2009年度工学院大学 第2部情報通信メディア工学科

線形代数学I(Linear Algebra I)[6601]

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2単位
片野 修一郎 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
線形代数は社会の中でも応用範囲が広いが、その基本である行列と連立1次方程式の扱い方が前期のメイン・トピックスとなる。具体的には、(1)行列と数ベクトルの基本的な演算がすらすらできること(2)基本変形を使って一般の連立1次方程式が解けること(3)行列式の性質を理解し、その計算ができること、を課題としたい。

<授業計画及び準備学習>
1.ガイダンス/イントロダクションのお話/行列とは?
2.行列や数ベクトルにまつわる諸定義や書き表し方などのビギナーズ・マニュアル
3.行列の演算
4.行列と連立1次方程式
5.基本変形を使って連立1次方程式を解く(1)
6.基本変形を使って連立1次方程式を解く(2)
7.基本変形を使って連立1次方程式を解く(3)
8.正則行列(1)
9. 基本変形を使って逆行列を計算する 
10.行列式の定義と諸性質(1)
11.行列式の定義と諸性質(2)
12. 行列式の定義と諸性質(3)
13.正則行列と行列式の関係/余因子行列
14.Cramerの公式
15. 学習成果の確認(前期末試験)
Cramerの公式は軽く扱う予定。14.以外は後期の線型代数学IIに必須である。

<成績評価方法及び水準>
期末試験に最も大きなウェイトを置くが、いくつかある最重要概念を学習し終わった段階で小テストを実施する予定である。10点〜15点程度で2〜3回実施したい。また、講義中にできるだけ演習を行いたいが、その際に黒板で解答をした者には平常点を与える。また、授業時の質問に答えた場合やレポート課題を提出した場合にも適宜平常点を与える。以上の合計点が基準に達した者を合格とする。評価は厳格に行い、追試措置等は一切しない。

<教科書>
授業は教科書の通りに進めるわけではないが、講義の順序などを含めて次の本に大枠で沿ったものになるであろう。薄いがとてもまとまっていてうまく書けた本なので、これを教科書として採用する。
三宅敏恒『入門 線形代数』(培風館)
他の本の方が自分の好みに合う・自分の実情に合う、という場合は無理に用意しなくても良い。社会人の人に聞くと、微積分より線形代数の方が使う機会はずっと多いそうである。四年間使えるのだから、理工系の学生として必ず何か一冊は手元に置いて、必要な時にいつでも参照できるようにしておかなければならない。

<参考書>
最近は学習者の事情に応じていろいろなタイプの線型代数の参考書が出版されている。書店に足を運んで、実際に手に取って、自分の気に入ったもの・自分のニーズに適ったものを選ぶのが一番よい。自分の現在の状況は自分が一番よく知っているはずだから。一冊だけ非常に良く書けた参考書を紹介しておく。自分が今学んでいることは要するにどういうことなのか、といった根本的で深い理解を求める(全員がこうあって欲しいですが)意欲的な学習者にはとても役に立つだろうと思う。
薩摩順吉・四ツ谷晶二『キーポイント 線型代数』(岩波書店)

<オフィスアワー>
授業の前後の休み時間、新宿校舎12階講師室で。質問歓迎します。

<学生へのメッセージ>
線形代数というのは真っ直ぐな世界の話なのでやっていることはそんなに難しくはないのだが、微積分に比べて、抽象化された概念を扱うことが圧倒的に多く、概念を説明するために多くの言葉を要する。数学を、単なる計算の手続きを覚えるもの、という了解で今までずっとやってきた者にとっては、説明の日本語の意味が全くわからない、ということにもなりかねない。そのような態度でしか数学の勉強をしてこなかった者にとって、線型代数はわけがわからん、となってしまう所以であろう。そういう意味では、大学に入って新しいものの考え方・姿勢を身につける格好の題材でもあると思う。後期の線型代数学IIではより抽象化の度合いが進むので、前期はそのための準備期間でもある、というつもりで言語の論理に注意を払って慣れていって欲しい。

 

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