2009年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科
△科学と宗教(Science and Religion)[4A07]
2単位 田口 博子 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- ―諸宗教における「死」の意味―
仏教では生・老・病・死を「四苦」といいます。つまり、人間がこの世に生きている限り避けることはできず、苦しみを与える原因と見做されています。一方道教の仙人は、苛酷な修行を積み、不老長寿を手に入れたといいます。現代においては、生命科学の進歩、たとえばゲノムの解読により、古来より人間の夢であった不老長寿が将来可能になるかもしれません。ただ、それが実現されたとしても、本当に仕合せなのかは、意見が分かれるところでしょう。 一昨年、昨年度とも、近・現代の問題を取り扱えませんでしたので、今年度はまず現代の文学、生命科学、そして精神分析における「死」を分析します。それから、各宗教伝統の見解を、テクスト講読を取り入れて概観したいと思います。
- <授業計画及び準備学習>
- 1 文学における「死」−澁澤龍彦の『高丘親王航海記』−
2 現代のライフサイエンスとシェリングの生命観 3 ノヴァーリスにおける死生観 4 フロイトの「死の欲動」 5 ギリシア自然哲学の宇宙論 6 ギリシア哲学における死への姿勢 7 ユダヤ教における生命観 8 原始キリスト教における復活 9 中世キリスト教の他界観 10イスラームの死生観 11ヒンドゥー教、初期仏教における「死」 12仏教における輪廻思想 13神道の他界観 14荘子、孔子の「死」への態度
- <成績評価方法及び水準>
- 講読で使用したテクストの分析、感想、意見等をまとめた2000字前後のレポートを、前半一回、後半一回、計二回提出していただきます。尚、ウィキペディア等のウェブ・サイトのコピーに数行の感想を添えただけものはレポートとして認定しません。
採点は、レポートが8割で、平常点は2割とします。就職活動等で出席ができない場合は予め相談してください。
- <教科書>
- 資料・プリントを適宜配布します。
- <オフィスアワー>
- 木曜日の第1・2限
- <学生へのメッセージ>
- 様々な文化圏の、様々な時代の思惟を取り扱うので、分かりにくい部分も多々あるかと思います。配布したテクストを基にして、自分なりに思索を深めて下されば幸いです。
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