2009年度工学院大学 第1部建築系学科
○物理学I(Physics I)[3220]
2単位 中澤 宣也 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- あらゆる自然科学の基礎をなす古典力学を通して、自然現象をどのように捉え、表現するかを学ぶ。複雑に見える現象も、現象に本質的な少数の変数を見つけると、旨く説明できることに気が付く。基本的な変数の意味を理解することが大切である。受験で培われた、公式を暗記し数値を代入するという物理学像を払拭したい。
達成目標 1)力学における変数の意味、単位、次元を理解する。 2)ニュートンの運動方程式によって、初期条件が与えられると、それ以降の運動が一意的に決定するという、古典力学の仕組みを理解する。 3)力学の理解には、保存法則が大きな役割を果たしていることを理解し、保存則の起源についても考察する。 4)力学の理解を通じて、微分や積分が抽象的な概念ではなく、背後に物理的なイメージがあることを理解する。
- <授業計画及び準備学習>
- 第1週 :物理学が対象とする自然界のスケール。長さ、時間、質量という基本的な次元。単位。次元解析。
第2週 :現象を記述するにふさわしい座標系である慣性系。座標系を決めたとき、質点の速度、加速度がどう書けるか。運動量の意味。微分、ベクトルの意味。 第3週 :ニュートンの3法則。運動方程式を解くとは。 第4週 :運動方程式の解法。数値解法。微分方程式の解法。重力下の落下運動。雨滴の落下。 第5週 :振動現象(単振動、減衰振動)。 第6週 :仕事、運動エネルギー。 第7週 :保存力、位置エネルギー、エネルギー保存則。 第8週 :中心力下の運動。角運動量の保存。 第9週 :万有引力下の運動、ケプラーの法則 第10週 :力学の応用問題:脱出速度、宇宙の膨張。 第11週 :質点系の扱い。重心運動と相対運動。運動量の保存則。 第12週 :衝突問題、弾性衝突、非弾性衝突。 第13週 :剛体の運動、慣性モーメント、角運動量。 第14週 :斜面を転がる円柱(固体、内部が液体、中空)の運動。 第15週 :学習成果の確認(試験)
物理学Iで学ぶ古典力学は、あらゆる自然科学の基礎となる。工学技術のどの局面でも要となる学問であり、シンプルでありながら奥が深い。変数、式の意味はいろいろと使っているうちに理解が深まる。実際に問題を解くことが重要である。
- <成績評価方法及び水準>
- 1)時間がある範囲で、授業の最後にその日の内容を題材に簡単な演習を実施する。(解答を提出)
2)適宜、演習問題を出し、宿題として解答レポートの提出を求める。 3)前ニ者の解答について計20点満点で評価し、A点とする。 4)定期試験は、80点満点で評価し、F点とする。 5)最終評価点Xは、X=F+A とし、Xが60点以上を合格とする。
- <教科書>
- 第3版 基礎物理学 原康夫著 (学術図書出版社:2006年10月)
- <参考書>
- 適宜プリントを配布する
- <オフィスアワー>
- 火曜日3時限(八王子校舎) 1号館206室
不在の時は,電子メールで連絡のこと。 (nakazawa@cc.kogakuin.ac.jp)
- <学生へのメッセージ>
- 1. 微分,積分は自然を料理する際の包丁である。なまくら包丁では思うように料理はできない。十分自習すること。
2. 継続的な学習が重要なので出席を重視する。 3. 自分で問題を解くことは,理解を深める上で極めて重要である。選択科目の物理学演習Iを併せ履修することを強く勧める。 4. 高等学校での物理学の学習が十分でなかった者は,ギャップを埋める人一倍の努力をすること。 5. 学習支援センターを積極的に利用し、消化不良のまま放置しないこと。
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