2009年度工学院大学 第2部機械システムデザイン学科

宗教論B(Religious Studies B)[3604]

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2単位
田口 博子 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
−宗教学の基本文献を読む−
17世紀から18世紀にかけてのヨーロッパの啓蒙運動思潮を背景として、「宗教学」は1870年前後に独立した学問分野として登場します。その中核となる問いは「宗教とは一体何であるのか?」であり、しばしば宗教の本質、あるいは起源問題として討論されました。また、他の諸学問に対して、「宗教は道徳、政治、芸術等の文化の諸制度とは異なる固有の領域を有していて、それにふさわしい方法論が存在する筈だ」として、自らの存在意義(生存権)を主張してきました。これらの試みについての評価は分かれるところでしょう。しかしながら、昨今、宗教学のある学派が拘泥してきた「確固たる方法論」や「学問的枠組み」自体に疑義が呈されています。
ところで、宗教学が成立する遥か昔から、宗教にかんする洞察は連綿として行われてきました。現代でも、宗教学者以外の人々がさまざまな角度から思索を巡らしています。
後期の講義では、哲学、神学、社会学、文化・社会人類学、歴史学、精神医学の領域の思想家による宗教理解・宗教理論について主に取り扱います。

<授業計画及び準備学習>
1 プラトンのイデア論と宇宙論        
2 デーヴィッド・ヒュームにおける「自然宗教」    
3 イマヌエル・カントにおける道徳と宗教の問題     
4 フリードリッヒ・シュライアマハーにおける宗教の本質   
5 G・W・F・ヘーゲルにおけるキリスト教の三位一体論の読み替え   
6 フリードリッヒ・ニーチェの宗教批判  
7 ジェームズ・フレーザーの王殺しと神殺し  
8 ウィリアム・ジェームズにおける宗教体験と神秘体験  
9 エミール・デュルケムにおける宗教と社会の問題    
10 マックス・ウェーバーと世俗化論  
11 ジークムント・フロイトの宗教論と文化論    
12 ゲルショム・ショーレムの『ユダヤ神秘主義』   
13 井筒俊彦の『コーランを読む』 
14 五来重の『高野聖』 

<成績評価方法及び水準>
学期末にレポート(3000字程度)を提出していただきます(8割)。出席点は2割とします。また、採点外ですが、授業ごとに感想・質問点を書いていただき、それをもとに進めて行きたいと思います。

<教科書>
資料・プリントを適宜配布します。

<参考書>
宗教、あるいは宗教学を概観する参考書として以下のものを挙げておきます。
脇本平也『宗教学入門』講談社学術文庫、1997年
佐々木宏幹・村武精一編『宗教人類学』、新曜社、1994年
関一敏・大塚和夫編『宗教人類学入門』、弘文堂、2004年
島薗進・西平直編『宗教心理の探求』、東京大学出版会、2001年
井上順孝編 現代宗教事典 弘文堂、2005年

<オフィスアワー>
水曜日の第1限

 

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