2009年度工学院大学 第2部 *電気電子情報工学科電気工学コース

人間工学(Human Engineering)[6G01]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
齊藤 泰彦 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
人間工学は人間とその周りを囲んでいる機械器具,設備,組織,環境との関係を最適なものとして実現する科学技術の分野である.広義には人間の関係するものは,何によらず対象とみなされる.この分野は昔からアメリカ流のHuman engineeringと,ヨーロッパ流のErgonomicsという2つの流れがあり,一般には計器や操作盤の設計や労務管理に代表される労働最適化の研究という誤解を持たれている.ここまでは古典人間工学とも言えるものであるが,現代では人間の機能,特に知的な人間の情報処理機能に重点が置かれ,コンピュータの発達とともにマン マシンシステムの枠組みの中で,人間の機能と様々の情報処理機械の関係を重視した研究が行われるようになってきた.この講義ではまず人間の特性を,感覚,知覚,認知,運動の面でのメカニズムとその実際の体験を通して理解してもらうことに主眼をおき,その基礎の上に生理学,心理学を駆使した計測と解析の手法を説明し,人間機械システム,人間と環境等について論じたい.達成目標はあくまでも人間の機能,特に情報処理機能を理解すること,それらを通して発現される現代の我々を取り巻く機械,設備,環境との関わりを深く洞察でき,各人の分野で新しい機器やシステムの設計に生かすような発想ができるようになることである.

<授業計画及び準備学習>
1. 歴史と現代の人間工学
  歴史的経過と現代の流れの説明.今後の授業の概観
2. 人間の感覚,知覚,認知
  人間の情報処理特性の説明
3. 感覚系:視覚
  視覚メカニズムと情報処理
4. 視覚経験
  種々の視覚特性の説明
5. 感覚系:聴覚
  聴覚メカニズムと情報処理
6. 聴覚経験
  種々の聴覚特性の説明
7. 感覚系:嗅覚,体性感覚
  嗅覚,体性感覚のメカニズムと情報処理
8. 人間のパターン認知と注意
  主に視覚、聴覚における人間のパターン認知のモデル化
9. 機械と人間の認知
  認知機能をパターン認識から説明
10.人間工学の方法−1
  人間の種々の生理的計測方法の説明
11.人間工学の方法−2
  認知神経学的手法と、心理的データの解析手法の説明
12.人間機械システム
  人間工学的枠組みとしての人間と機械の系をヒューマン マシンインタラクションを中心に説明
13.人間と環境
  人間の労働と生活を取り巻く環境とヒューマンエラー
14.定期試験
 

<成績評価方法及び水準>
評価は中間試験1回と定期試験の平均点で行う.合格点をわずかに下回った場合は,2回の試験でどちらかの点数が60点を超えている場合のみ合格とする場合がある.これは分野別の得て不得手に対応した処置であるが,全般に合格点を取るのが望ましい.

<教科書>
多岐にわたる分野で1冊の本では収まらないため教科書は指定しない.プレゼンテーション用のパワーポイントのファイルを情報科学センターのサーバに登録しておくので,各自ダウンロードして使って欲しい.ただ、そのまま使うと膨大な量になるので圧縮したプリントを配っているが,欠席した場合は,正当な理由がない限り次回にプリントを配布することはしないので注意すること.

<参考書>
「現代の人間工学」長町三生編,朝倉書店
「現代人間工学」呉景龍 他著,森北出版
あくまでも参考書で,授業内容を網羅しているわけではないので注意.

<オフィスアワー>
午後5:30から6:00まで,高層棟12階非常勤講師室.
その他には以下のメールアドレスにメールを.
   ysaito@ashitech.ac.jp

<学生へのメッセージ>
試験は中間試験と定期試験の2回しか行わない,というより人数的に行えないと考えている.ノート,授業中配布したプリントの持ち込みを認める.書籍類は持ち込みを認めない.資料を持ち込んでも,資料中のあちこちにある内容を総合することが必要で,ただ移しても回答にはならないと思って欲しい.

<備考>
パワーポイントでの授業はノートを取ることが難しい。授業をしている方はどんどん早くなっていくことになかなか気がつかない。気がつくと600枚程度のプレゼンテーションが流れていきもう追いつかないことになるので注意して欲しい。情報科学センターのサーバにファイルを載せておくが,間際になって膨大な量を印刷しても無理があるので,余裕を持ってUSBメモリなどに落としておいて欲しい.

 

このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2009 Kogakuin University. All Rights Reserved.