2009年度工学院大学 第2部情報通信メディア工学科

文化人類学B(Cultural Anthropology B)[3704]

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2単位
姜  竣 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
近代は、文字(文学)が抽んでて優位を占めた時代である(ロゴセントリズム)が、一方で、イメージ(美術や映画)、あるいは、声や身振り(演劇)が反文字主義の認識を強固にしたのも、逆説的ながら極めて近代的な事態であった。本講義では、声とイメージと文字の連繋(間テクスト性)という観点から、日本と世界の表象文化について学ぶ。その際、理論と方法に関しては民族学的詩学、文化記号論、メディア論の知見を援用し、事例に関しては実践的な調査研究を多く用いる。授業の目標は、ある時代と場所に支配的な感覚や知覚は、それらを媒介する言葉とそのメディアの変化によって、歴史的にもたらされたものであるという見方を理解し、現代日本の言語とメディアの状況を正しく把握することである。

<授業計画及び準備学習>
第1週  ガイダンス−コミュニケーションの人類学とは−
第2週  言語の三角形:イメージと音声と文字のかかわり
第3週  言葉に憑かれた人たち:「あいぜん文字」という人工文字
第4週  言語思想の二大潮流:ソクラテス問題とアリストテレス問題
第5週  日本における言語状況の歴史:近世/近代/現代
第6週  近代文体の起源:俳句と浮絵と眼鏡絵
第7週  近代文体の誕生:写生文と言文一致体
第8週  近代における<声>の衰退と発見:伝説/昔話/物語
第9週  幽霊が書いた文学:メディアと心霊現象
第10週  近代詩のなかの<声>:草野心平と宮沢賢治
第11週  レポートの課題と執筆方法
第12週  マンガと言葉の現代化
第13週  マンガといかなる言葉か
第14週  表現は誰のものか:メディアと著作権 
第15週  まとめ

<成績評価方法及び水準>
学期末の課題論文で評価し、60点以上を合格とする。ただし、3回以上欠席した学生は履修放棄とみなし、成績評価をおこなわない。

<教科書>
テキストは必要に応じて、教室で配布する。

<参考書>
オング,W-J『声の文化と文字の文化』1991、藤原書店  
マクルーハン,マーシャル『メディア論』1987、みすず書房
伊藤守編『メディア文化の権力作用』2002、せりか書房

<オフィスアワー>
授業終了後に教室で。

<学生へのメッセージ>
第一回目の授業時に、成績評価方法および水準について説明するので、必ず出席すること。なお、授業の趣旨は変わらないが、取りあげる内容と構成は変更もありうる。

 

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