2009年度工学院大学 情報学部コンピュータ科学科
△政治システム論(Political Systems)[1128]
2単位 小野 一 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 現代日本政治のアクチュアルなテーマを題材に、政治学の基礎概念や考え方を学ぶ。一話完結型の講義形態をとるが、学期全体を通して体系的な知識を習得できるように編成してある。テキストの読解や文章を書くことを通じて批判的思考能力を養うことも、本講義の重要な目的である。
- <授業計画及び準備学習>
- (1) 政治とは何か:「アメ玉」を使って考える
(2) 政治的正統性:人はなぜ、指導者に従うのか? (3) 利益政治:政治腐敗や不正はなぜなくならない? (4) ニッポン大好き:若者に広がる「ぷちナショナリズム」? (5) 「下流社会」化する日本、というのは本当? (6) 格差・貧困問題への処方箋? 「定額給付金」と「ワークシェアリング」について考える (7) 格差社会の矛盾の焦点としての「民営化された戦争」 (8) 戦後憲法政治の屋台骨:なぜ象徴天皇制なのか? なぜ戦争放棄なのか? (9) 55年体制:自民党政治は特殊な例か? (10) 政界再編成:二大政党制で日本は元気になれるか? (11) メディアと政治:テレビが、インターネットが、政治を変える? (12)劇場型民主主義:面白くなければ政治じゃない?! (13)政府は「大きい」ほうがよいのか、「小さい」ほうがよいのか? (14)新しい政治:「右と左」はもう古い?
- <成績評価方法及び水準>
- 授業時間中の小レポートを適宜行う。最終的な成績評価は学期末試験の成績を主たる基準として行い、平常点を加味した総合評価において60点以上を獲得した場合に合格と判定される。
- <教科書>
- 使用しない。ただし次の「参考書」の項を参照のこと。時々、プリントを配布する。
- <参考書>
- 最初の数回の授業では、M.ヴェーバー『職業としての政治』(岩波文庫)を使用する。小さな書物だが、政治とは何かを考えるための有益なテキストなので、目を通した上持参することが望ましい。その他の参考書は講義中に指示する。
- <オフィスアワー>
- 八王子校舎1号館314号室:木曜日5時限目(前期)、木曜日昼休み(後期)
新宿校舎27階2744号室:月:11〜12時(前期)、火:11〜12時(後期)、水曜日17〜18時(通年) 上記以外にも、事前に協議の上で研究室来訪の日時を予約することができる。休暇中は必ず事前に予約した上で来室すること。
- <学生へのメッセージ>
- 私は政治学者として、今日の政治状況を深く憂慮する者です。既成制度が現代社会の新しい問題状況に答えきれず、政治家のスキャンダルが相次ぐ現実を前に、政治的無関心がはびこるのも無理からぬことかもしれません。しかし政治の劣化に対しては、私たち市民の側にも責任の一端はあります。多くの人が考えることを放棄し、直感的にわかりやすいシンボル的テーマに付和雷同的に反応している状況は、民主主義の危機とも言いうる状況だからです。
今年の講義の重要テーマのひとつは、「ポピュリズム」ということです。ポピュリズムを超えて、市民社会の生き生きとした議論を政治に場に反映させるためには、私たち市民の成熟が求められます。この講義を通して批判的思考能力を養い、急速に変動する現代社会の中で適切な判断を下せる人となりたいものです。意欲的な学生の参加を望みます。
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