2009年度工学院大学 教職課程科目
○生徒指導論(Guidance)[9361]
2単位 安部 芳絵 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- この授業では、子どもの権利条約を活かした生徒指導について考え実践的な力を身につけることを目的とする。前期は、教育相談・カウンセリングに関する基礎的な知識について学び、それを土台として、教師の「聴く力」「待つこと」の意味を問う。後期は、生徒が本来有している力に着目し、「エンパワーメントの生徒指導」について考える。
子どもは、権利の主体である一方で、親や教師、地域の力を借りながら自立していく存在である。そこで、授業にあたっては、生徒指導が直面するさまざまな問題を取り上げ、子どもの成長発達の権利を保障するために、教師はどのような指導と支援が可能であるのかを具体的に検討する。子どもに向き合うための実践力を身につけるために、アイスブレーキング、ロールプレイング、事例研究、グループディスカッションの手法を用いる。毎回の授業終了時には、個々の省察を促すためにふりかえりシートへのコメント記入を実施し、翌週の講義でコメントシートレビューを共有し、復習とする。
- <授業計画及び準備学習>
- 【前期】講義と事例研究、グループワーク中心です。
1 オリエンテーション:子どもの現在を見つめる 2 生徒指導とはなにか(1):定義と意義 3 生徒指導とはなにか(2):基礎的理論・学級の組織・運営 4 生徒指導とはなにか(3):生徒理解・教育相談・カウンセリングの理論 5 教育相談・カウンセリングと実践(1): 「問題行動」の背景を考える〜ADHD/LD/高機能自閉症を例として〜 6 教育相談・カウンセリングと実践(2):「問題行動」に向き合う〜不登校〜 7 教育相談・カウンセリングと実践(3): つながりで子どもを支える〜子ども相談の固有性とその支援実践〜 8 進路指導・職業指導(1) 進路指導を中心に 9 進路指導・職業指導(2) 職業指導を中心に 10 事例研究(1)貧困 11 事例研究(2)少年犯罪 12 事例研究(3)いじめ1 13 事例研究(4)いじめ2 14 事例研究(5)子ども参加の学校づくりと「待つこと」の実践 15 学習成果の確認(レポート課題)
【後期】学生による発表と討論、講義を織り交ぜて実施します。 1 オリエンテーション:後期初回の講義にて、進め方を説明。前期の復習。 2 児童虐待と生徒指導 3 体罰と生徒指導1 4 体罰と生徒指導2 5−12 学生による発表と討論(発表希望者の数によって、回数を決定します) 13 子どもの権利を保障した生徒指導1 14 子どもの権利を保障した生徒指導2 15 学習成果の確認(試験) ※なお、講義は全て参加型で実施する。各自の積極的な参加を期待する。
- <成績評価方法及び水準>
- 期末に実施する試験の結果、60点以上の者に単位を認める。
- <教科書>
- 特に指定しない。
- <参考書>
- 『生徒指導の手引き(改訂版)』文部省(1981年)
『生徒指導資料』『中学校・高等学校生徒指導の手引』文部科学省(各年次) 『現代学校改革と子どもの参加の権利』喜多明人編著、学文社(2004年) 『子どもとともに創る学校』澤田治夫ほか編、日本評論社(2006年) 『省察的実践とは何か』ショーン著、柳沢昌一・三輪健二監訳、鳳書房(2007年) そのほかは、授業中に適宜紹介する。
- <オフィスアワー>
- 授業終了後、教場もしくは講師控え室にて受け付ける。
- <学生へのメッセージ>
- みなさんにとって、「子ども」とはどんな存在ですか。授業では、みなさんひとりひとりのこれまでの学校体験・教師体験を相対化し、目の前の子どもに「教師として」どのように向き合っていけばいいのかを一緒に考えていきたいと思います。授業は参加型です。教室中を動き回ったり、グループで話し合ったりします。このような方法が苦手な人もいると思いますが、教師としての実践力を身につけるために協力してくれるとうれしいです。
- <備考>
- 予習:子どもや教育にかかわるニュースを意識的に読んだり見たりする。
復習:コメントシートレビューを読み、自分の省察を深める。
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