2009年度工学院大学 第2部化学応用デザイン学科

セラミックスデザイン化学(Ceramic Design Chemistry)[1F74]

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2単位
廣田 幸逸 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
セラミックを中心に講義を行なうが,無機材料化学全般の概要も把握できるように配慮する。また近年の科学技術の発展を支えているファインセラミックについては詳しく解説する。さらに最先端技術であるインテリジェントマテリアルについてもそれらの設計思想から原理と機能ならびに今日までの研究開発の段階や現在の状況も扱う。以下に具体的な達成目標を示す。
1)セラミックについての知識を習得するとともに無機材料化学全般の概要が把握できること。
2)材料科学の基礎理論と技術を学び,深い識見のもてるようになること。無機工業化学の各分野との相互の関連も把握できることが望ましい
3)セラミックの応用とその物性・構造・機能・反応について理解すること。
4)ファインセラミックなどの先端材料技術とその設計思想を学び,その方法について展望することができること。

<授業計画及び準備学習>
第1週  「無機材料科学の研究の歴史と取り扱う講義の内容」
     講義の概要,講義の進め方,取り扱う内容について述べる。
     無機材料化学全般の概要について解説し,化学の基礎理論と技術および,無機系各工業化学
    全般の各分野との相互の関連が把握できるようにする。

第2週  「無機材料化学の概要」
     固体電解質,光ファイバー,酸化物超電導体などの新しい機能性をもった新素材としての
    無機材料を中心に講義する。これらの機能性無機材料は新たな技術革新をもたらし現在の高度
    情報社会を支えていることから理解しておくことが重要である。

第3週  「セラミックの製造・物性・構造」
     セラミックの合成と技術および制御法を学ぶ。ならびに化学結合と結晶構造についての知識を
    習得しセラミックの構造と物性が理解できるようにする。

第4週  「セラミックの機能」
     セラミックの電磁気的機能と光学的機能についてその概要が理解できるように解説する。 

第5週  「無機材料の組織評価法と無機材料表面での化学反応」
     固体の電気伝導とイオン伝導,固体の誘電性と磁性について解説を行なう。とくに半導体,絶
    縁体および,圧電体,焦電体,磁性体について取り扱うものとする。
   
第6週  「無機材料表面での電気物性変化」
     無機材料の格子欠陥と電気的化学的性質の関連について講義をおこなう。
    結晶中の電子の相互作用とバンド形成についてについて触れフェルミ準位とイオン結晶・共有結
    晶・金属結晶のバンド構造について解説する。

第7週  「セラミックの物性と反応」
     セラミックなかでも近年の目ざましい科学技術の発展を支えているファインセラミックの
    エンジン部材,エネルギー開発のための材料,生体・医学材料ならびに,エレクトロニクス
    材料などとしての応用とその原理・反応について述べる。

第8週  「機能性セラミックの設計とその応用」
     機能性セラミックの構造と機能ならびに,その応用についての講義である。各種の酸化物およ
    び,非酸化物でつくられ特有の機能を持ったセラミックのなかでもとくに厳密に制御された製
    造方法によって知識集約的な高度の機能を兼ね備えたセラミックを取り扱う。エレクトロセラ
    ミックス(電子セラミック)とよばれる一群の電気磁気的機能性セラミックも詳しく解説をお
    こなう。    
 
第9週  「化学センサーーーその基礎と応用」
     化学センサの作動方式と分類,それらの意義と用途ならびに,化学センサの満たすべき要件と
    今後の課題について述べる。またその動作原理について半導体ガスセンサと湿度センサを例に
    とって解説する。     

第10週 「インテリジェント材料と設計思想・将来展望」
     先端技術の『インテリジェントマテリアル』としての材料設計の方法と,その現在の研究
    動向について展望する。

第11週 「セラミック半導体各種センサ」
     固体の電気伝導とイオン伝導について述べた上でセラミック半導体電気伝導現象と,その
    特性について解説し,これを利用したセラミック半導体各種センサについて概観する。
 
第12週 「次世代複合材料と分子識別機能材料」
     複合材料[composite material] というのは2種以上の素材を複合して物理的にも化学的に
    も違った相を形成しそれによって何らかの有効な機能を生み出したものである。ここでは炭素
    繊維複合材料によるセンサの開発の取り組みとその原理(仕組み)について学ぶ。また固体
    のイオン電導体を利用した分子識別機能材料の開発への取り組みについても紹介したい。

第13週  テストを行ないます。
     これまで学習してきたことの総仕上げです。

<成績評価方法及び水準>
リポート,テストならびに,出席で総合評価を行なう。リポートは課題5項目中3題以上について報告し、
試験で60点以上の者に単位を認める。再試験は行なわない。

<教科書>
「ファインセラミックス」柳田博明著(講談社ブルーバックス)
参考書としていくつかの単行書を列挙しておきますが、この講義では最先端の内容で講義をおこなうため、これでは時代遅れとなり不足となってしまいます。そのため、世界で発表された最新の論文から講義ごとに毎回プリントを配付し、それに沿って行います。

<参考書>
「電子材料セラミックス」柳田博明・高田雅介共著(技報堂出版)
「セラミックスの化学」柳田博明著(丸善)
「インテリジェントマテリアル」柳田博明著(講談社ブルーバックス)

<オフィスアワー>
日時:毎週月曜日の講義の前(5時30分から授業が始まる前まで)と講義終了後(7時30分から8時頃まで)
場所:新宿キャンパス講師室
E-mail:hirota305@jcom.home.ne.jp

<学生へのメッセージ>
最近の最先端の技術や難解な原理や機構を分かりやすく簡潔に明瞭に解説いたします。先端科学技術に興味をもっている多くの学生の受講を期待しています。

 

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