2009年度工学院大学 第2部情報通信メディア工学科

社会思想B(Social Thoughts B)[3612]

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2単位
小野  一 准教授  
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最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
「新しい社会運動」の意義と可能性を検証することを通じ、現代社会のあり方や私たちの生き方を問い直す。本講義での達成目標は以下のとおり。
(1)社会科学の学修の基本である、分析力、論理的思考力、表現力を養う。
(2)具体的には、「新しい社会運動」について、現象面のみならず、その背後にある価値観や政治社会状況の変化についても理解を深めることで、その現代的意義を考察する。
(3)得られた情報を批判的に分析し、体系化された知見を論理的でわかりやすい文章に表現する能力を高める。

<授業計画及び準備学習>
【第1部】イントロダクション
1.「新しい社会運動」とは?−−何が「新しい」のか
2.価値観の変動−−出発点としての「1968年」
3.「物質主義/脱物質主義」対抗軸の出現と政治システムの再編成
【第2部】エコロジー・環境保護運動
4.地球環境問題の「発見」−−ふたつの古典:「沈黙の春」と「成長の限界」
5.「持続可能な発展」という解−−国際政治におけるアジェンダ化、特に南北問題との関連において
6.温暖化防止のための地球規模での取り組み−−リオ、京都、ボン
7.脱原発社会の構築は可能か?−−2000年ドイツにおける脱原発協定をめぐって
8.環境思想における人間中心主義とエコ中心主義−−何が問われているのか?
【第3部】フェミニズム・女性解放運動
9.ジェンダー概念の発見−−作られる性役割と「らしさ」
10.女性の社会進出と男女の実質的平等−−第2波フェミニズム運動の経験も交えながら
11.現代フェミニズム論の諸潮流
12.家事労働(アンペイド・ワーク)の概念化の意義
    −−マルクス主義フェミニズムの理論的貢献
【第4部】新しい国際的連帯の構築
13.現代の反グローバリズム運動と反戦平和運動
14.格差社会の矛盾の焦点としての「民営化された戦争」
【期末試験】

<成績評価方法及び水準>
最終的な成績評価は学期末の教場試験を主たる評価基準とし、平常点を含む総合評価において60点以上を獲得した場合を合格とする。詳細は初回講義時に説明する。

<教科書>
使用しない

<参考書>
大畑/成/道場/樋口編『社会運動の社会学』(有斐閣選書)、賀来健輔/丸山仁編『政治変容のパースペクティブ』(ミネルヴァ書房)等。その他の参考書は講義中に指示する。

<オフィスアワー>
八王子校舎1号館314号室:木曜日5時限目(前期)、木曜日昼休み(後期)
新宿校舎27階2744号室:月:11〜12時(前期)、火:11〜12時(後期)、水曜日17〜18時(通年)
上記以外にも、事前に協議の上で研究室来訪の日時を予約することができる。休暇中は必ず事前に予約した上で来室すること。

<学生へのメッセージ>
1970年代に「新しい社会運動」が高揚を見たことは、現代社会の重要な変化を反映しています。例えば、環境問題が重要な政策課題だと考えられるようになったのは、この時代における価値観の変動を通じてのことだと言えます。それゆえ、「新しい社会運動」の可能性と限界を問い直すことは、変貌著しい現代社会の根本問題に迫る手がかりとなり得るのです。本講義では、エコロジー運動とフェミニズム運動を主たる題材として講義プランを組みましたが、「新しい社会運動」には他にもいろいろなものがあります。受講者の希望があれば可能な範囲でそれに応えていきたいと思います。

 

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