2009年度工学院大学 第2部機械システムデザイン学科

宗教論A(Religious Studies A)[3603]

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2単位
田口 博子 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
―ドイツ・ロマン派(ノヴァーリス、フリードリッヒ・シュレーゲル、フリードリッヒ・シュライアマハー)における「ポエジー」の意義―
「ポエジー(Poesie)」は、ドイツ・ロマン派の思想家ノヴァーリスの中心概念です。通常「詩」や「文芸」と翻訳されますが、ここでは「創造性」や「統合する原則」といったことを意味しています。彼によれば、「ポエジー」は芸術という領域で顕著に見受けられ、「創作者(Dichter)」 がこの原則を体現、あるいは実現化するものと見做されています。
かつて「宗教」は、「神と共にいます」という感覚を人々に与えてきました。しかしながら、流行の先端を行く、当時の都会の住人にとって、現行の「宗教」はもはや胸に響くものではありませんでした。彼の友人であるフリードリッヒ・シュライアマハーの『宗教論』の副題は、いみじくも「宗教を軽んじる教養人への講話」となっています。ところが、彼らとて無限なるものとの関連を完全に棄て去ることはできなかったのです。
先にあげた思想家は、芸術的な活動、創造性の中で、無限なるものとの関係の復活を予感しています。前期の講義では、彼らのポエジー論を軸として、宗教と学(哲学、科学)についての見解を比較します。それから、この三者が伝統的にどのように取り扱われてきたかを概観したいと思います。

<授業計画及び準備学習>
1 プラトンの「詩人追放論」             
2 イマヌエル・カントにおける「美」と「崇高」           
3 フリードリッヒ・シュレーゲルの「新しき神話」(1)
4                       (2)
5 フリードリッヒ・シュライアマハーの(1)宗教論
6                  (2)哲学・芸術論          
7 ノヴァーリスの(1)宗教論
8        (2)哲学論 
9        (3)ポエジー論
10 G・W・F・ヘーゲルの美学理論      
11 フリードリッヒ・ニーチェとギリシア悲劇
12 ジークムント・フロイトの文化論
13 テオドール・W・アドルノの美学理論       
14 ワルター・ベンヤミンのアウラ論

<成績評価方法及び水準>
学期末にレポート(3000字程度)を提出していただきます(8割)。出席点は2割とします。また、採点外ですが、授業後に感想・質問点を書いてください。それをもとに進めて行きたいと思います。

<教科書>
資料・プリントを適宜配布します。

<オフィスアワー>
水曜第1限

<学生へのメッセージ>
かなり専門的な話が多くなると思いますが、なるべく現代の状況を踏まえながら授業を進めたいと思います。

 

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