2009年度工学院大学 第2部情報通信メディア工学科

線形代数学II(Linear Algebra II)[6602]

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2単位
片野 修一郎 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
前期の線形代数学Iをベースにして、行列を線形写像として捉え直す。その観点から、線形写像の様子をよりよく捉えるための道具である固有ベクトルの概念を学ぶ。具体的には、(1)1次独立・1次従属・1次関係の概念を明快に理解し、基本変形を使ってそれらを判定できること(2)固有値・固有ベクトルを求めて、行列の対角化ができること(3)正規直交基底を求めて対称行列を対角化できること、を目標としたい。

<授業計画及び準備学習>
1.数ベクトル空間の導入/1次独立と1次従属(1)/1次結合とその意味
2.1次独立と1次従属(2)基本変形を使って判定する
3.基底と次元
4.線形写像としての行列/アフィン変換の具体例
5.基底を変換することの意味・意義(斜交座標の意味)
6.基底の変換と線形写像の表現行列
7.固有値とその意味
8.固有値と固有ベクトルの計算(1)
9. 固有値と固有ベクトルの計算(2)
10.行列の対角化(1)
11. 行列の対角化(2)
12. 内積
13. グラム-シュミットの正規直交化と直交行列およびその意味と性質
14. 対称行列の対角化/2次形式の標準化
15. 学習成果の確認(後期末試験)

<成績評価方法及び水準>
前期の線形代数学Iに同じ。

<教科書>
前期の線形代数学Iに同じ。自分のできる限界にまで易しく丁寧に書いた(つもりの)自作プリントを配ります。それに基づいて授業を進めます。

<参考書>
前期の線形代数学Iに同じ。
もう少し基礎から勉強し直したい人は、そういう人向けの参考書がずいぶん出版されていますから、書店を覗いてください。

<オフィスアワー>
前期の線形代数学Iに同じ。

<学生へのメッセージ>
声を大にして言わなければならないことは、前期の学習事項を後期ではすべて使うということ。便宜上、前期と後期で分けてあるが、通年の講義と思ってもらいたい。前期の内容が全く身についていなければ、当授業は受講しても無意味ということになる。すなわち、
(1)一般の連立方程式が行変形で自由自在に解けること。
(2)行列式の計算が確実にできること。
この二大眼目が両方とも身についていないと、後期最大の、したがって1年を通しての最大の目的である固有値問題に臨めないことになります。これは決して大げさな脅しではなく、(1)(2)のうちの片方でも理解ができていないと、固有値問題はまずほとんどわからないことになるでしょう。前期Iを受講せずに後期から受講する学生は特に注意してほしい(前期Iに相当する内容については独習してもらうことになります)。
また、特に言語論理についていけないと、最初の1次独立性のところでひっかかる可能性が高い。何をやっているのかさっぱりわからない、ということにならないように、明晰に理解するまで諦めないで考え続けることが必要である。抽象的で難しく感じるだろうが、頑張ってほしい。

 

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