2009年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科

物理学演習III(Exercises in Physics III)[3270]

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1単位
金 哲 夫 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>

グルーバルエンジニアリング学部における学習の土台の1つとして,物理学の基礎を学ぶ.
物理学演習IIIでは流体力学,波動現象,電磁気学,および20世紀の物理を扱う.
なお,電磁気分野については,基礎的な部分を既に物理学IIと物理学演習IIで学習していることを
前提としている.

以下の項目を習得することを目標とする.
(1)流体の基礎的な概念を理解すること.
(2)波動現象の基礎的な概念を理解すること.
(3)物理学IIと物理学演習IIで学んだ電場,磁場の概念を復習し,場の中での荷電粒子の運動を
   理解すること.
(4)マクスウェルの方程式を構成する4つの法則の意味を積分形で理解し,簡単な系に対して
   それを適用して分析する方法を理解すること.
(5)電磁波の概念とその諸性質を理解すること.
(6)20世紀になって得られた新しい概念(4次元時空,量子,ビッグバン宇宙論など)について,
   概説的に理解すること.

(JABEE学習・教育目標)
「国際工学プログラム」
(C)基礎工学・専門工学知識の習得:◎
JABEE基準1の(1)の知識・能力:(c)(d)の(1):◎

(前提となる基礎知識と修得後の展開)
本科目を履修する前に「物理学I」,「物理学演習I」,「物理学II」,「物理学演習II」などにより,
力学や熱力学,電磁気の基礎に関する分野を修得しておくことが望ましい.
本科目で修得した内容は,物理学の知識を基礎として要求する各専門科目の履修に役立つ.

<授業計画及び準備学習>

1.流体力学(1).静止流体.
流体の基礎的物理量を学ぶ.パスカルの原理,圧力公式,浮力などを学ぶ.

2.流体力学(2).流体の運動.
流れの量,渦度,粘性,流れの相似則,抵抗力などを学ぶ.流体力学の基礎方程式について
概観する.

3.波動(1).正弦波.
波動の基礎的概念や記述を正弦波を用いて学ぶ.波動の合成やうなりについて理解する.
ホイヘンスの原理,波の回折と干渉,ヤングの実験について学ぶ.

4.波動(2).波動方程式,音波.
波動を一般的に記述する方程式を導く.その具体的な事例として,音波について流体力学や
熱力学の法則を活用して音速の表式を導く.

5. 電磁気学(1).電磁場の復習と荷電粒子の運動.
物理学及演習IIで学んだ内容を復習し,ローレンツ力について学ぶ.一様な場の場合に限定して,
荷電粒子の運動を,電場のみ,磁場のみ,電場+磁場の場合に調べる.

6. 電磁気学(2).電場.ガウスの法則とその応用.
電気力線,電束の概念を理解し,電束の保存則としてガウスの法則が導入される.
点電荷,平板,直線分布などの単純な例についてガウスの法則を適用して電場を求める.

7. 電磁気学(3).磁場.アンペールの法則とその応用.
電流と磁場の関係を与えるアンぺールの法則を学び簡単な系に適用する.

8. 電磁気学(4).ファラデーの法則.インダクタンス.
電磁誘導現象について学ぶ.自己インダクタンスの概念を学びソレノイドの場合に適用する.
電流を維持するための仕事から磁場のエネルギー密度の概念を導く.

9. 電磁気学(5).変位電流.マクスウェルの方程式.
交流電流の場合にアンペールの法則を考察し,電流の連続性を維持するために変位電流の概念が
導入されることを理解する.今までの法則を総括して電磁気の基礎方程式系を理解する.

10. 電磁気学(6).電磁波.
マクスウェルの方程式から電磁波が理論的に存在することを明らかにする.電磁波の分類や諸性質
について学ぶ.

11. 現代物理学(1).相対性理論.
マイケルソンモーレーの実験から始めて,相対性理論の導入と定式化を学ぶ.
4次元時空の概念を理解する.ローレンツ変換を使って,時間の遅れや距離の短縮などが見られる
ことを学ぶ.

12. 現代物理学(2).量子論.
光の波動的性格と粒子的性格を実験現象と関連させて議論する.
光子の概念,水素原子のスペクトル線とボーアの仮説,物質波.量子力学の定式化を概説し,
現代の先端技術が殆ど量子力学と関連することを学ぶ.

13. 現代物理学(3).ミクロの世界.
原子,原子核の構造,核エネルギー,放射線などについて学ぶ.
素粒子の標準模型について現時点での理解を概論する.

14. 現代物理学(4).宇宙論.
ビッグバン宇宙論について,各種の観測事実(ハッブルの法則,宇宙背景輻射など)を説明して,
概説する.

15.定期試験

<成績評価方法及び水準>
成績は,「板書による発表」と「小テスト」による平常点40点と定期試験60点の100点満点で評価し,
その値が60点以上の学生に単位を認める.但し,「板書による発表」がない学生は定期試験を受ける資格がないものとする.

<教科書>
「理工系物理学講義(改訂版)」加藤潔(培風館) .「演習問題」はプリントを配布する.

<参考書>
「物理学演習テキスト」(学術図書出版社)

<オフィスアワー>
水曜日 12:00〜13:00 (八王子校舎1号館206室)

<学生へのメッセージ>
演習開講日以外は演習担当者が八王子校舎不在となる.
質問などがある場合は 「cbkim@krishna.th.phy.saitama-u.ac.jp」に自分の学籍番号と氏名を明記した上で問い合わせるように.

<参考ホームページアドレス>
(加藤潔先生のHP) http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft82039/

 

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