2009年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科
△流体力学I(Fluid Mechanics I)[3464]
2単位 佐藤 光太郎 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 航空機,船舶から気象予測や野球ボールの運動まで流体力学が取り扱う分野は多岐多様である.また,一見,流体とは全く無関係に見える工業製品であってもその生産工程では流体力学の恩恵を受けている場合も多い.ここでは機械工学の立場から重要であると思われる内容を中心に,できる限り具体例を紹介しながら授業を展開する.また物理,工業力学等で学習した質点の力学と流体の力学との関係,考え方の同異について考察するよう履修期間中常に求めていく.以下に具体的な達成目標を示す.(1) オイラー的方法とラグランジュ的方法の記述方法の違いがわかること.(2) オイラーの運動方程式の物理的意味を理解すること.(3)保存則の意味を理解し,使用できること.(4)機械工学で重要とされる基本的な流体諸現象についての概略を理解し,詳細については専門書を参考にしながら考察できること.
(JABEE学習・教育目標) 「国際工学プログラム」 (C)基礎工学・専門工学知識の習得:◎ JABEE基準1の(1)の知識・能力:(d)の(1):◎
- <授業計画及び準備学習>
- 1.[ガイダンス]流体とは何か?流体力学は何の役に立つのかあるいは現在の問題点は何かをジェットエンジン,ファンの原理や空力騒音,鳥の飛行原理,流体関連振動による事故を例に取りながら説明する.2.[数学的準備1]流体力学を学習する上で必要な数学(初歩的なベクトル解析)について学ぶ.3.[数学的準備2]流体力学を学習する上で必要な数学(初歩的な複素関数)について学ぶ.
4.[静力学]流体の静力学について学ぶ.特に圧力,表面張力に対する理解を深める. 5.[流れの記述方法]質点系との対比からオイラー的方法とラグランジュ的方法について学ぶ. 6.[運動方程式1]テイラー展開と実質微分・実質加速度の考え方について学ぶ. 7.[運動方程式2]実質微分・実質加速度の考え方とオイラーの運動方程式について学ぶ. 8.[質量保存則]連続の方程式の考え方と適用方法について学ぶ. 9.[循環と渦度]循環の定義,渦度の定義,渦度方程式について学ぶ. 10.[エネルギー保存則1]ベルヌーイの定理の導出について解説する.トリチェリの定理を用いて計算する. 11.[エネルギー保存則2]流れの計測法並びにベルヌーイの定理(圧力方程式を含む)の成立条件について学ぶ. 12.[運動量保存則1]運動量方程式の一般的な導き方,考え方について解説する. 13.[運動量保存則2]運動量方程式の応用例から力の計算方法について学ぶ.
- <成績評価方法及び水準>
- 原則として定期試験で最終成績を評価,60点以上の者に単位を認める.ただし,試験の点数が僅かに60点に届かない場合でも例えば授業内での演習問題・宿題の平均得点が高いなど,普段の学習状況から総合的に判断し,一定基準以上の者にはレポート提出を認め,レポート内容が単位認定相当と判断される場合には最終成績を60点以上とする.
「国際工学プログラム」の学習・教育目標(C)は、本科目およびこの目標に対応する卒業に必要な他の該当科目をすべて習得することにより達成される。
- <教科書>
- 「流体の力学」中山泰喜著(養賢堂)
- <参考書>
- 「流体力学」日野幹雄著(朝倉書店)
「Fluid Flow」R.H. Sabersky A.J. Acosta E.G. Hauptmann and E.M. Gates(Prentice Hall)
- <オフィスアワー>
- 金曜日 12:30〜13:10.11号館3階.それ以外でもメールで約束の上,対応可.E-mail : at12164@ns.kogakuin.ac.jp
- <学生へのメッセージ>
- 1年次に学習した数学,物理,工業力学の復習を期待する.流体力学の理解が困難な場合には,もう一度,質点の力学の勉強に立ち返ること.
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