2009年度工学院大学 第2部化学応用デザイン学科

表面化学(Surface Chemistry)[5G74]

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2単位
川口 純 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
身の回りには様々な表面あるいは(境)界面が存在する。なぜ、表面あるいは界面を一つの分野の学問として扱うのであろうか? それは表面や界面の構造や性質がきわめて特異的であり、このような特異性は、表面や界面において多くの現象を引き起こし、工学的に有効に利用できる場合もあれば予期せぬトラブルの原因になることもあるからである。
講義はできるだけ教科書に則って進めることにより基礎学問的なアプローチを優先するが、それらに関わるできるだけ多くの工業事例を紹介することにより、それらの必要性・有用性についても理解できるようにする。特に、表面や界面を制御するためには、具体的には表面処理という工業的手法が多く用いられる。適時それらを解説することにより実際の物作りにおいて、表面や界面といった考え方がどのように役立っているかについても紹介し、学ぶことに対する目的意識を醸成したい。

<授業計画及び準備学習>
第1週 [ガイダンス]表面化学の位置付けと身近な表面・界面現象
第2週 液体表面の特徴,蒸発・凝縮・配向
第3週 固体表面の特徴,結合の切断や緩和
第4週 表面・界面張力,界面の熱力学
第5週 毛管現象,界面動電現象
第6週 ぬれ,液体および固体微粒子
第7週 液体表面上の油の広がり,単分子膜
第8週 液体表面上のLB膜,二分子膜やベシクル
第9週 固体表面における吸着理論と吸着等温線
第10週 固体表面における化学吸着と固体表面の酸・塩基性
第11週 コロイドの生成と安定性
第12週 エマルション,界面活性剤
第13週 表面界面の評価,物性の測定,全体をふりかえる。

<成績評価方法及び水準>
原則として定期試験で最終成績を評価する。60点以上の者に単位を認める。
授業への出席率も適宜評価に加える。

<教科書>
「界面化学(基礎化学コ−ス)」,近澤正敏・田嶋和夫【共著】,丸善

<オフィスアワー>
金曜日18:00〜19:00

<学生へのメッセージ>
パウリの禁律で有名なノーベル賞物理学者Wolfgang Pauliは「固体は神が創り給うたが、表面は悪魔が創った」と言われた。規則的で美しい個体内部に対して、不規則・混沌とした表面を表現したものだが、ある意味表面・界面現象の魅力を述べているのではないか?
実際、工業的にも材料の様々な機能は表面や界面が発端となって発揮される事例が多いし、身近な表面・界面現象を日ごろから意識しつつ、一緒に悪魔の魅力を垣間見よう。

 

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