です。
- <成績評価方法及び水準>
- 定期試験の得点(60点満点)、及び講義時間内に行う小テストの総得点(合計40点)の合計(100点満点)を成績とし、成績が60点以上の場合を合格とします。
ただし、(1)合計点が50点以上59点以下、(2)欠席回数が3回以内の2条件に該当する学生に関しては、レポート提出等の措置を通して合格にする場合があります。この場合、成績は一律60点とします。
「機械工学科エネルギー・デザインプログラム」の学習・教育目標(D)は上記の評価基準を満たせば達成されます。
- <教科書>
- コア・テキスト 微分積分 竹縄 和之 著(サイエンス社)
をベースに講義を行います。 初回講義時には教科書は必ずしも必要ありません(このときに教科書・参考書の説明を改めて行います)
- <参考書>
- [1] 理工系入門 微分積分 石原・浅野共著(裳華房)
[2] 入門微分積分 三宅敏恒著(培風館) [3] 微分積分概論 高橋・加藤共著(サイエンス社) [4] 単位が取れる微積ノート 馬場敬之著(講談社)
- <オフィスアワー>
- 木曜日の昼休み・3限終了後(〜15:30程度)、講師室にて対応します。
- <学生へのメッセージ>
- 数学の勉強の仕方など、わからないことがあったら何でも質問してください。
- <参考ホームページアドレス>
- 配布教材類については、後日専用ホームページを公開する予定です。
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