2009年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科
○物理学演習I(Exercises in Physics I)[4419]
1単位 金 哲 夫 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
グローバルエンジニアリング学部における学習の土台の1つとして,物理学の基礎を学ぶ. 物理学演習Iでは力学が中心となる.高校での物理学未習者がいることも考慮して基礎的なレベルから学んでいく.この科目は「物理学I」と対をなすもので,講義と演習が連携しながら進行する. 講義では基本的な概念や定理を学習し,演習で実際に手を動かして問題を解くことにより理解を定着させる.演習問題はすべて英文であり,プリントを配布する.
以下の項目を習得することを目標とする. (1)各種の物理量と単位系,物理量の間の数学的関係の把握と計算ができること.ベクトル量の扱い を理解すること. (2)各種の力(重力,抵抗力,復元力,向心力など)の意味が理解できること. (3)具体的な対象が与えられたときに,前項の力を使って運動方程式を書き下すことができること. 2階微分方程式の範囲で,その方程式を解き,その結果の物理的意味が把握できること. (4)エネルギーと運動量の保存則を理解し,対象に対して,これらの保存則を適用することができる こと. (5)剛体のつりあい条件を理解し,対象に対して,これらの条件を適用することができること.
(前提となる基礎知識と修得後の展開) 本科目で修得した内容は,「物理学I」,「物理学II」,「物理学演習II」,「物理学III」, 「物理学演習III」,及び物理学の知識を基礎として要求する各専門科目の履修に役立つ.
(JABEE学習・教育目標) 「国際工学プログラム」 (C)基礎工学・専門工学知識の習得:◎ JABEE基準1の(1)の知識・能力:(c)(d)の(1):◎
- <授業計画及び準備学習>
1. 序論.物理学の方法.一般常識(SI単位系,ベクトルなど). SI単位系の構造,接頭語などを学ぶ.力などのベクトル量について,合成と分解,接線成分,法線成分の定義などを学ぶ.
2. 数学的準備(1).座標系.連続的変化と微分.速度と加速度. 位置と速度の関係について詳しく議論し,連続的に変化する物理量の間の関係式が微分により表現されることを理解する.簡単な運動については,具体的に速度,加速度が計算できる.
3. 数学的準備(2).積分.密度分布. 前回での位置と速度の関係を逆転して,物理量の間の関係式が積分により表現されることを理解する.そして,初期条件の重要性と使い方を学ぶ.密度を例として分布量(場)の扱いを理解する.
4. 質点力学(1).ニュートンの力学法則.等加速度運動. ニュートンの3法則を学ぶ.重力による運動を例として,等加速度運動の扱いを理解する.2次元の放物運動についても学ぶ.
5. 質点力学(2).抵抗力. 運動方程式の解法の例として抵抗力を扱う.微分方程式の扱いについて概略を理解し,結果の物理的意味(終端速度など)を理解する.
6. 質点力学(3).単振動. 運動方程式の解法の例として,単振動を引き起こす力を扱う.微分方程式の扱いについて概略を理解し,結果の物理的意味(単振動の性質)を理解する.
7. 質点力学(4).円運動. 円運動をしている質点に働く力,向心力を理解する.この定式化が地球の運動や原子の中の電子の運動にも使えることを学ぶ.
8.これまでの復習.
9. 質点力学(5).運動と座標系.慣性力. ガリレオの相対性原理を学び,なぜ地球が動いていることを感じないかを理解する. 慣性力として,乗り物の発進・停車時に働く力は何か,遠心力コリオリ力とはどのようなものかを理解する.
10. 力学の保存量(1).仕事.力学的エネルギー. 保存量の概念について学ぶ.目に見えないエネルギーを理解するために正確な仕事の定義を理解する. 運動エネルギーとポテンシャルエネルギーについて学び,その簡単な応用例を扱う.
11. 力学の保存量(2).運動量と角運動量.衝突. ベクトルの保存量である,運動量と角運動量について学び,その保存則を理解する. 運動量保存則の応用として衝突現象を扱う.
12. 万有引力.ケプラーの法則.質量の概念. ケプラーの観測結果から,どのように万有引力が導かれたかを円運動近似で議論する. 万有引力により現象を理解する例として,地上の重力,静止衛星,脱出速度を扱う. 慣性質量と重力質量の概念を学ぶ.
13. 剛体の力学(1).剛体の記述.重心. 剛体と質点を対比させて,回転運動の自由度と扱いを理解する. 一様で簡単な形状の物体の重心の計算法を学ぶ.剛体間の接触面で働く力を学ぶ.摩擦係数について学ぶ.
14. 剛体の力学(2).力のモーメント.剛体のつりあい(静力学). 力のモーメントの定義を学ぶ.そして,剛体のつりあい条件を理解し,簡単な系のつりあい条件を分析して理解を深める.
15.試験期間に定期試験を実施する.
- <成績評価方法及び水準>
- 成績は,「板書による発表」と「小テスト」による平常点40点と定期試験60点の100点満点で評価し,
その値が60点以上の学生に単位を認める.但し,「板書による発表」がない学生は定期試験を受ける資格がないものとする.
- <教科書>
- 「理工系物理学講義(改訂版)」加藤潔(培風館) .「演習問題」はプリントを配布する.
- <参考書>
- 「物理学演習テキスト」(学術図書出版社)
- <オフィスアワー>
- 木曜日 12:00〜13:00 (八王子校舎1号館206室)
- <学生へのメッセージ>
- 演習開講日以外は演習担当者が八王子校舎不在となる.
質問などがある場合は 「cbkim@krishna.th.phy.saitama-u.ac.jp」に自分の学籍番号と氏名を明記した上で問い合わせるように.
- <参考ホームページアドレス>
- (加藤潔先生のHP) http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft82039/
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